マウスピース矯正

マウスピース型矯正中の歯ぎしりは注意が必要?歯ぎしりが矯正治療に与える影響や対策

マウスピース型矯正中の歯ぎしりは注意が必要?歯ぎしりが矯正治療に与える影響や対策

マウスピース型矯正を行う際は、歯ぎしりに注意が必要です。歯ぎしりは、マウスピースに負荷をかけ、治療の進行に影響を与える可能性があります。
本記事では、マウスピース型矯正中の歯ぎしりについて、以下の点を中心にご紹介します。

  • 歯ぎしりがマウスピース型矯正に与える影響
  • マウスピース型矯正中の注意点
  • マウスピース型矯正が向いている方

マウスピース型矯正中の歯ぎしりについて理解するためにも、ご参考いただけると幸いです。

マウスピース型矯正について

マウスピース型矯正について

マウスピース型矯正は、目立ちにくく歯並びを改善できる治療法です。以下で、マウスピース型矯正について詳しく解説します。

マウスピース型矯正とは?

マウスピース型矯正は、患者さんひとり一人の歯の形状に合わせたマウスピースを使用し、理想的な歯並びへと導く治療法です。

マウスピース型矯正は、食事や日常の歯磨きが普段通りできるため、生活の質を落とすことなく治療を進められ、徐々に歯を理想的な位置へと導いていきます。このように、マウスピース型矯正は機能性と審美性を兼ね備えた現代的な歯列矯正治療法として注目されています。

マウスピース型矯正の仕組み

マウスピース型矯正治療は、複数のマウスピースを使用して、現在の歯並びから理想の位置へと少しずつ歯を移動させます。マウスピース型治療を始める時には、精密なデジタルスキャンにより口腔内の状態が詳細に分析され、データを基に個別の治療計画が作製されます。

新しいマウスピースに交換することで、歯にかかる圧力を調整し、徐々に歯を理想の位置に導きます。マウスピースは約1〜2週間ごとに新しいものに交換され、交換が繰り返されることで、段階的に歯並びが改善されていきます。

マウスピース型矯正のアタッチメントについて

マウスピース型矯正治療では、アタッチメント(エンゲージャー)は治療の結果を得るために不可欠です。アタッチメントは、特定の歯に対する矯正力を増加させるために、歯の表面に取り付けられる小さな樹脂製の突起物です。

アタッチメントの設置は、治療計画に基づいて行われ、すべての患者さんやすべての歯に適用されるわけではありません。必要な場所にのみ、必要な数だけ取り付けられます。

これにより、マウスピースが歯に適切にフィットし、必要な圧力を正確にかけられるようになります。治療の過程でアタッチメントが目に付くことがあるものの、アタッチメントによって治療効果の向上が期待できます。

このようにアタッチメントの使用は、マウスピース型矯正治療の精度を高めるのに、重要な役割を果たしています。

マウスピース型矯正のメリット

マウスピース型矯正のメリット

マウスピース型矯正には、どのようなメリットがあるのでしょうか?以下で見ていきましょう。

装置が目立ちにくい

マウスピース型矯正のメリットの一つ目は、矯正装置が目立ちにくい点です。使用されるマウスピースは薄く、透明なため、笑ったり話したりしても、周囲には矯正治療を受けていることはほとんど気付かれません。

マウスピース型矯正のメリットの一つ目は、矯正装置が目立ちにくい点です。使用されるマウスピースは薄く、透明なため、笑ったり話したりしても、周囲には矯正治療を受けていることはほとんど気付かれません。

従来の金属製ワイヤーやブラケットを使用する矯正方法より、目立ちにくい矯正方法なため、見た目の変化を抑えたい方に適している治療法です。したがって、マウスピース型矯正は、歯列矯正治療を考えているけれど見た目を気にしている人にとって理想的な選択肢となる場合があります。

取り外しがしやすい

マウスピース型矯正のメリットの二つ目は、取り外ししやすい点です。ワイヤー矯正では食事制限や歯磨きが困難であったのに対し、マウスピース型矯正では食事に制限なく自由に外せるため、口内と装置の清潔を保てます。

また、見た目を気にする場合には短時間だけ外すことも可能とされます。これにより、患者さんは自身の都合に合わせて装置の管理ができ、快適な治療が期待できます。

金属アレルギーの方にも考慮されている

マウスピース型矯正のメリット三つ目は、金属アレルギーの方にも考慮されている点です。近年、金属アレルギーを考慮したニッケルフリーのワイヤー矯正もありますが、費用が高額になることが懸念されています。

一方で、マウスピース型矯正は、ポリウレタンという金属を含まない合成樹脂で作られており、金属アレルギーの心配がありません。したがって、マウスピース型矯正は金属を使用せず、費用を抑えられるため、金属アレルギーの人にも選択できる治療法になっています。

