ワイヤー矯正

歯の矯正治療の費用はいくら?治療別の相場や医療費控除などについて解説!

歯の矯正治療の費用はいくら?治療別の相場や医療費控除などについて解説!

歯の矯正治療を検討中の方は、あらかじめ費用について詳しく知っておくと良いでしょう。歯の矯正治療の費用は、装置の種類によって大きく異なりますし、歯科医院によって支払方法も変わってきます。そうした歯の矯正治療の費用面・経済面の理解を深めておくと、自分に合った矯正治療法を見つけやすくなります。

ここではそんな歯の矯正の治療別の費用の相場や支払い方法、経済的負担を減らす方法などについて詳しく解説をします。

歯の矯正治療にかかる費用について知っておきたい前提知識

歯の矯正治療にかかる費用について知っておきたい前提知識 歯の矯正治療の費用について考える上では、次のような前提知識が必須となります。以下の2点について正しく理解しておかないと、歯の矯正治療の費用に関して、よくわからない点が出てきてしまいます。

歯の矯正治療の多くが保険適用されない

まずは大前提として、歯の矯正治療が自費診療になる点を理解しておきましょう。私たちが日常的に受けている医療の多くは保険が適用されることから、費用負担も3割となっています。例えば、歯科の定期検診やメンテナンスは1万円くらいの費用がかかっているのですが、実際に支払うのは3000円程度ですよね。

一方、原則として自費診療となる歯の矯正治療の費用は、10割負担となります。ただし、一定の条件を満たしている場合は、歯の矯正治療でも例外的に保険が適用されることがあります。それは重篤な顎額変形症やお口に関する先天性の異常、前歯の萌出不全による噛み合わせの異常などが認められる場合です。どれも稀なケースであるため、基本的には自費診療を前提として、歯の矯正治療の検討を進めていった方が良いでしょう

歯の矯正治療の費用は状態やクリニックによって変わる

インターネットで歯の矯正治療を調べていると、クリニックによって費用が大きく異なる点に気づくかと思います。同じようなワイヤー矯正でもなぜ数十万円の費用の差があるのか不思議に感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。それは歯の矯正治療が原則として自費診療となるからです。

また、ひとことでワイヤー矯正といっても表側と裏側の2種類があったり、歯並び・噛み合わせの状態によっても費用に違いが出てきたりするものなのです。そうしたことから歯の矯正治療の費用の相場には、一定の幅が存在しているのです。

歯の矯正治療の費用の相場を治療法別に解説

歯の矯正治療の費用の相場を治療法別に解説 ここからは、歯の矯正治療の具体的な費用の相場の解説となります。4つの治療法を例に挙げて詳しく説明します。

表側矯正:70万円~100万円(税込)

歯の矯正治療と聞いてまず頭に思い浮かぶのは、歯列の表面にブラケットと金属製のワイヤーを設置する方法ですよね。それがいわゆる表側矯正です。歴史が古く、世界のスタンダードともいえる治療法で、ほとんどの歯並びを治すことができます。その反面、装置が目立ちやすく、ひと目で矯正治療中であることがわかってしまう点には注意が必要といえます。

ですから、矯正治療中も口元の審美性を低下させたくない、できれば周囲に気づかれたくないという人は、これから紹介する裏側矯正やマウスピース矯正の方が向いているといえます。そんな表側矯正の全国的な費用相場は70万円~100万円(税込)程度です。おそらく、皆さんが想像する矯正治療の相場がこれくらいなのではないでしょうか。 ◎表側矯正のメリット・デメリットについて

【メリット】

  • 矯正力が強いため、重度の不正咬合も治療可能
  • 矯正進行を歯科医師が直接的にコントロールできる
  • 施術の歴史が長く、多くの症例や経験が蓄積されている

【デメリット】

  • 金属のブラケットやワイヤーが見えるため、見た目が気になる
  • ワイヤーや結紮線が唇や頬に当たるため、口内炎を起こしやすい
  • ブラッシングやフロッシングが難しい

裏側矯正(舌側矯正):100万円〜150万円(税込)

裏側矯正は舌側矯正(ぜっそくきょうせい)とも呼ばれる方法で、舌がある歯列の裏側にブラケットとワイヤーを設置します。極めて専門性の高い治療法であるため、どの歯科クリニックでも対応しているわけではありません。全国的に見ても裏側矯正に対応していない歯科クリニックがほとんどといえるでしょう。

