歯並びが悪く噛み合わせを治すことを考えている人は多いのではないでしょうか。
矯正歯科治療は、噛み合わせを修正して歯並びをきれいにする歯科治療方法ですが、実際どのような治療方法なのか知らない人がほとんどです。
矯正歯科治療の方法として、従来はワイヤー式治療が大半を占めていましたが、見た目を気にする人は敬遠しがちになっていました。
目立たない矯正として、今注目を浴びているインビザラインについて、どのような特徴なのかやほかの矯正方法との違いなどを、この記事では詳しく紹介します。
インビザラインとは?
インビザライン(※)とは、歯並びを矯正するための透明なマウスピース型の矯正装置ですが、その特徴を下記に記載します。
- マウスピース型ブランドのひとつ
- 世界で1500万人以上が治療を受けている
上記の内容について、ここでは詳しく解説します。
(※) 未承認医薬品等であるため医薬品副作用被害救済制度の対象とはならない可能性があります。
マウスピース型ブランドのひとつ
インビザラインは、マウスピース型の矯正装置を提供するブランドのひとつです。
米国アライン・テクノロジー社が開発・製造していますが、日本国内ではインビザライン・ジャパン社から入手できます。
ワイヤーを使用せず、歯磨きや食事の時に自分で取り外し可能な透明のマウスピース型装置のため、目立たず取り扱いやすいです。
インビザラインは、患者さん一人ひとりに合わせて歯型を取り、3Dにて治療過程を想定し工程ごとにマウスピースを製作します。
装着時間は、1日20時間以上が目安とされており、装着することで徐々に歯並びを矯正していきます。
世界で1500万人以上が治療を受けている
インビザラインは、透明なため目立ちにくく、治療をしていることを気づかれにくいという特徴があります。
気になる顔の印象も変わらないことと、取り外しができるので口腔内を清潔に保てます。 幅広い歯並びの症例に適応できるので、軽度から重度まで対応が可能です。
ご自身の治療計画が組まれ、マウスピースの作り直しや修正なども保証期間内に対応可能です。
インビザラインの保証期間は、5年間ありますので期間内であれば何度でも修正可能なところも魅力になります。
歯科医院によっては、独自の10年保証を提供している場合もあります。
インビザラインとほかのマウスピース型矯正の違いは?
インビザラインとほかのマウスピース型矯正の違いには、どのようなものがあるのでしょうか。 その違いを下記に記載します。
- 型取りの違い
- 治療実績の違い
- 通院期間の違い
上記の違いについて、ここでは詳しく解説します。
型取りの違い
ワイヤー矯正の場合は、型取りは行う必要はありませんが、インビザラインではiTeroという3Dスキャナーを使用して歯全体を撮影します。
3Dで撮影するため、歯並びや形状を精密で正確な情報を入手できるので、その情報をもとに型取りが行われ治療計画の基盤になります。
また、従来の型取りでは、ペースト状のひんやりした物体をトレーに盛って口の中に入れて型を取っていました。
口の中にやわらかい物体が入るため、型取りが苦手な人も多かったのではないでしょうか。
それに比べるとインビザラインの型取りは不快感もないうえに、正確な型取りができますので非常に便利です。
歯科医師は3Dスキャナーで取得した情報をもとに、治療プランを段階ごとに作成し歯の移動をシミュレーションできるので治療計画がスムーズに行われます。
治療実績の違い
インビザラインは、全世界で使用されていますが1997年にアメリカで開発され、すでに20年以上の実績があります。
また、症例数も1500万人以上もあることから、さまざまな過去の症例データを活用できるため失敗の少ない矯正治療を実現しています。
インビザラインはさまざまな症例に対応できるように設計されていますが、歯並びの矯正だけでなく、咬み合わせの調整や歯の移動も可能です。
