マウスピース矯正

マウスピース型矯正で欠かせないチューイーの役割と正しい使い方を解説

マウスピース型矯正で欠かせないチューイーの役割と正しい使い方を解説

マウスピース型矯正は、樹脂製のマウスピースを装着するだけで歯並びを改善できる方法として有名ですが、実際はそれ以外にもやらなければならないことや、注意すべきことがあります。

そのなかでもチューイーと呼ばれる補助道具は、マウスピース型矯正を成功させるうえで欠かせないものとなっています。この記事では、マウスピース型矯正におけるチューイーの役割や正しい使い方など気になる疑問にお答えします。

マウスピース型矯正のチューイーとは

マウスピース型矯正のチューイーとは マウスピース型矯正で使用するチューイーの基本事項を確認しておきましょう。

マウスピース型矯正の際に使用するチューイーとはどのようなものですか?
チューイーとは、弾力性のあるシリコンで作られたロール状の補助道具です。

「chew(チュー)」という「噛む」を意味する言葉が由来になっており、マウスピース型矯正装置のうえから噛むことで役割を果たします。チューイーのなかには、フレーバー付きの製品も販売されているものもあります。

チューイーを使用する目的は何ですか?
チューイーを使う目的は、マウスピース型矯正装置をしっかりと装着させることです。マウスピース型矯正装置は、歯列にフィットするよう作られていますが、しっかりと適合させるには一定の力が必要です。チューイーを噛んでマウスピースを定位置まで装着できれば、マウスピース型矯正に支障をきたすことも少なくなります。
チューイーはどのように使用するか教えてください
チューイーの使い方は以下の手順で行います。
  1. マウスピースを装着する
  2. 前歯でチューイーを噛む
  3. 奥歯に向かって噛む
  4. 全体を均等に噛む

チューイーは、前歯部から使用するのが基本となります。マウスピースを装着した後、前歯の部分でチューイーを噛んで、定位置まで押し込みましょう。

続いては、奥歯になります。このときに片方ずつチューイーを噛むとバランスが悪く、マウスピースが適切な位置まで沈み込まなくなるため、両側で噛み込むようにしましょう。チューイーを2つ使って、左右の臼歯部を同時に噛み込みます。

チューイーのメリットとデメリット

チューイーのメリットとデメリット マウスピース型矯正でチューイーを使用するメリットとデメリットについて解説します。

チューイーのメリットを教えてください
マウスピース型矯正でチューイーを使うメリットとしては、以下の3つが挙げられます。

【メリット1】マウスピースを正しく装着できる
マウスピースは正しく装着しないと期待する効果は得られません。チューイーを使うことで、マウスピースを正しく装着する補助をしてくれます。

【メリット2】マウスピースの装着を効率よく行える
マウスピース型矯正では、1日のうちに何度も着脱する機会があるため、効率よくマウスピースの装着を行いたいものです。チューイーを使用すれば、装着しやすくなるのもメリットの一つでしょう。

【メリット3】マウスピースの破損や変形を防ぎやすい
チューイーを使わずにマウスピースを装着しようとすると、必要以上に力がかかってしまいます。チューイーは弾力性のあるシリコンで作られており、しっかり噛んでもマウスピースに極端な圧力がかかりにくい設計になっていることから、矯正装置の破損や変形も防いでくれます。

チューイーを使用するデメリットがあれば教えてください
マウスピース型矯正でチューイーを使うメリットとしては、以下の3つが挙げられます。

【デメリット1】使用する度に劣化するので交換が必要
耐久性の低い素材で作られているため、使用する度に劣化していきます。消耗品なので定期的に交換をしなければなりません。劣化が進むと機能を果たさなくなるため、古いものを使用し続けることのないようにしましょう。

【デメリット2】過度に使用すると歯や顎に大きな負担がかかる

チューイーは、軟らかい素材で作られていますが、10〜20分噛み続けたり、極端に強い力で噛んだりすると、歯や顎に大きな負担がかかります。

【デメリット3】衛生管理が求められる
口腔内はさまざまな細菌がいるため、毎回使用後には、水洗いをして乾燥までさせなければなりません。この手間を面倒と感じる方も少なくありません。

【デメリット4】外出時には携帯する必要がある
マウスピースは外出先でも着脱する機会があるため、チューイーも常に携帯しなければなりません。

チューイー使用時の注意点

チューイー使用時の注意点 マウスピース型矯正のチューイーを使用する際の注意点を解説します。

チューイーを使う際に注意すべきことがあれば教えてください
チューイーを使用する際には以下の点に注意しましょう。
  • 適切な力で噛む
  • 長く噛み続けない
  • マウスピース交換直後は入念に噛む
  • 定期的に新しいものに交換をする

チューイーは弾力のある素材で作られているため、力強く噛んでしまいがちです。噛む力が強すぎると歯や顎に大きな負担がかかるため注意しましょう。

噛む時間は、2〜3分程度で問題ありません。新しいマウスピースに交換した直後は、マウスピースもはまりにくいため、少し長く噛んでしっかり装着しましょう。

また、チューイーは消耗品です。使用を始めてから1週間くらい経過すると、弾力が失われたり、裂けたりしてしまいます。そのため、チューイーは7〜10日程度、長くても2週間以内には新しいものに交換するようにしてください。

チューイーが割れた場合はどうすればよいですか?
チューイーが割れたり、硬くなったりした場合は、速やかに新しいものへと交換してください。チューイーの予備がない場合は、タオルやティッシュ、キッチンペーパーなどを代替品として使うとよいでしょう。

その際には、本物のチューイーと同じ感覚で噛むんでしまうと、歯やマウスピースを傷める可能性があるため、少しずつ圧力を強めながら、慎重に噛み込むようにしてください。

チューイーを使用する際に痛みを感じた場合はどうすればよいですか?
チューイーを強く噛みすぎている場合は、力の加減に注意してください。

新しいマウスピースに交換したときは、普段どおりに噛んでいるにも関わらず、歯が痛いと感じることが少なくありません。そのようなケースでは、普段以上に注意を払いながらチューイーを慎重に噛みましょう。

それでも対処できない場合は、ひとつ前のマウスピースに戻すことが推奨されます。おそらくまだ歯が動いておらず、次の歯列矯正の段階に進むには早すぎた可能性があります。

編集部まとめ

今回は、マウスピース型矯正で欠かせないチューイーの役割と正しい使い方について解説しました。マウスピース型矯正で使用するマウスピースは、手だけではしっかり装着できないことがほとんどなので、専用の補助道具であるチューイーを使用するのが望ましいです。

チューイーを正しく使用していれば、マウスピースの浮き上がりを防止でき、マウスピース型矯正もスムーズに進んでいくことでしょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

北海道大学歯学部卒業 / 医療法人社団天祐会 副理事長 / 専門はマウスピース矯正、小児矯正

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