マウスピース矯正

歯列矯正のマウスピース型はいつまで使う?リテーナーの装着期間や注意点も解説

歯列矯正のマウスピース型はいつまで使う?リテーナーの装着期間や注意点も解説

マウスピース型矯正とは、ワイヤーを使用せず、透明なマウスピース型装置を使用する矯正方法です。歯列矯正していることが目立ちにくいことから人気の矯正方法となっています。

歯列矯正治療は費用も時間もかかるため、装着期間などもしっかり調べておきたいポイントです。部分矯正や全体矯正、歯並びの状態により治療期間は大きく変わります。

今回の記事では、歯列矯正によるマウスピース型の装着期間、矯正終了後の後戻りを防ぐために必要なリテーナーの装着期間や注意点なども解説します。

歯列矯正のマウスピース型はいつまで使う?

歯並びが綺麗な女性

マウスピース型矯正の種類について教えてください。
マウスピース型矯正の代表的なブランド、4種類をご紹介します。このなかでも高いシェアを誇っているのがインビザライン(※)です。
  • インビザライン……歴史が長く豊富な症例数・適応症例が幅広い・開始前に矯正シミレーションで確認できる・通院回数が少ない
  • クリアコレクト……アメリカではインビザラインに次ぐシェア・インビザラインに比べると症状により費用が抑えることができる・矯正シミレーションあり・歯茎を覆う程のやや大きめのマウスピース型・マウスピース型が硬い
  • アソアライナー……日本国内で製作・厚みの異なる3種類のマウスピース型を交換しながら矯正力をコントロール・部分矯正・軽度の症例のみ
  • キレイライン……部分矯正・軽度の症例のみ・マウスピース型矯正のなかでは費用を抑えることができる

インビザラインだけでも、コンプリヘンシブ(重度)・モデレート(中度)・ライト(軽度)・エクスプレス(ごく軽度)・インビザライン Go(部分)・インビザラインファースト(6歳から)と種類も豊富にあります。
軽度の症例を取り扱うものから適応症例の範囲の広いものまでさまざまです。費用についても差があるので、しっかり検討してください。
(※)未承認医薬品等であるため医薬品副作用被害救済制度の対象とはならない可能性があります。

マウスピース型矯正の治療期間はどのくらいでしょうか?
歯列矯正の治療期間は、部分矯正・全体矯正、歯並びの状態により異なります。インビザラインの場合では、部分矯正で約半年~1年全体矯正で2~3年の治療期間が必要です。また歯列矯正の治療期間終了後、歯並びが後戻りしないように保定する期間も必要となるため、トータルで2~4年となることが一般的です。
マウスピース型矯正の期間が長引く原因を教えてください。
治療期間が長くなる原因は、さまざまです。特に歯を大きく移動させなければならない症例やほかの治療法と併用する場合は治療期間が長くなる傾向にあります。その他、マウスピース型が正しく装着されていない場合は予定期間より長引く原因になります。
歯並びの状態により治療期間が長くなる原因は以下のとおりです。
  • 抜歯が必要な症例
  • 重度の叢生(歯が部分的に重なっている症例)
  • 歯槽骨が硬い症例
  • ワイヤー矯正や外科手術を併用する症例
  • 治療計画の修正・追加(リファインメント)

生活習慣において治療期間が長引く原因は以下のとおりですが、これは自身で注意すれば防ぐことが可能です。

  • マウスピース型装置の装着時間が短い
  • マウスピース型が浮いたまま装着している
  • マウスピース型装置の破損・紛失
  • むし歯や歯周病など口腔内のトラブル
治療期間の長さで仕上がりに違いはありますか?
治療前に希望する仕上がりについてもカウンセリングし最終目標を確認することが必要です。しかしコミュニケーション不足により満足いく仕上がりにならないことがあります。
また、しっかりカウンセリングを行っていたとしても、当初の治療計画と実際の歯の動きがずれてしまう場合もあります。このような場合に行われるのが、治療計画の修正や追加です。これをリファインメントといいます。新しい治療計画に基づいてマウスピース型の追加発注が行われます。計画どおりに治療していても奥歯の噛み合わせに違和感がある場合や、もう少し見た目を整えたいと思う場合などにも治療計画の修正、追加は可能です。インビザライン矯正の場合、ほとんどの方が追加治療を行います。リファインメントを行う分、治療期間は長くなってしまいますが、よりよい仕上がりを目指せるでしょう。