裏側矯正の最大のメリットは、口元の審美性に影響を及ぼさない点です。歯列の裏側にある装置は、基本的に外からまったく見えません。上だけ装置を裏側に設置して、下は表側に着けるハーフリンガルという方法もありますが、それでも矯正治療中であることに気づかれにくいです。

ただし、特別な装置を使うこと、専門的な技術・費用を要することから、表側矯正よりも数十万円高くなるのが一般的です。全国的には100万円〜150万円(税込)が裏側矯正の費用の相場となっています。 ◎裏側矯正のメリット・デメリットについて

【メリット】

  • ブラケットやワイヤーが見えないため、見た目上の影響が少ない
  • 社交的な場面でのコンプレックスを感じにくい

【デメリット】

  • 口内の舌側に装置があるため、発音や舌の動きに影響が出ることがある
  • 表側矯正に比べると費用が高くなることが多い
  • 治療期間が長くなることがある

マウスピース矯正(部分):20万円〜45万円(税込)

透明な樹脂製のマウスピースを使う部分矯正は、20万円〜45万円(税込)程度で受けられます。費用がとても安く、装置による心身への負担が少ないことから、比較的始めやすい矯正治療法といえます。とはいえ、あくまで部分矯正なので、全体の歯並び・噛み合わせを改善することは不可能です。数本の前歯だけを少しだけ治したい場合に、マウスピースを使った部分矯正は有用といえます。 ◎マウスピース矯正(部分矯正)のメリット・デメリットについて

【メリット】

  • 装置が目立たない。
  • 取り外しが可能なため、食事や歯磨きが容易
  • 矯正治療に伴う痛みが少ない
  • 全体矯正よりも費用が安く、治療期間も短い

【デメリット】

  • 限定的な不正咬合のみ対応可能
  • 装置を取り外してしまうと矯正効果が得られない

マウスピース矯正(全体):40万円~100万円(税込)

マウスピースを使った全体矯正は、40万円~100万円(税込)程度の費用で受けられます。相場価格にかなりの幅があるのは、マウスピース矯正にたくさんの種類があるからです。世界的にも有名なインビザラインの場合は、全体矯正で70万円~90万円(税込)程度の費用がかかります。マイナーなマウスピース矯正の場合は、40万円から60万円程度で全体矯正を行える場合もあります。

いずれにしてもワイヤーを使った矯正より費用は安くなる傾向にあります。それはマウスピース矯正が診療プロセスの大半をシステム化しているからです。また、マウスピース矯正は軽度のから中等度の歯並びが対象となるため、大掛かりな歯の移動を行うケースは稀となっています。そうしたことからマウスピース矯正は価格が低く抑えられているといえるでしょう。 ◎マウスピース矯正(全体矯正)のメリットとデメリットについて

【メリット】

  • 装置がほぼ見えないため、審美的な問題が少ない
  • 矯正装置を取り外すことができ、食事や歯磨きが容易
  • 従来の矯正方法に比べて痛みが少ないことが多い
  • 部分矯正よりも適応範囲が広い

【デメリット】

  • 矯正力が制限されるため、重度の不正咬合の治療には向かないことがある
  • 装置を定期的に取り外すと矯正効果が得られない。
  • コストが高いことがある
  • 部分矯正よりも治療期間が長い

歯の矯正は自分にあった費用の支払い方法を選ぼう

歯の矯正治療の費用の支払い方法は、トータルフィー制と処置別支払い制の2つに大きく分けられます。これは歯の矯正治療の費用の相場と直接、関連していることではありませんが、患者さんの経済面に大きな影響を及ぼす要素なので、きちんと理解しておくことが大切です。

トータルフィー制(一括払い)

歯の矯正治療におけるトータルフィー制は、一括払いに相当する支払い方法です。矯正装置や保定装置の費用から毎回の調整料、治療に伴う抜歯や歯科矯正用アンカースクリューの植立埋入費用なども含んだ総額の費用を一括で支払います。後から費用を請求される心配もないため、見通しを立てやすい支払い方法といえます。トータルフィー制であったとしても、歯科クリニック独自に分割払いを提供していたり、デンタルローンに対応していたりするため、必ずしも一括で支払わなければならないというわけではありません。

処置別支払い制(処置ごとの都度払い)

