ワイヤー矯正

部分矯正をワイヤー矯正で行うメリットは?症例や治療期間について解説

部分矯正 ワイヤー

ワイヤーを使った部分矯正は、前歯の歯並びが気になる・治したいという方におすすめの歯列矯正です。

部分矯正は全体矯正に比べて患者さんの負担が少なく、動かしたい歯だけを短期間で治療できるのがメリットです。

一方、部分矯正には適用できない症例もあります。

本記事では、部分矯正でワイヤー矯正をするメリットや対応できる症例・治療期間を解説します。

部分矯正に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

部分矯正をワイヤー矯正で行うメリット

朝の若い日本人女性

歯列矯正をしたいけれど、治療期間の長さや費用の高さから、なかなか治療に踏み切れない方もいるのではないでしょうか。

全体的な歯並びではなく前歯の歯並びだけが気になっている場合は、部分矯正がおすすめです。

分矯正とは前歯のみを歯列矯正する治療で、永久歯が生えそろっていれば、子どもでも治療できます。

部分的に治療をするため患者さんの負担が少なく短期間で治療できるのがメリットです。

部分矯正でよく行われるのが、ワイヤー矯正です。

まずは、部分矯正でワイヤー矯正を行うメリットを確認しましょう。

移動させたい歯のみ移動できる

鏡で歯をチェックする日本人女性

ワイヤーを使用した部分矯正は、移動させたい歯だけを移動できるのがメリットです。

歯科の歯列矯正は、矯正装置を使って歯並びや噛み合わせを改善する治療法です。

矯正装置を装着し、歯や顎の骨に力をかけて移動させたい位置に徐々に動かしていくことで、歯並びや噛み合わせを正常な状態に戻していきます。

親知らずを除くと、歯は合計28本あります。全体矯正では28本すべてが歯列矯正対象ですが、部分矯正では歯並びの悪さが目立つ部分だけを移動可能です。

移動させたい歯のみを動かし、ほかの歯や骨はできるだけ動かさないようにするので、周囲の歯への負担が少ないのもメリットでしょう。

ワイヤー矯正では前歯の表面にブラケットという幅2〜5mmの装置を取り付け、ワイヤーを通して固定します。

ブラケットに通したワイヤーの力で気になる歯を移動させていき、歯並びをよくしていきます。

部分矯正で治療できるのは、前歯の犬歯6本分の範囲です。

ワイヤー矯正はワイヤーが目立つのがデメリットといわれていますが、目立ちにくい白色のブラケット・ワイヤーや裏側矯正(舌側矯正)に対応している歯科医院もあります。

歯列矯正にかかる時間を短縮できる

カレンダーと時間

部分矯正でワイヤー矯正を行うメリットとして、歯列矯正にかかる時間を短縮できることも挙げられます。

歯列矯正というと、治療期間が長くなるイメージをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

全体的に歯列矯正する場合は、症状の程度によっては2〜3年、もしくはそれ以上の期間治療を続けなければいけないケースもあります。

治療が長引くと、いつまで続けなければいけないのか不安や心配を抱えやすくなるでしょう。

一方、部分矯正は部分的に歯列矯正を行うため、3ヵ月〜1年程度で歯並びを改善できるといわれています。

ワイヤーの部分矯正なら、短期間で気になる前歯の歯並びを治すことが可能です。

痛みが少ない

部分矯正でワイヤー矯正をすると、全体矯正をするよりも痛みが少ないのがメリットです。

歯列矯正では歯や骨に矯正装置で力をかけ、移動させたい位置に動かしていきます。

そのため、治療中に痛みを感じることも少なくありません。

矯正装置を装着した直後は引っ張られるような感覚や違和感がある程度ですが、数時間後に痛みを感じ始め、2〜3日程度は痛みが続くといわれています。

その後痛みは軽減していきますが、歯が動いていくため痛みを感じることがあり、通院の際に行うワイヤー調整の時に痛みがある人もいるでしょう。

しかし、部分矯正の場合は装置を装着するのは一部分のみで、動かす歯の範囲が狭く治療期間も短いので痛みが少ないといわれています。

部分矯正をワイヤー矯正でできる症例

歯のレントゲン写真と歯科衛生士

部分矯正でワイヤー矯正を行うと、移動させたい歯だけを動かせる・歯列矯正にかかる時間を短縮できる・痛みが少ないなどのメリットがあります。

しかし部分矯正は部分的に歯並びを改善するための歯列矯正であり、全体的な歯並びや噛み合わせの改善など、対応できない症例もあるため注意が必要です。

