矯正歯科ではさまざまな精密検査が行われますが、それぞれどれくらいの時間がかかるのでしょうか? 本記事では矯正歯科の精密検査にかかる時間について以下の点を中心にご紹介します。
- 歯列矯正の内容や流れ
- 初診から矯正装置の装着までにかかる期間
- 矯正歯科での精密検査にかかる費用
矯正歯科の精密検査にかかる時間について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
矯正歯科での歯列矯正について
- 歯列矯正はどのような治療ですか?
- 歯列矯正は、歯並びや噛み合わせの問題を改善するための治療です。
不正確な歯並びや噛み合わせは「不正咬合」と呼ばれ、食べ物を正しく噛むのが難しくなったり、見た目に影響を及ぼしたりする可能性があります。歯列矯正は、歯を削って差し歯にするのではなく、ワイヤーやマウスピースなどの矯正装置を用いて歯や顎の骨に少しずつ力を加え、歯が理想的な位置にゆっくりと移動させる治療法です。どの矯正装置を使用するかは、個人の希望やお口や顎の状態によって変わります。
- 歯列矯正の流れを教えてください
- 歯列矯正は、以下の手順で治療していきます。
- 初診
初診では、歯並びや噛み合わせに関するお悩み、治療への希望などを詳しく聞くことができます。治療にかかる全体的な費用の目安も聞くのがよいでしょう。 - 精密検査
1時間程かけて、レントゲン撮影や歯型取り、お口の中の写真撮影、顔の写真撮影を行います。 - 診断結果の説明
歯列矯正を始めるにあたり、さまざまな検査を実施します。その人に合った矯正装置を作製し、今後の治療計画をより正確に立てるためです。 - 前準備
検査結果をもとに、どの装置がおすすめで治療にどれくらいの期間がかかるかなどを歯科医師が総合的に判断し、治療計画を立てます。その後、患者さんとの十分な話し合いを経て治療方針を最終決定し、治療を進めていきます。
必要に応じて抜歯が求められる場合、歯列矯正装置が装着される前に抜歯を行います。小臼歯の抜歯は歯が動くスペースを確保するために行われます。
親知らずの抜歯が必要な場合は、生え方や出血量などに応じ、適切な環境が整った口腔外科での処置を提案することもあります。 - 歯列矯正装置
歯列矯正装置の装着は、抜歯後の傷が癒え始めた1週間後程度からスタートします。ワイヤー矯正や裏側矯正の装置を初めて歯に取り付ける際は、ある程度の時間が必要です。
- 初診
- 矯正歯科で歯列矯正をする場合の治療期間はどのくらいですか?
- 歯列矯正の治療期間は、全体矯正で約1〜3年、部分矯正では約2ヶ月〜1年半が目安ですが、歯並びや装置の種類により異なります。
例えばワイヤーを使用した矯正では約1〜3年、マウスピース矯正は約2ヶ月〜3年と幅があります。さらに、治療後動かした歯を保定する保定期間は約2年とされ、リテーナーを使い歯の位置を固定します。
治療期間は個々の歯の状態や年齢、使用した矯正器具などによって異なるため、詳細は歯科医師に相談し、計画的に進めることが大切です。
矯正歯科での精密検査について
- 矯正歯科の精密検査はなぜ行うのですか?
- 精密検査を通じて、歯並びや顎の状態を細部にわたり把握し、正確な診断と治療計画を立てることが可能になるとされています。精密検査で、歯の位置や顎のバランス、さらには噛み合わせの問題や歯が正しく収まるためのスペースが十分に確保されているのかも確認できます。
子どもの場合は、精密検査で永久歯が正常に成長するための基盤を理解する上で役立ちます。例えば、永久歯の生え変わりが遅れている原因が、自然な成長過程なのか、それとも物理的な障害があるのかを見極めることも可能とされています。
- 矯正歯科ではどのような検査を行いますか?
