ワイヤー矯正

正しい歯並びとは?正しい歯並びの基準や歯並びを正しくする方法を解説!

正しい歯並びとは?正しい歯並びの基準や歯並びを正しくする方法を解説!

皆さんは、正しい歯並びの条件と聞かれたらどんなことを思い浮かべますか? まずは外見上のことについて思いつくかもしれませんが、歯が上下に整然と並んでいて、見た目的に美しいだけでは、正しい歯並びとは言えないのではないでしょうか。

正しい歯並びの条件には、歯が過不足なく生えている、歯と歯の間(歯列)に隙間がない、上の歯と下の歯の真ん中がぴったりと合っている、上下が同じ放物線の形状をしている、上下の歯列の幅が上顎の方が少しだけ広く、バランスが適正になっている、上の歯が少しだけ出ている、といったことが挙げられます。これらについて、詳しく見ていきましょう。

正しい歯並びの条件

正しい歯並びの条件

正しい歯並びの基準とは

「きれいな歯並びにしたい」と思っても、具体的にどんな状態が正しく、きれいなのかはなかなかわかりづらいものです。ここでは正しい歯並びの基準について、いくつかのポイントを挙げていきます。

まずは、歯がきれいなアーチ状になっているかがポイントになります。上と下に14本ずつ生えている永久歯が歪んだり、欠けたりしておらず、左右対称に、歯が歯肉上に並んでいる歯列の曲線(歯列弓)がきれいなU字型のアーチを描いている状態になっていることが基準になるでしょう。

歯列弓の形状にはU字型以外にV字型、方型と呼ばれるものもあります。歯列弓の形は生まれつきのものです。しかし、成長期に悪い姿勢をとったりすると、歯列弓の形を悪化させてしまう場合があると言われているため、注意が必要です。

そして、歯ぎしりのように歯をずらした時に、上下の犬歯どうしがぶつかるように当たっていないか、同じことをやった際に奥歯がぶつかるように当たっていないかにも留意しましょう。

外見上の正しい歯並びの特徴

奥歯をグッと噛んだ状態で口を開いて、「イ」と発音するときの形にしてみましょう。その時に下記の条件を満たしていたら、外見上は正しい歯並びになっていると言えるでしょう。

  • 骨格が左右対称になっている
  • 上の歯と下の歯の真ん中がぴったりと合っている
  • 歯と歯の間に隙間がない
  • 歯が重なっている部分がない
  • 歯並びがでこぼこしていない
  • 八重歯がない

正しい歯並びにするメリット

正しい歯並びにするメリット

正しい歯並びにするメリット

歯並びには、見た目の美しさの審美性だけではなく、食べ物を食べる際にしっかりと咀嚼できる機能性も求められます。そして、しっかりとした咀嚼は、消化器官の働きをサポートし、口元の筋肉や顎の骨などの成長も助けます。また、食事を美味しく食べ、楽しい時間を過ごすことは精神面にとってもプラスになります。

発音や呼吸にとっても、歯並びが整っていることのメリットは大きいと言えます。正しい歯並びは、舌や口周りの筋肉の動きを制限することがないのではっきりと発音することができます。さらに、これらの筋肉が正常に発達するため、舌が正しい位置に置かれることで口呼吸になりにくく、鼻呼吸をスムーズに行えるようになります。

口腔ケアの面でもメリットは大きいです。歯が重なり合った部分には歯ブラシの毛先が届きにくく、取れないままの食べ物のカスが口臭、虫歯、歯周病といったトラブルを招くことになるのですが、歯並びが整っていれば、こういった問題が起きることは少ないでしょう。

自分自身の歯を健康な状態で20本残すことができれば、生涯おいしく食事を取ることができると言われています。正しい歯並びをキープし、しっかりと噛むことで充実した食生活を送ることができれば、認知症予防にも効果が期待でき、健康寿命を伸ばすことにも繋がるでしょう。

悪くなった歯並びのデメリット

悪くなった歯並びを放置しておくと多くのトラブルを誘発することになります。例えば、下記のようなデメリットが考えられます。

・むし歯や歯周病になりやすくなる
歯並びが悪いとブラッシングが不十分となってしまい、むし歯や歯周病が起こりやすくなります。

・しっかりと噛めなくなる
食べ物をちゃんと噛まないで飲み込むことが多くなると消化不良を引き起こすことになります。さらに口元の筋肉、顎の骨の成長を阻害することになり、いわゆる「口ポカン」の状態になる可能性が高まります。