口腔内の違和感が感じにくい

マウスピース型矯正のメリットの四つ目は、口腔内の違和感が感じにくい点です。従来のワイヤー矯正では、違和感を感じる可能性や、頰や舌を傷つける可能性があり、さまざまなトラブルも生じやすいとされていました。

しかし、マウスピース型矯正は、薄くてやわらかい樹脂製の装置を使用するため、口の中を傷つけにくく、違和感も少ないとされています。さらに、歯の移動が徐々に行われるため、痛みも少ないといわれています。

そのため、歯列矯正治療中の不快感や痛みに敏感な方や、過去にワイヤー矯正を断念した方にもマウスピース型矯正はおすすめです。

マウスピース型矯正のデメリット

マウスピース型矯正のデメリット

マウスピース型矯正にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットもあります。以下では、具体的なデメリットを解説します。

装着時間を保つ必要がある

マウスピース型矯正のデメリットの一つ目は、装着時間を保つ必要がある点です。ワイヤー矯正と異なり、マウスピースはある程度自己管理が必要なため、決められた時間に装着しなければなりません。

しかし、マウスピースを装着し忘れると、計画通りの歯の移動が妨げられ、治療の結果を得られなくなる可能性があります。

そのため、毎日決まった時間に装着するなどのルールを設け、生活に組み込むことが大切です。また、装着し始めたばかりは違和感や痛みを感じることがありますが、徐々に慣れていくため、続けることが重要です。

適応が難しい場合もある

マウスピース型矯正のデメリットの二つ目は、適応症例が限られている場合がある点です。なかでも、抜歯が必要で歯を大きく動かす必要がある場合や、中程度以上の歯並びの問題を抱えている場合には適応外となることがあります。

一方の、ワイヤー矯正はマウスピース型矯正よりも多くの症例に対応可能とされているため、マウスピース型矯正が適切かどうかを歯科医師と相談することが大切です。

したがって、マウスピース型矯正ができるかどうかは、歯科医師の診断によるため、治療を始める前に、医師との十分なカウンセリングを行い、適切な治療法を見極めることが重要です。

装着したまま食事がとれない

マウスピース型矯正のデメリットの三つ目は、マウスピースを装着したまま食事ができない点です。マウスピースを装着したまま食事すると、マウスピースの破損につながる恐れや、食べ物が歯とマウスピースの隙間に入り込んだりして、歯周病やむし歯の原因になる可能性があります。

また、飲み物に関しても、コーヒーや紅茶などの着色しやすい飲み物をマウスピースを装着したまま飲むと、マウスピースが着色し、口腔内の衛生面にも影響を及ぼします。

このように、マウスピース型矯正は食事や飲み物に関する制限や装着の手間があるため、患者さんによっては適さない場合があります。

歯ぎしりがマウスピース型矯正に与える影響

歯ぎしりがマウスピース型矯正に与える影響

歯ぎしりがマウスピース型矯正に与える影響は、大きいとされています。どのような影響を与えるのか以下で見ていきましょう。

マウスピースの変形や破損するリスク

マウスピースは薄い素材で作られているため、歯ぎしりによってマウスピースの変形や破損するリスクがあります。なかでも、就寝中に無意識の状態で歯ぎしりを行う人も少なくないため、寝る前に顔の筋肉をほぐし、歯ぎしりを予防する努力が必要です。

また、マウスピースの取り外し方が適切でないと、マウスピースにひびが入る可能性もあるため、適切な取り外し方法を身につけることも重要です。

治療期間が延長する可能性

歯ぎしりによってマウスピースが変形・破損すると、歯列矯正治療の計画が妨げられ、治療期間が延長する可能性があります。新しいマウスピースを作製するために装着期間が空くことで、歯が元の位置に戻るリスクもあります。

さらに、マウスピースが変形・破損していなくても、歯ぎしりの圧力によって歯の移動が妨げられることがあるため、歯科医師と相談しながら、歯ぎしりを抑える対策を講じることが重要です。

マウスピースを外した時の歯への影響

歯ぎしりをする方は、主にマウスピースを外して食事をする際に注意が必要です。

マウスピース型矯正は、前述したとおり、1日22時間以上はマウスピースを装着するよう指示されます。しかし、治療中の歯並びが悪いと一時的に噛み合わせが悪くなることがあり、一部の歯に負担がかかる可能性があります。

強い力でかみしめたり、硬い食べ物を勢いよく食べると歯が欠けたり、折れて抜歯に至ることもあるため、マウスピースを外した時には歯に過度な負荷をかけないようにしましょう。

マウスピース型矯正中の注意点

マウスピース型矯正中の注意点

マウスピース型矯正中には、どのような点に気を付ければいいのでしょうか?以下で解説します。

食いしばりや歯ぎしりに注意する

前述したとおり、マウスピース型矯正中は、食いしばりや歯ぎしりに注意が必要です。無意識にマウスピースを噛みしめると変形・破損のリスクや噛み合わせに問題が生じる可能性もあります。

