ワイヤー矯正

小児矯正は第一期でやめることが可能?子どもが嫌がる場合の対処法もまとめました

小児矯正は第一期でやめることが可能?子どもが嫌がる場合の対処法もまとめました

子どもの歯並びの治療である小児矯正は、第一期と第二期の2つの時期に分けられます。通常は第一期治療と第二期治療の両方を実施するのですが、いろいろな理由から第二期治療を行うのが難しくなるケースも珍しくありません。そうなると小児矯正を半分しか行えていないようなイメージがあるため、第一期治療でやめるのは意味がないと考える方もいらっしゃることでしょう。ここではそんな第一期治療でやめることの可否や第二期治療を嫌がる子どもへの対処法を解説します。

小児矯正の治療内容

小児矯正の第一期の治療内容を教えてください
小児矯正の第一期治療では、永久歯をきれいに並べるための土台作りを行います。とくに重要なのが顎の骨の大きさやバランスです。顎が小さいと全部で28本ある永久歯をきれいに並べることができなくなるからです。上下の顎のバランスが悪いことでも出っ歯や受け口といった歯並びの異常を誘発してしまうことでしょう。 小児矯正の第一期治療では、固定式や着脱式の装置を適宜、使用しながらそうした顎の発育を正常化することが主な治療内容となっています。そのため多くのケースでは、第一期治療だけで完結はせず、第二期治療も必要となりやすいようです。
小児矯正の第二期の治療内容を教えてください
小児矯正の第二期治療は、子どもの歯並びの治療の仕上げとなります。第一期治療で永久歯をきれいに並べるための土台が完成したら、次は歯並びの細かい調整・移動です。ワイヤー矯正やマウスピース型矯正で1本1本の歯を細かく動かして、美しい歯列弓を作り上げます。第一期治療でしっかりとした土台が形成されていると、第二期治療での調整がしやすく、抜歯も不要となることが多いそうです。良い仕上がりも期待できます。治療期間は1~3年程度が一般的で、その後も同じくらいの期間、保定(ほてい)をする必要があります。ですから、第二期治療は全体で2~6年程度かかるため、中学校や高校の間は何らかの装置を装着することになります。

小児矯正を第一期でやめる影響

小児矯正を第一期でやめることはできますか?
小児矯正を第一期治療でやめることは可能です。矯正の性質上、第二期治療までやり遂げるのが望ましいようですが、第一期治療と完全なパッケージになっているわけではないため、第二期治療を受けなかったとしても契約上の問題とはなり得ません。ですから、ご家庭の事情やお子さんの心情によって第一期治療でやめることはできます。
小児矯正を第一期でやめるとどのような影響が出ますか?
永久歯列になってから歯並びが悪くなる可能性が高まります。小児矯正の第一期治療と第二期治療には、明確に異なる目的があるため、後者を受けないことで十分な矯正の成果が得られないケースは少なくありません。例えば、第一期治療で顎の骨の拡大や上下のバランスの調整が上手くいったとしても、永久歯列がきれいに並ばないことは多々あります。その際、第二期治療を受けないと乱ぐい歯や受け口といった歯並び・噛み合わせの異常が残り続けることになります。それは悪い歯並びによる審美障害・そしゃく障害・発音障害・嚥下障害などに悩まされ続けることを意味します。

永久歯列で悪い歯並びが残ってしまうと、思春期で辛い経験をすることになるかもしれません。悪い歯並びには必ずといって良いほど悪い噛み合わせを伴うことから、食べものを噛みにくい、特定の歯に大きな負担がかかる、顎の関節を傷めるといったリスクを背負いながら、これからの人生を歩んで行かなければならなくなることも忘れてはいけません。永久歯は生え変わることのない歯であり、これから待っている70~80年の人生を共にする歯であることを強調しておきます。