ワイヤー矯正は、1度装着すると1年以上外せないということに比べるとインビザラインは取り外しが可能なうえ、透明なマウスピース型矯正なので目立ちません。
特に大人の場合は、見た目を気にする人が多いのでインビザラインでの治療を希望する人が増えています。
通院期間の違い
インビザラインは、自分で取り外し可能な装置のため、交換なども自宅で行うことが可能です。
ワイヤー矯正の場合は、1か月に1回の通院が主流ですが、インビザラインは約2か月に1回の頻度となります。
インビザラインのマウスピースは1度に複数のマウスピースを製作して患者さんにお渡ししますので、取り付け作業はご自分で実施します。
通院した時に、器具の調整やマウスピースを受け取るだけですみますので、診療時間も短く抑えられるのです。
また、最初に製作した複数のマウスピースを患者さんに渡してしまい、交換などのスケジュールを歯科医師が指示を出して通院が最小限になるサービスもあります。
忙しく時間がなかなか取れない人にとって、便利なサービスです。
インビザラインとワイヤー矯正の違い
インビザラインとワイヤー矯正の違いには、どのようなものがあるのでしょうか。一般的な違いは、下記になります。
- 矯正装置の違い
- 矯正期間の違い
- 通院期間の違い
- 費用の違い
上記の違いについて、ここでは詳しく解説します。
矯正装置の違い
ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットという金具を装着して、その金具にワイヤーを通して歯並びを矯正します。
ワイヤー矯正は1度装着したら、外すことはできず、通院の度にワイヤーの矯正で歯を少しずつ動かすのです。
見た目が目立つため、敬遠する人も多くいましたが最近では目立たない矯正として、ワイヤーが透明なものや白い装置が登場しています。
それに対してインビザラインは歯全体に薄い透明なマウスピースを装着して、歯並びを治していきます。
歯を透明なプラスチックの素材でカバーする形なので、目立ちにくいというのが特徴です。
また、自分で取り外し可能なため、歯磨きや食事の際に取り外せるので便利です。
矯正期間の違い
インビザラインの矯正期間についてですが、歯の移動量によって異なり、少ないケースの場合は数ヶ月で終了する場合もあります。
歯並びが悪いため移動量が多く必要な人の場合などは、2年以上かかることもありますが平均的な治療期間は、数か月〜1年半位といわれています。
ワイヤー矯正での治療期間は、平均で数か月〜2年程度となりますのでインビザラインでの治療は早く終わるイメージです。
人それぞれの症状によって異なりますので、あくまで目安として認識しましょう。
通院期間の違い
インビザラインは、3Dスキャナーで歯型を取ってから、歯の状態に合わせてマウスピースを複数制作します。
取り外しが自分でできるため、通院する頻度も他の矯正治療よりも少なくなります。
ワイヤー矯正での治療の場合は、通院して歯列の状態を確認しその都度調整をしますので、1ヶ月に1度の通院が必要となります。
それに対してインビザラインは、2ヶ月に1度の通院と短く、通院時に状態を確認する時間くらいで済むことが多いです。
通院時のストレスも少なく、時間に余裕がない人にとっては通いやすくなります。
費用の違い
インビザラインの費用は、歯科医院によって異なることと部分矯正と全体矯正によっても違いますが、平均的な価格を下記に記載します。
(インビザライン費用)
- 部分矯正:300,000円~400,000円(税込)
- 全体矯正:700,000円~1,000,000円(税込)
(ワイヤー矯正費用)
- 表側矯正:500,000円~900,000円(税込)
- 裏側矯正:900,000円~1,400,000円(税込)
上記はあくまで平均的な金額になります。
インビザラインの特徴は?