歯ぎしりや食いしばりによって上下の奥歯が噛み合わなくなることもあるため、歯ぎしりや食いしばりが癖になっている方などは、対策が必要です。

割れたり変形したりしたマウスピースは使用しない

マウスピース型矯正中は、割れたり変形したりしたマウスピースは使用しないようにしましょう。破損したマウスピースは歯茎や口の粘膜を傷つける可能性があったり、また歯の移動に影響を与えて治療期間が延びたりする可能性もあります。

破損したマウスピースは自分で修理しない

マウスピースが破損した場合、自分で修理することは避けましょう。接着剤などでの自己修理は難しく、本来の形状に戻せません。したがって、自己修理が原因で修復不能になるリスクもあるため、破損したマウスピースは歯科医師に相談することが重要です。

マウスピース型矯正が向いている方

マウスピース型矯正が向いている方

最後に、マウスピース型矯正が向いている方の特長を解説します。マウスピース型矯正を検討している方は、ご自身が当てはまるかチェックしましょう。

目立ちにくい矯正器具をお探しの方

マウスピース型矯正は透明なマウスピースを使用し、目立ちにくいという特長があります。

従来の金属ブラケットとワイヤーを使ったワイヤー矯正より、マウスピース型矯正は装着するだけで、目立ちにくく治療が行えます。見た目のコンプレックスが軽減され、治療へのハードルが下がるため、お仕事に影響がある方や見た目が気になる方におすすめとされています。

しかし、患者さんの状況によって適否が異なるため、目立ちにくい矯正器具を探している方は、医師としっかり相談して決断しましょう。

装着時間の管理が可能な方

マウスピース型矯正は装着時間の管理が必要な方に向いています。繰り返しになりますが、マウスピースは食事や歯磨きの際に取り外しが可能で、日常生活に影響を与えにくいためです。

ただし、長時間外していると治療で期待できる効果が低下し、治療期間が延びることもあるため、定期的なマウスピースの交換が大切です。したがって、マウスピース型矯正は自己管理ができる方におすすめですが、装着のルールはしっかりと守り続けましょう。

できるだけ痛みに考慮をして治療を受けたい方

マウスピース型矯正は、痛みに配慮した治療を希望する方に向いています。歯をゆっくり動かすため、痛みが少なく、口腔内の粘膜にも優しいとされているためです。

総じて、ワイヤー矯正より痛みや違和感が少ないため、歯列矯正治療を快適に受けたい方におすすめです。

症状が軽度の方

マウスピース型矯正は、軽度の歯並びの問題に適しています。重度の不正咬合の場合は治療期間が長くなるため、ワイヤー矯正や裏側矯正(舌側矯正)を検討した方がいいでしょう。

総じて、マウスピース型矯正は抜歯が不要で、歯の移動量が少ない軽度の症例に適していますが、抜歯や重度の不正咬合、埋まっている歯などには適用できないため注意が必要です。

まとめ

まとめ

ここまで、マウスピース型矯正中の歯ぎしりについてお伝えしてきました。
マウスピース型矯正中の歯ぎしりの要点をまとめると、以下のとおりです。

  • マウスピース型矯正中の歯ぎしりは、マウスピースを破損させるリスクや治療期間が延長したり、歯の移動が妨げたりする恐れがあるため、歯に過度な負荷がかからないよう留意する
  • マウスピース型矯正中に、割れたり変形したマウスピースは使用したりや自己修理したりせずに歯科医師に相談しよう
  • マウスピース型矯正は、目立ちにくい矯正治療を求める方や装着時間の管理が可能な方、痛みをできるだけ抑えたい方、そして症状が軽度の方に向いているが、重度の不正咬合や抜歯が必要な場合には適用できないため注意が必要

本記事で、歯ぎしりがマウスピース型矯正に与える影響が大きいことを理解していただけたかと思います。
歯ぎしりに注意して、マウスピース型矯正を成功へと導きましょう。

この記事の監修歯科医師
宮島 悠旗医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

宮島 悠旗医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

愛知学院大学歯学部卒業 / 東京歯科大学千葉病院にて臨床研修医終了 / 東北大学大学院歯学研究科口腔発育学口座顎口腔矯正学分野 助教 / 宮島悠旗ブライトオーソドンティクス起業 / 著書「国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”-世界で活躍する人の『デンタルケア』-」(幻冬舎)出版 / 合同会社T&Y Connection設立 / ASIA GOLDEN STARAWARD(企業家賞)受賞 / 著書「歯並び美人で充実人生-幸せを呼ぶゴールデンスマイル-」(合同フォレスト)出版 / 株式会社オーティカインターナショナル認定講師 / 現在は宮島悠旗ブライトオーソドンティクス代表としてフリーランス矯正歯科医を行っている / 専門は矯正歯科(Invisalign®︎、小児矯正、Myobrace®︎、マルチブラケット、アンカースクリュー、PBMオルソ(光加速矯正装置))

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