子どもが小児矯正を第一期でやめると言った場合の対処法

子どもが小児矯正を第一期でやめると言った場合の対処法

子どもが小児矯正を嫌がる場合はどうすれば良いですか?
まずはお子さんに対して第二期治療の必要性を丁寧に説明してあげてください。第一期治療はあくまで半分の処置が終わった段階であり、残り半分をやり遂げないと美しくて健やかな歯並び・噛み合わせは手に入らないことを理解してもらうことが大切です。周りに二期治療を受けている友達がいれば、それを例に挙げるのも良いでしょう。確かに、二期治療というのは、学校でも装着し続けなければ装置を使用するため、心身への負担も大きくなりますが、他の子も頑張ってやっているという現実があれば、お子さんの意識も変わるかもしれません。また、歯医者への苦手意識が原因で第二期治療を拒んでいる場合は、子どもに優しい歯科医院を探してあげてください。歯科医院の雰囲気や先生の人柄によっては、矯正治療へのモチベーションも向上することでしょう。ですから、お子さんが第二期治療を拒んでいる場合は、何が原因であるのかもしっかり聴き取ることが大切です。
子どもが嫌がらないような小児矯正の方法を教えてください
小児矯正の第二期治療は、1日中装置を装着する矯正となるため、矯正の種類を慎重に選ぶ必要があります。歯の表面に金属製のブラケットとワイヤーを固定するワイヤー矯正は、見た目が良くないだけでなく、食事や歯磨き、会話にまで支障をきたすことが多いため、第二期治療を拒んでいるお子さんにはあまりおすすめできません。透明で目立ちにくいマウスピース矯正なら、矯正による審美障害を最小限に抑えられることから、第二期治療を 嫌がるお子さんも少なくなることでしょう。また、マウスピース矯正は食事や歯磨きの際に取り外せたり、発音障害が現れにくかったりするなどのメリットも伴います。マウスピース矯正では治しにくい症例は、裏側矯正を選択すると良いでしょう。裏側矯正もワイヤー矯正の一種ではあるものの、ブラケットとワイヤーを歯列の裏側に固定するので一見すると何もつけていないように見えます。食事の時に食べ物が装置に詰まっても見た目上はあまり気になりません。歯列の裏側は唾液による自浄作用も働きやすいため、虫歯・歯周病リスクも低減できます。

費用が原因で小児矯正を第一期でやめる場合の対処法

費用が原因で小児矯正を第一期でやめる場合の対処法

高額な小児矯正の費用を抑える方法を教えてください
小児矯正は、成人矯正よりも費用が安い傾向にありますが、第一期治療と第二期治療を合わせると、それなりの金額となります。そのため第一期治療の費用は払えたけれど、第二期治療は経済的に難しいというご家庭もあるようです。そうした小児矯正の経済面での負担は、治療を早期に始めることで軽減できます。例えば、比較的症状の重たい受け口は、3~4歳から適切な治療を行うことで、効率よく改善できます。その治療を小学校の高学年に始めたり、第二期治療だけ受けたりすると、抜歯や外科矯正が必須となるケースも珍しくないのです。治療期間も長くなることで、費用も高額となります。

ですから、高額な小児矯正の費用を抑えたいのであれば、できるだけ早期に矯正相談を受けておくのが望ましいと言われています。小児矯正というのは、相談を受けたらすぐに治療が始まるというものではありません。大切なのは小児矯正が今後、必要になるかどうかの診断を受けることです。そうした観点から小児矯正は3歳くらいで相談を受けても決して早くはないといえます。

編集部まとめ

このように、小児矯正は第二期治療まで行うことで十分な成果が得られるケースが多いといえます。ですから、小児矯正を第一期治療でやめてしまうことは、お子さんがさまざまなデメリットを被ることにつながるためあまりおすすめできません。お子さんが第二期治療を受けることを嫌がった場合は、親御さんがその必要性を丁寧に説明してあげましょう。それが難しい場合は、子どもの診療が得意で優しく接してくれる歯科医院を見つけて、歯科医師から説明してもらうことが大切です。せっかく第一期治療を乗り切ったのですから、残り半分の第二期治療も頑張っていきましょう。小児矯正で手に入れた美しい歯並びはお子さんにとって何にも代えがたい財産となるでしょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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