・口臭の原因になる
口をきちんと閉じることが難しくなり、そうなると口呼吸に頼ることなってしまい、口腔内が常に乾燥した状態になってしまいます。しっかりと噛む習慣が身に付かないことで唾液の分泌が損なわれ、ますます乾燥が進むことによって雑菌が繁殖しやすい環境となり、口臭がどんどん酷くなっていきます

・上顎や下顎が突出することで正中線がずれて左右非対称になる
正中線がずれてしまい、顔の歪みを招く要因になります。人によっては、見た目についてコンプレックスに感じてしまうこともあるでしょう。

・きれいな発音ができなくなる
口をしっかり閉じられなくなると滑舌が悪くなる恐れがあります。口の隙間から息が漏れ、歯擦音と呼ばれるサ行が発音しにくくなったり、タ行やラ行も上手に発音できなくなるリスクがあります。

正しい歯並びにする方法

正しい歯並びにする方法

治療の対象となる歯並び

悪い歯並びは、大きく分けて3種類に分類することができます。

・出っ歯
上の前歯が前方に突出している状態です。専門用語では「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と言います。歯自体が前に傾斜している歯性によるものと、上顎全体が前に出ている骨格性によるものがあります。

・すきっ歯
歯と歯の間に隙間ができている状態です。専門用語では「空隙歯列(くうげきしれつ)」と言います。生まれつき歯の本数が少なかったり(先天性欠如歯)、むし歯や重度の歯周病などで奥歯を失った結果、前歯の間隔が空いてしまったりすることなどが原因になります。舌で歯を前面に押し出すような癖が原因で前歯に隙間ができてしまう場合もあります。

・八重歯などガタガタの歯並び
ガタガタの歯並びとは、一部の歯と歯が部分的に重なり合ったり、歯がねじれて生えていることを言います。「叢生(そうせい)」「乱ぐい歯」とも呼ばれます。八重歯は「叢生」の一種です。この叢生は、歯の生えているスペース不足が原因で起こると言われています。つまり、顎に対して歯が大きい、歯に対して顎が小さいという場合に起こりやすいと考えられます。

歯並びを治療する方法

悪くなった歯並びを改善する方法としては、矯正治療が一般的です。矯正治療にはさまざまなアプローチの方法があるため、歯並びの状態などに応じて、最適な方法を選択する必要があります。

・マウスピース矯正
オーダーメイドのマウスピースを装着し、正しい位置に少しずつ移動させます。マウスピースは薄くて透明なので矯正中も人目を気にすることはあまりありません。マウスピースを外して食事や歯磨きができるので、むし歯や歯周病になりにくいでしょう。

・表側矯正
ワイヤーを使った矯正治療です。歯の表側にワイヤー、ブラケット(ワイヤーを通すために歯に装着する器具)を装着し、ワイヤーの引っ張る力を調整しながら歯を動かしていきます

・裏側矯正
歯の裏側にワイヤー、ブラケットを装着します。舌側矯正とも呼ばれています。外から見た際に目立ちません。

・部分矯正
一般的に前歯だけを対象にした矯正治療です。全体の歯並びを正しい位置に戻すというよりも、部分的な歯並びが気になる人や、矯正治療を行ったが後戻りしてしまった人に向いている治療方法です。

・小児矯正
永久歯が揃うまでの6歳から12歳までに行う矯正治療です。大人のように正しい歯並びのために歯列を矯正するというよりも、顎の成長期に、これから生えてくる永久歯が並ぶためのスペースを確保することを目的に治療します。

歯並びが悪くならないように予防する方法

幼少期に歯並びが悪いままで成長してしまうとどうなるでしょうか? 悪い歯並びに合わせた顎になってしまい、大人になってもそのままの状態が続いてしまいます。また、歯並びには、姿勢の良し悪しも関わってくることがあります。