以下では、部分矯正でワイヤー矯正ができる症例を紹介します。

部分矯正でワイヤー矯正をしたい方は、自分の症状がワイヤー矯正できる症例かどうか、ぜひチェックしてみてください。

軽度の出っ歯

軽度の出っ歯であれば、ワイヤーを使った部分矯正で治療できる可能性があります。

出っ歯は、上の前歯もしくは上顎全体が前に出ている状態のことです。

出っ歯は口を閉じにくい・前歯を折ったり唇を切ったりしやすいなどのデメリットがあります。

出っ歯だと前歯が突き出ていて目立つため、口もとにコンプレックスを感じる方も少なくありません。

骨格に問題がなく、奥歯は正常に噛み合っている・歯が重なっている部分が少ないなど、軽度の出っ歯の場合は部分矯正で改善できる可能性があります。

ただし、引っ込めたい出っ歯が下の歯に接していて引っ込めるのが難しい場合は、部分矯正ができません。

軽度の叢生

軽度の叢生は、部分矯正のワイヤー矯正で対応できます。

叢生とは、歯の大きさや顎の大きさのバランスが悪く、部分的に歯が重なって歯並びが揃わない状態です。

乱ぐい歯とも呼ばれ、八重歯も叢生の一つです。叢生は歯磨きしにくく、むし歯や歯槽膿漏などのリスクが高まります。

程度が大きい場合は永久歯を抜き、全体矯正で奥歯も含めて歯並びを改善していきます。

ただし、前歯を少し削って対応できる軽度の状態の場合は、部分矯正で改善が見込めるでしょう。

軽度のすきっ歯

すきっ歯も、軽度であればワイヤー矯正による部分矯正で治療できます。

通常、永久歯は隣同士の歯が隙間なく接しているのが正常ですが、歯の大きさと顎の大きさのバランスが悪いと歯の間に隙間があるすきっ歯になります。

すきっ歯になると、むし歯や歯周病のリスクが高くなるほか、食べにくい・発音しにくいなどの支障が出てくるでしょう。

すきっ歯は前歯にみられることが多く目立ちやすいため、口もとにコンプレックスを抱えたり口を開けるのに抵抗があったりする方も少なくありません。

前歯の軽度のすきっ歯はワイヤー矯正による部分矯正で対応でき、短期間ですきっ歯を改善できる可能性があります。

軽度の捻転歯

部分矯正でワイヤー矯正ができる症例には、軽度の捻転歯も挙げられます。

捻転歯はねじれている・曲がっている歯のことで、前歯が捻転歯だと見た目が気になる方もいるでしょう。

部分矯正は気になる部分のみの歯列矯正をするのに適した治療法で、軽度の捻転歯改善にも効果があるとされています。

歯を動かすスペースが少ない場合は歯のエナメル質を薄く削ってスペースを作り、部分的にワイヤー矯正をして歯を移動させます。

噛み合わせに問題がない症例

部分矯正でワイヤー矯正ができるのは、噛み合わせに問題がない症例に限られます。

部分矯正では前歯は動かせますが、奥歯までは動かせないので噛み合わせは改善できません。

噛み合わせを治す歯列矯正では、見た目だけではなく噛みにくい・発音しにくいなどの機能面の改善も必要です。

部分矯正で前歯の噛み合わせを改善できる可能性はありますが、全体的な噛み合わせは改善されないため、噛み合わせの悪さによる機能不良は解消されません。

噛み合わせを治す必要がある方は、奥歯から歯列矯正できる全体矯正がよいでしょう。

部分矯正をワイヤー矯正で行う際の治療期間

時計とカレンダー2

部分矯正でワイヤー矯正を行うメリットの一つが、全体矯正をするよりも治療期間が短縮できることです。

では、部分矯正でワイヤー矯正をすると、治療期間はどのくらいかかるのでしょうか。

以下では、部分矯正ワイヤー矯正をする際の矯正期間・保定期間を解説します。

矯正期間

治療する歯科医師

ワイヤー矯正による部分矯正は歯を動かす範囲が限られており、軽度の症例のみに対応していることから矯正期間は短くなる傾向にあります。

症例にもよりますが、矯正期間は短くて3ヵ月・長くて1年〜1年半です。部分矯正の矯正期間の平均は、3〜6ヵ月程度です。

矯正期間中は、2〜3週間に1回程度通院し、歯並びの状態をチェックします。また、歯磨きしにくい部分のクリーニング・ワイヤー調整・交換なども行います。

ワイヤー矯正には表側矯正と裏側矯正(舌側矯正)があり、裏側矯正(舌側矯正)は歯の裏側に装置を装着するため目立ちにくいのがメリットです。

以前は裏側矯正(舌側矯正)の方が矯正期間が長くなるといわれていましたが、現在は表側矯正と変わりません。

保定期間

矯正期間が終了した後は、1年程度の保定期間に入ります。歯列矯正した直後は、移動させた歯がもとの位置に戻ろうとする後戻りが起きやすくなります。