- 矯正歯科では以下の4つの精密検査が行われます。
- レントゲン撮影:
歯や顎の状態を確認するために欠かせないのが、レントゲン撮影です。
レントゲンの種類は4つ程あります。- パノラマレントゲン:
上下の顎全体を一枚の画像で確認するために行います。歯の位置や本数、歯根の形状や長さ、顎骨の健康状態などを把握します。
子どもの場合、未萌出の永久歯の位置や状態の確認も行います。 - 側面セファログラム:
横顔を90度の角度から撮影するレントゲンで、頭蓋骨と上顎骨、下顎骨の位置関係や歯の傾きなどを数値化して比較し、詳細に分析します。治療方針の決定に欠かせない検査です。 - 正面セファログラム:
顔を正面から撮影するレントゲンで、顔の左右対称性や噛み合わせの平面の傾きを調べます。顕著な非対称性がある場合は、外科的治療が必要になる可能性もあります。 - 顎関節レントゲン:
顎関節の状態を確認するためのレントゲンです。下顎の動きや関節の形状・位置に異常がないかを調べます。外科的矯正を検討する患者さんの場合、お口を閉じた状態や大きく開けた状態で関節の動きを撮影します。
- パノラマレントゲン:
- 口腔内・顔面写真撮影
矯正治療では、口腔内や顔全体の写真撮影が行われます。治療前後の状態を比較したり、治療の進行状況を記録したりします。- 口腔内写真:
歯並びや噛み合わせの状態、歯の形状を詳細に確認するために使用されます。治療の記録として残すだけでなく、患者さん自身が歯の状態を視覚的に把握できるため、治療計画の説明や理解を深めるのにも役立ちます。 - 顔面写真:
正面および側面から撮影され、顔全体のバランスや形状、左右対称性を確認するための写真です。また、唇を閉じたときの表情や筋肉の緊張具合も評価します。歯並びだけでなく、顔の見た目や機能面の改善にも配慮した治療計画を立てることにつながります。
- 口腔内写真:
- 口腔内スキャン
小型カメラを使用して歯をスキャンすることで、不快感を伴う型取りが必要ありません。患者さんにとって負担が少なく、短時間で精密なデータを得ることが可能とされています。
スキャンによって作成されたデジタルモデルは、歯の形状や1本1本のサイズ、歯列の曲線の幅、現時点の噛み合わせなどを詳細に分析するために活用されます。
また、必要に応じて3Dプリンターで立体的な模型を作成することもあります。 - エックス線CT撮影
矯正治療では、歯や顎の状態を立体的に把握するために、歯科専用のコーンビームCT(CBCT)を使用した撮影が行われます。撮影した画像を三次元的に再構築し、通常のレントゲンでは確認しにくい部分を詳細に観察できると可能とされています。骨の中に埋まった埋伏歯の位置を正確に特定したり、顎変形症の治療計画や顎矯正手術のシミュレーションを行ったりする際に役立つようです。
- レントゲン撮影:
- 痛みを感じる検査はありますか?
- 矯正治療に必要な精密検査は、基本的に痛みを伴うものではありません。主な検査はレントゲン撮影や歯型採取であり、いずれもリラックスした状態が必要です。
しかし個々の症状によっては不快感を覚える場合があります。
例えば、顎関節症がある方は、お口を大きく開けるのが難しいために不快感を感じることがあるかもしれません。
矯正治療の精密検査にかかる時間と費用
- 矯正歯科での精密検査にかかる時間を教えてください
- 歯科医院での精密検査には、口腔内写真、頭部レントゲン、歯列模型の作製、顎運動のチェックなどが含まれます。これらの精密検査にかかる時間は、60分程になります。
その他、歯列矯正に関する治療方針の説明には30分程、矯正治療の開始から矯正装置の調節に30〜60分程かかるとされています。
矯正歯科での精密検査にかかる時間は受診する歯科医院によって異なるので、上記はあくまでも目安として参考にしてください。
- 矯正歯科の精密検査にはどのくらい費用がかかりますか?
- 矯正歯科の精密検査にかかる費用は、クリニックや地域によって異なりますが、1万〜5万円程が相場とされています。
具体的な費用は、 事前に各クリニックで費用の内訳や検査内容を確認するとよいでしょう。
編集部まとめ
ここまで矯正歯科の精密検査にかかる時間についてお伝えしてきました。矯正歯科の精密検査にかかる時間の要点をまとめると以下のとおりです。
- 歯列矯正は、歯並びや噛み合わせの問題を改善するための治療。不正確な歯並びや噛み合わせは不正咬合と呼ばれ、食べ物を正しく噛むのが難しくなったり、見た目に影響を及ぼしたりする可能性がある
- 初診から矯正装置の装着までの期間については、1ヶ月〜数ヶ月程度とされている。この期間には、無料相談やカウンセリング、精密検査、診断、治療計画を組み立てることなどが含まれる
- 矯正歯科の精密検査にかかる費用は、1万〜5万円程が相場だがクリニックによって異なるため、事前に費用の内訳や検査内容を医師に確認するとよい
矯正歯科での検査は、治療を進めるためにとても大切なステップです。事前に所要時間や内容を確認することで、よりスムーズに治療を進める準備ができるでしょう。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。