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開咬の治療による顔の変化とは?開咬の問題点や治療法について解説!

開咬の治療による顔の変化とは?開咬の問題点や治療法について解説!

開咬(かいこう)と呼ばれる症状がある人は要注意です。なぜなら開咬という歯並びには、さまざまなリスクを伴うからです。

開咬は、口腔機能だけではなく、顔貌という審美面にも大きな悪影響を与えかねない点に注意が必要です。ここではそんな開咬の問題点や治療によって改善する方法、その結果として現れる顔の変化などを詳しく解説します。

開咬(オープンバイト)とは

開咬(オープンバイト)とはどのような症状ですか?
開咬はオープンバイトとも呼ばれる歯並びで、奥歯では噛むと前歯部に不自然な隙間が生じる状態を指します。上下の前歯の間に隙間があるため、食べ物を噛み切ることが難しいです。一般的な不正咬合である出っ歯や受け口、乱ぐい歯などとは違った特徴が見られる歯並びといえるでしょう。
開咬(オープンバイト)になる原因について教えてください。
開咬になる原因は、以下の3つに大きく分けられます。

原因1:幼少期の癖
幼児期から学童期にかけて、指しゃぶりや舌を前に突き出す癖などがあると、開咬になりやすいです。そうした習癖は、上下の前歯の間に隙間を作るような力が働くからです。

原因2:呼吸器系の疾患
アデノイドのような喉の奥が慢性的に腫れる病気を抱えていると、鼻で呼吸するのが困難となります。その他、口呼吸が誘発されるような呼吸器系疾患などでも、開咬を誘発されることがあります。口で呼吸していると、顎の骨の発育が遅れてしまうからです。とくに下顎の骨がしっかりと成長しないと、骨格的に口を閉じることが困難となるため、結果として開咬という歯並び・噛み合わせの異常を招いてしまうのです。

原因3:遺伝による骨格的な問題
開咬は、生まれつきの骨格によって引き起こされることもあります。そうした遺伝による骨格的な異常は、家族内で共通していることが多いです。つまり、開咬の症状が本人だけではなく、兄弟や両親にも認められる場合があります。

開咬(オープンバイト)の問題点と治療法

開咬(オープンバイト)の問題点と治療法

開咬(オープンバイト)を放置する問題点について教えてください。
開咬は、治療を受けずに放置していると、たくさんのデメリットが生じるため注意が必要です。一般的には以下に挙げる6つの問題点を抱えることになります。

問題点1:発音がしにくくなる
開咬は、上下の前歯部間で常に隙間が生じています。それは言葉を発する時も同じです。前歯部に不必要な隙間があると、息漏れが生じて発音が悪くなります。それが幼児期から学童期に見られると、言語学習の面にまで悪影響が生じる場合もあるのです。

問題点2:顎関節症になるリスクが高くなる
開咬では、前歯で食べ物を噛むことが難しくなるため、奥歯や顎関節に大きな負担がかかります。その結果として顎関節症のリスクが上昇します。

問題点3:むし歯や歯周病になるリスクが高くなる
開咬で奥歯に大きな負担がかかると、歯や歯茎にダメージが蓄積していきます。そうなるとむし歯や歯周病といった口腔疾患のリスクが高くなってしまうのです。開咬の症状が見られる前歯部もケースによっては清掃性が悪くなることから、磨き残しが多くなってむし歯リスクが上昇します。

問題点4:奥歯が損傷する可能性がある
奥歯に大きな負担がかかることで、歯の破折や亀裂などを引き起こす場合があります。それは開咬によって前歯での咀嚼が困難となるからです。

問題点5:面長になる可能性がある
骨格的な異常に伴う開咬は、顔貌が面長になりがちです。顔が長く見えることをコンプレックスに感じている人は少なくありません。歯並び・噛み合わせの異常が原因の開咬でも、面長になることはあります。

問題点6:前歯で食べ物を噛み切れない
前歯部に隙間がある開咬では、基本的に前歯での咀嚼が困難となります。それは食事の満足度を低下させることにもつながるため注意が必要です。例えば、うどんのような麺類を奥歯だけで食べることを想像してみましょう。うどんを噛みにくいと感じるだけではなく、うどんをしっかり味わうことも難しくなります。

開咬(オープンバイト)の治療法にはどのようなものがありますか?
開咬は、自力で治すことはできません。基本的には、表側矯正、裏側矯正、マウスピース型矯正といった歯列矯正で改善することになります。