リテーナーの装着期間

カウンセリング中

リテーナーの装着期間はどのくらいですか?
リテーナーの装着期間は、個人差はありますが治療期間と同じくらいの期間が必要です。最初の数ヵ月はマウスピース型矯正と同様に食事以外の時間は装着し、その後徐々に装着時間を短くしていきます。リテーナーの推奨される装着期間終了後も引き続き、睡眠時だけでも継続使用することで、よりよい状態を保つことができます。
リテーナーの正しい使い方を教えてください。
リテーナーは歯科医師の指導のもと正しい使い方をすることが必要です。
  • 正しい位置に装着する
  • 1日20時間以上の装着
  • 装着期間を守る
  • 毎日洗浄し清潔を保つ

リテーナーはマウスピース型矯正と同様、つけるときは前歯から、外すときは奥歯から着脱します。装着時は、前歯から奥歯の方へ順にしっかり押すように装着してください。指で押しこまず噛みこむ人もいますが、このような装着方法ではリテーナーの破損につながる原因となります。

リテーナーをさぼるとどうなりますか?
リテーナーをさぼると、歯の後戻りが始まってしまいます。歯の後戻りとは、歯列矯正前の歯並びの状態に戻ろうとすることです。1日つけ忘れただけでも、装着時に痛みが出ることがあります。これは、見た目にはわからない歯の位置の変化の現れです。短期間であれば、すぐに再装着することにより、歯の後戻りを防ぐことができます。しかし長期間装着しなかった場合は、歯の後戻りが大きく進み、リテーナーがうまく装着できなくなる可能性があります。この場合は、すぐに歯科医院に相談が必要です。場合によっては、再矯正の可能性が出てきます。

マウスピース型やリテーナーを使用する際の注意点

歯ブラシとマウスピース

マウスピース型を使用する際の注意点を教えてください。
マウスピース型は1日20時間以上口腔内に装着しなければなりません。基本的には食事のときだけマウスピース型を外すようにします。歯の移動に伴い、平均40~50枚あるマウスピース型を順次交換していきますが、その交換時期は歯科医師の指示を守りましょう。
マウスピース型を装着したままで飲食はできません。必ず、マウスピース型を外してから食事を取るようにします。装着したまま飲めるのは水のみです。糖分のはいった清涼飲料水などは、歯とマウスピース型の間に糖分が入り込み、むし歯の原因となることがあります。マウスピース型のお手入れは、やさしく歯ブラシで磨き洗いします。研磨剤入りの歯磨き粉の使用は避けてください。マウスピース型専用の洗浄剤を使うことで、着色などの不快感を取り除くことができます。洗浄時に熱湯を使うと変形してしまうことがあるので、熱湯は使用しないでください。
リテーナーを使用する際の注意点を教えてください。
基本的に、取り扱いに関してはマウスピース型と同じ方法で問題ありません。
歯列矯正用のマウスピース型と比べると全体的に硬く耐久性が高いという特徴があります。頻繁に交換するものではないため、破損・変形しにくい設計になっています。しかし、破損した場合は作り直す必要があるため、丁寧に取り扱うことが必要です。
失くしてしまった場合はどうしたらよいですか?
マウスピース型を失くしてしまった場合は、歯科医院に相談してください。マウスピース型の交換のタイミングによって、対応が異なります。マウスピース型を交換してすぐになくしてしまった場合は、ひとつ前のマウスピース型に戻って装着を続けます。新しいマウスピース型を作るのに1〜2週間かかるので、後戻りを防ぐためにもひとつ前のマウスピース型に戻すことが必要です。次のマウスピース型への交換時期が近い場合には、次のマウスピース型に進むこともありますので、歯科医の指示に従いましょう。

編集部まとめ

自信に満ちた女性

歯列矯正によるマウスピース型の装着期間、矯正終了後の後戻りを防ぐために必要なリテーナーの装着期間や注意点なども解説しました。

マウスピース型による歯列矯正の期間は、歯並びの状態により人それぞれです。治療の目的により、どの程度まで調整するのかも違います。

歯科医院で指示された1日あたりの装着時間をしっかり守り、マウスピース型の交換時期も正しく行うことが、治療期間を延長させない方法のひとつです。

そして、治療終了後の保定期間も指示された時間と期間を守り、後戻りのない美しい歯並びを維持しましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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