歯の矯正治療の処置ごとに、その都度、料金を支払っていく方法を処置別支払い制といいます。歯列矯正は数年かけてゆっくりと進めていくものなので、料金が発生する頻度もそれほど高くはありません。矯正治療にかかる高額な費用を一括払いできないという人は、こうした処置別支払い制に対応した歯科クリニックを選ぶと良いでしょう。ただし、都度払いであったとしても、矯正装置を装着する際にはまとまった費用が発生しますので、その点はご注意ください。

費用が返ってくる?歯の矯正治療の医療費控除を受ける方法

費用が返ってくる?歯の矯正治療の医療費控除を受ける方法 最後に、矯正治療で支払った費用の一部が返ってくる制度について詳しく解説します。それは医療費控除と呼ばれる制度です。これまで大きなケガや病気をした経験がある人なら、もうすでに利用したことがあるかもしれませんね。歯の矯正治療は、一般的な病気やケガを治すための治療ではありませんが、ほとんどのケースで医療費控除の対象となります。

歯の矯正治療の医療費控除とは

健康を守るためにかかる医療費。医療機関に通うことは誰しもが経験するものですが、高額になることもしばしば。そんな時に役立つのが医療費控除です。歯の矯正治療は、その中の一例であって、他にもたくさんの種類の治療が医療費控除の対象となっています。 ◎税額を軽減できる制度 医療費控除は、所得税法上の控除制度の一つ。一定の条件を満たす医療費を支払った場合に、その金額を所得から控除することができる制度です。この制度を利用することで、実際にかかった医療費に応じて税額を軽減することが可能となります。

◎医療費控除の対象となる費用
医療費控除の対象となるのは、以下のような治療費です。

  • 一般的な医療機関での診療費
  • 処方箋薬の代金
  • 歯科治療や矯正治療
  • 保健所や公的機関での接種料
  • 入院費や手術費
  • 通院でかかった交通費

◎医療費控除の条件
医療費控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 1年間の医療費が10万円を超えること(所得に応じて変動する場合も)
  • 保険からの補償を受けていない金額に限る
  • 本人や扶養家族の医療費が対象となる

◎医療費控除の申請方法
医療費控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。以下は、その手順の概要です。

  • 医療機関からの領収書や処方箋薬の領収書を整理・保存する。
  • 医療費控除の明細書を作成する
  • 必要な書類とともに税務署へ提出する。

注意点として、確定申告の期間は通常2月16日から3月15日までです。この期間を逃すと、控除を受けることができません。ただし、医療費控除は過去5年まで遡って申請できるため、昔受けた矯正治療の費用も後から控除を受けることも可能となっています。

歯の矯正で医療費控除の対象になるケース

歯の矯正治療では、ほとんどのケースで医療費控除を受けられるといっても間違いではありません。ですから、歯の矯正で医療費控除を受けられないケースについて説明した方が理解も早まるかと思います。

医療費控除というのは、その人の健康を害している病気や異常を改善するための治療が対象となります。ですから、保険診療で支払った医療費はほぼすべてが医療費控除の対象となります。そうなると必要最低限ではない、審美性や機能性を追求した歯科治療は、一様に医療費控除の対象外となりそうなものですよね。けれども、実際に医療費控除の対象外となるのは、審美性の向上だけを目的とした治療のみです。

歯の矯正治療に置き換えると、とにかく歯並びの見た目だけを改善する治療が当てはまります。現実的にそうした歯の矯正治療は、極めて稀といえますが、カウンセリングの段階でそのような治療に該当しないかどうかはきちんと確認しておきましょう。これは歯の矯正治療に限らず、セラミック治療やインプラント治療でも同じことがいえます。逆にいうと、それ以外のケースでは、原則として医療費控除の対象となるといえるでしょう。

まとめ

まとめ 今回は、歯の矯正治療の費用について、治療法別に解説しました。歯の矯正治療で費用が最も高いのは裏側矯正(舌側矯正)で100万円〜150万円(税込)、最もスタンダードな表側矯正は70万円~100万円(税込)、マウスピース矯正(部分)は20万円〜45万円(税込)、マウスピース矯正(全体)は40万円~100万円(税込)程度となっています。

こうした治療法別の費用の違いについて理解しておくと、自分に合った装置が見つけやすくなることかと思います。また、歯の矯正治療を受けた際には、医療費控除の申請をすることもお忘れなく。本文でも述べたように、歯の矯正治療のほとんどのケースは医療費控除の対象となります。適切な方法で申請することで、経済的負担を大きく減らせることでしょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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