インビザラインの特徴としては、目立ちにくいということが一番大きく、矯正期間中でも他の人に気づかれることが少ない点です。
ワイヤー治療だとワイヤーやブラケットが目立ってしまうため、敬遠されがちでしたがインビザラインの登場で歯科矯正へ注目も高まりました。
また、自分で取り外し可能でお手入れも楽というメリットがあるので、幅広い年代の人から支持を受けている治療方法です。
透明な薄いプラスチック素材を使用しているので、装着している違和感も最初のみで付けていることを忘れてしまうかもしれません。
プラスチック素材なので、金属アレルギーなどの心配もなく、取り外し可能なので口腔内を清潔に保てます。
このように、さまざまなメリットがあるのがインビザラインなのです。 インビザラインの主な特徴を下記に記載します。
- 型取りが1度だけで済む
- 3Dの画像データで治療計画を行う歯科医院も
上記の特徴について、ここでは詳しく解説します。
型取りが1度だけで済む
歯の型取りは、その都度行いますがインビザラインは治療開始時に行う3Dスキャナーで型取りを1回行うだけです。
歯科医院での型取りは、ペースト状の素材を使用するのが普通ですが、その食感や口の中の不快感から苦手意識がある人も多いのです。
型取りが1回で済むのは、型取りが苦手な人にとってもメリットになります。
3Dの画像データで治療計画を行う歯科医院も
インビザラインは、治療開始時に3Dスキャナーで口腔内を撮影して、歯並びの状態を確認します。
撮影した3Dスキャナーの情報を元に徐々に歯列を調整するシミュレーションを実施し、ご自身に合わせたマウスピースを製作します。
1度に複数枚のマウスピースを製作しますので、マウスピースをその都度製作するために型取りを何度も行う必要がありません。
マウスピース型矯正で失敗しないための注意点
インビザラインのようなマウスピース型矯正は、専門的な知識を要するので矯正専門の歯科医師が治療を行う歯科医院がおすすめです。
歯並びが悪い状態は、不正咬合と呼ばれ人によって症状が違いますので、その状態に合わせた治療が必要となります。
軽度の状態から重度まで症例は幅広いので、歯科医師の実力と経験が非常に重要です。
インビザラインで失敗しないための注意点を下記に記載します。
- 装着時間を守る
- 通院期間を守る
上記の内容について、ここでは詳しく解説します。
装着時間を守る
インビザラインは、マウスピースを装着して歯列を少しずつ矯正していく治療法なので、装着時間が非常に重要になります。
ワイヤー装置などは、1度取り付けたら治療が終了するまで取り外しができませんが、インビザラインはマウスピース型なのでいつでも取り外しが可能です。
非常に便利な反面、取り外したことを忘れてしまい装着時間が短くなってしまう場合があります。
マウスピースで矯正している期間が短くなれば、その分歯の移動は遅れますので治療期間が長くなる恐れがあるかもしれません。
一般的な装着時間は1日20時間以上とされていますので、決められた装着時間は必ず守るようにしましょう。
通院期間を守る
矯正治療をしている期間は、決められた通院期間を必ず守るようにして下さい。
インビザラインの通院目安は2か月に1度とほかの矯正治療よりも長いですが、歯列の状態を確認するために定期的な診断が必要です。
マウスピース型を最初に複数製作しますので、歯列の状態に応じて修正が必要になる場合があるからです。
シミュレーションによって、理想の歯並びに近づけるために製作しますが、歯の移動状況によって微妙な調整が必要になります。
通院時に現在の歯列の状態や口腔内の健康状況を確認して、矯正治療が進められることでより正確に歯列が整えられていきます。
インビザラインの取り扱いのある歯科医院かどうか事前に確認を
インビザラインは、国内の歯科医院で数多く取り入れられていますが、中には扱っていない矯正の専門医院もありますので事前に確認するようにしましょう。
インビザラインの症例数が多い歯科医師には、インビザライン・ジャパン社から称号が授与されます。
下記のように、症例数によって認定レベルが変わります。
- レッドダイヤモンド:年間1000症例以上
- ブルーダイヤモンド:年間750症例以上
- ブラックダイヤモンド:年間400症例以上
- ダイヤモンド:年間150症例以上
- プラチナエリート:年間80症例以上
- プラチナ:年間50症例以上
- ゴールド2:年間35症例以上
- ゴールド1:年間20症例以上
- シルバー:年間10症例以上
- ブロンズ:年間1症例以上
上記のような称号は、あくまで目安ですが年間の症例数が多い場合は、それだけ実績もありますので判断基準になるのではないでしょうか。
インビザラインを取り扱っている矯正の専門医院には、認定レベルなどを表示している場合が多くありますので選ぶ参考にもなります。
まとめ
ここまで、インビザラインとほかのマウスピース型矯正の違いやワイヤー矯正との違いなどについて解説してきました。
日本人は海外の人に比べて歯並びが悪いというイメージがあるかもしれませんが、積極的に歯を矯正する人は少なかったのではないでしょうか。
見た目が悪いというイメージの矯正治療が、インビザラインの登場によって、治療へのハードルが低くなったのは事実です。
特に中高生以上の人で、歯並びに悩みがある場合はインビザラインのように目立たない矯正方法は、非常に魅力的です。
3Dスキャナーのようなデジタル技術を活用することで、より正確な治療を進められるようになりました。
症例数も1500万件以上を誇り、さまざまな症状に応じた治療ができますので、歯並びを治したい人は1度相談してみて下さい。
インビザラインによって、あなたもきっと歯並びを気にしない笑顔を取り戻せるでしょう。
参考文献