そのため、保定期間を設けて保定装置(リテーナー)を付け、後戻りを防ぐことが必要です。

リテーナーは矯正装置と違って歯を動かす力はなく、付けていても痛みはありません。

保定期間中の通院は3〜6ヵ月に1回程度で、歯並びの落ち着き具合や後戻りが起きていないかなどをチェックします。

保定期間の長さは状態によって変わり、状態を確認しながらリテーナーの装着時間を調整していくので、しっかり歯科医院で定期的にチェックを受けましょう。

部分矯正と全体矯正の違い

ブルーバック・日本人男性

部分矯正は前歯に矯正装置を装着し、部分的に歯列矯正する治療方法です。

一方、全体矯正は歯の全体に矯正装置を取り付け、歯と顎のバランス・噛み合わせ・歯並びを全体的に改善していきます。

部分矯正と全体矯正には、適用症例・治療期間・費用にも違いがあります。

以下では部分矯正と全体矯正の違いを詳しく解説するので、どちらがよいか迷っている方はぜひ参考にしてください。

適用症例の違い

部分矯正と全体矯正で大きく異なる点は、適用症例の違いです。部分矯正は前歯の歯列矯正に特化しており、見た目を重視した歯列矯正です。

適用症例は軽度のものに限られ、奥歯の歯並び治療や噛み合わせ改善はできません。

全体矯正は歯全体が歯列矯正の対象となり、歯並びだけではなく噛み合わせや歯と顎のバランスも整えられます。

中〜重度の症例にも適用できるため、部分矯正では対応できない歯並びの改善も可能です。

歯を動かせる範囲が広く、必要に応じて抜歯を行うことできれいな歯並びが叶います。

治療期間の違い

治療期間は、歯を動かす範囲が狭い部分矯正の方が短くなります。

部分矯正の治療期間は、3ヵ月〜1年程度です。部分矯正の治療期間の平均は3〜6ヵ月で、症状によっては2〜3ヵ月の短期間で終了するケースもあります。

一方、全体矯正の治療期間は2〜5年程度と長いのが特徴です。実際にかかる治療期間は、患者さんの年齢や症状によって変わります。

全体矯正は歯を動かす範囲が広く、顎の位置や顎骨のなかにある歯を動かすこともあるため治療期間が長くなります。

費用の違い

電卓と一万円札

費用に関しても、部分矯正の方が安くなります。部分矯正の方が使用する矯正装置の数が少なく済み治療期間が短い分、費用も安く済むでしょう。

部分矯正のワイヤー矯正は、全体を歯列矯正するよりも費用が抑えられます。

ワイヤー矯正による部分矯正には、表側矯正と裏側矯正(舌側矯正)の2つがあります。

表側矯正の場合の費用相場は、30万〜60万円(税込)です。実際の費用は、症状の程度やワイヤー矯正に使用する装置の種類によって変わってきます。

裏側矯正(舌側矯正)ではオーダーメイドでブラケットを作製し難易度も上がるため、費用相場は40万〜70万円(税込)と表側矯正よりも高めになる傾向にあります。

一方、全体矯正は歯の全体を歯列矯正し治療期間も長いため、費用が高くなる傾向にあります。

部分矯正の費用相場は30万〜70万円(税込)ですが、全体矯正は100万円(税込)を超えます。

部分矯正はマウスピース型矯正でも可能?

マウスピース矯正 歯列矯正

部分矯正の治療法にはワイヤー矯正のほかにマウスピース型矯正もあり、マウスピース型矯正でも部分矯正が可能です。

マウスピース型矯正ではプラスチック製のマウスピースを付け替えていき、少しずつ歯を移動させていきます。

透明かつ薄型の目立ちにくいマウスピースを使用するため、見た目や痛みが気になる方におすすめです。

また、自分で取り外せるためお手入れしやすいのもメリットでしょう。

ワイヤー矯正は前歯のみに装置を装着しますが、マウスピース型矯正は全体的に装着します。

また、ワイヤー矯正とマウスピース型矯正を組み合わせる治療法もあり、治療期間や費用を抑えながら部分矯正が可能です。

まとめ

肌に触れる若い日本人女性

本記事では、部分矯正でワイヤー矯正をするメリットや対応できる症例・治療期間を解説しました。

部分矯正は、前歯の歯並びが気になる方におすすめの歯列矯正です。

適用するのは軽度の症例に限りますが、気になる歯だけを動かせる・治療期間が短い・痛みが少ないのがメリットです。

治療期間や費用を抑えながら前歯の歯並びを治したい方は、ワイヤー矯正による部分矯正を検討してみてはいかがでしょうか。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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