・表側矯正
もっともスタンダードな歯列矯正の方法です。歯の表側にブラケットを固定し、歯列全体に金属製のワイヤーを通すことで歯が動いていきます。装置が目立ちやすいという難点はあるものの、比較的難易度の高い開咬の症例でも治しやすい矯正法といえます。

・裏側矯正(舌側矯正)
ブラケットとワイヤーを歯列の裏側に装着する矯正法です。装置がまったく見えないといっても間違いではないほど、審美性に優れた方法といえるでしょう。表側矯正と同様に、開咬を治すことも可能ですが、治療を行う歯科医師には高い技術力と豊富な経験が求められます。ちなみに裏側矯正は、舌側矯正(ぜっそくきょうせい)とも呼ばれることもあります。

・マウスピース型矯正
歯列にぴったりとフィットするマウスピースを装着して、歯並びを整えていく矯正法です。装置は着脱式なので、食事や歯磨きを普段通りに行えます。透明な樹脂で作られたマウスピースを使用することから、矯正中であることに気づかれにくいというメリットも得られます。ただし、表側矯正や裏側矯正ほど適応範囲は広くないので、重症度の高い開咬は、マウスピース矯正で治せないことも珍しくありません。

開咬(オープンバイト)の治療による顔の変化

開咬(オープンバイト)を治療すると顔はどのように変化しますか?
開咬を矯正で正常化すると、面長だった顔貌が標準的な形態へと変化します。具体的には、Eラインが改善します。Eラインとは、鼻の先と顎の先を結んだ線で、唇がその少し内側に位置しているのが日本人の理想といわれています。噛み合わせのバランスが整うことで、顔の歪みも改善されることでしょう。
開咬(オープンバイト)の治療で顔が変化するのはいつごろですか?
開咬を治すための歯列矯正では、治療開始から1年程度、経過したくらいから顔の変化を感じやすくなることでしょう。歯が動く速度や開咬の状態によっては、治療開始から半年程度で、顔貌が良くなる場合もあります。

開咬(オープンバイト)の治療による顔以外の変化

開咬(オープンバイト)の治療による顔以外の変化

開咬(オープンバイト)の治療による顔以外の変化について教えてください。
開咬を矯正治療で改善すると、次に挙げるような変化も期待できます。

・滑舌が良くなる
歯並びや噛み合わせの状態は、滑舌にも大きな影響を与えます。歯列矯正で開咬の症状が改善されたことで、滑舌まで良くなったという人は意外に多いものです。

・口をしっかり閉じられるようになる
矯正によって前歯がしっかり噛むようになると、口も閉じられるようになることでしょう。口が閉じられないという開咬特有の症状を解消できます。

・表情が豊かになる
噛み合わせが良くなり、口もきちんと閉じられるようになれば、口腔周囲の筋肉も正しく使えるようになります。その結果、表情が豊かになる人も多いです。笑顔にも自信が持てるようになり、人とコミュニケーションをとることにも積極的になれます。

・姿勢が正しくなる
悪い噛み合わせが改善されることで、姿勢が正しくなるという現象もよく見られます。噛み合わせは私たちの姿勢とも深く関係している要素なのです。

開咬(オープンバイト)を治療することで改善される悪癖について教えてください。
開咬を始めとした不正咬合には、歯ぎしりや食いしばりといった口腔習癖がつきものです。噛める位置が安定しないことのストレスや、奥歯に過剰な負担がかかることで、歯ぎしり・食いしばりが誘発されてしまうのです。歯列矯正で開咬が改善されれば、そうした悪習癖も解消しやすくなるでしょう。

編集部まとめ

今回は、開咬の治療による顔の変化や放置するリスク、開咬の治療方法などを解説しました。開咬は、ワイヤー矯正やマウスピース型矯正といった歯列矯正で改善できることが多いです。開咬を治療によって改善できれば、面長な顔貌が正常化されたり、Eラインが良くなったりします。

顔以外にも、滑舌が良くない、口をしっかり閉じられるようになる、表情が豊かになる、姿勢が正しくなるなどの良い変化がもたらされるため、開咬に悩まされている人は積極的に治療を受けることをおすすめします。逆に、開咬を放置していると、発音がしにくくなる、顎関節症になるリスクが高くなる、むし歯や歯周病になるリスクが高くなる、奥歯が損傷する可能性があるといったデメリットを伴うため十分な注意が必要です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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