頬杖をつくことが多いと、顎の片側にだけ力が偏ってかかり、成長期に顎が変形してしまうことがあります。さらに、頬杖をついた手が歯に当たっていた場合は、歯を傾けてしまうこともあります。

猫背も気を付けたいポイントです。背中を丸めて食事をすることが続くと、前の方の歯でしか噛まない癖がついてしまい、歯並びを悪くしてしまうリスクが高まります。

さらに、食事の際は、前歯で嚙み切って、奥歯ですり潰すことを意識しましょう。その際に、よく噛んで食べることで、唾液の分泌を促進し、むし歯や歯周病を予防できる可能性が高まります。

しっかりと噛むことによって顎や唇、舌などの顔周りの筋肉が発達していくことは、歯並びの悪化を予防できる大きな要因となるでしょう。なお、しっかり噛んで飲み込むタイミングは、食べ物がおかゆ状になってからが良いとされています。おおよそ30回ほど噛むことが目安とされています。

正しい歯並びには噛み合わせも重要

正しい歯並びには噛み合わせも重要

正しい歯並びに加えて、歯の噛み合わせが適切になっていることも大切です。正しい噛み合わせは、発音や咀嚼を適切に行うためだけでなく、全身の肉体のバランスを保つためにも意味があると考えられています。

また、正しい噛み合わせは、運動面においても重要と言われています。人間はスポーツなどで力を入れるときに、グッと奥歯を噛みしめています。奥歯を噛みしめることで、身体のバランスを安定させて力を発揮しているため、運動においても適切な歯の咬み合わせが肝要になってくるのです。

正しい噛み合わせの基準とは

正しい噛み合わせの基準としては、下記のようなものが考えられます。

・オーバージェットとオーバーバイトが2mmから3mmに収まっている
オーバージェットとは、上の中切歯(前歯の中央から左右に1番目の歯)が下の中切歯よりも前にあるという状態です。このズレがないと物を噛む時に舌を噛んだり、挟み込んでしまうことがあります。

一方、オーバーバイトとは、噛み合わせの深さが確保されている状態です。噛み合わせの深さがないと上下の歯が接触せず、適切に物を噛むことができなくなります。

ただし、オーバージェットもオーバーバイトもその距離が長すぎると、顎に負担をかけてしまい、歯並びが悪くなってしまう原因となります。このどちらもが2mmから3mmの間ぐらいに収まっていることが理想的な条件と言えるでしょう。

・上下の奥歯がしっかりと噛み合わさっている
顎の関節が正しい位置にあって、上下の奥歯が左右両側で均等に噛み合わさっていることが大切です。

・上下の犬歯がしっかりと噛み合わさっている
犬歯とは、前歯と奥歯の境目にある前歯で、糸切り歯とも呼ばれます。この犬歯が上下でしっかりと噛み合わさっていることも、正しい噛み合わせの基準になります。

噛み合わせを治療する方法

歯科医院で噛み合わせを治療するときの方法としてはまず、歯の原因となっている部分を削る方法(咬合調整)が考えられます。また、噛み合わせの深さが全体的に浅くなってしまっている場合、歯の全体を覆うようにしてかぶせる人工の歯(クラウン)を使用して、噛み合わせの深さを正常な距離に近づける治療を行うこともあります。

マウスピースを使用したスプリント治療は、噛み合わせが悪くなってしまい、顎関節症や歯ぎしりの症状が出ている際に用いられる噛み合わせの治療方法です。樹脂や金属、あるいはそれらを組み合わせた治療用のマウスピースを口に咥えることで、噛み合わせを治療します。スプリント治療を行うことで、顎の関節を正しい位置で安定させられるため、リラックスすることにも繋がり、精神面でも良い影響を期待できます。

まとめ

まとめ

この記事では、正しい歯並びについて解説しました。正しい歯並びの基準とメリット、悪い歯並びのデメリット、悪い歯並びを治療する方法、さらには正しい噛み合わせについて説明しました。歯並びが悪いために大きな口を開けて笑えなかったり、噛み合わせが悪いために食べることも話すことも面倒になったとお悩みの方もいるでしょう。歯並びも噛み合わせもご自身の健康状況に大きく関わってくるため、適切な状態を保つことが大切です。正しい歯並びを維持して、人生を健康的に快適に過ごしましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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