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歯列矯正で八重歯を抜歯したら後悔する?後悔しないためのポイントを解説

歯列矯正で八重歯を抜歯したら後悔する?後悔しないためのポイントを解説

八重歯で悩んでいる方は、歯列矯正で改善したいと考えていることでしょう。歯列矯正なら、八重歯の原因を根本から取り除き、正常な歯並びへと改善できるため、歯列不正を抱えている方に推奨することができます。ただ、場合によっては八重歯そのものを抜歯しなければならない可能性もあるため、事前に正しい知識を頭に入れておく必要があります。

そこでこのコラムでは、八重歯の特徴や抜歯に伴う後悔の理由、抜歯しない方がよいケース、後悔しないためのポイントについて詳しく解説していきます。この記事を通じて、八重歯の抜歯に対する理解が深まり、ご自身にとって適切な治療法を選ぶ手助けとなれば幸いです。

八重歯について

八重歯について はじめに、八重歯も基本事項を確認しておきましょう。

八重歯とは

八重歯とは、上顎犬歯(上の犬歯)が正しい位置に生えず、ほかの歯と重なるように突出して生える状態を指します。日本では可愛らしい特徴ととらえられることもありますが、八重歯は機能面においてさまざまな問題を引き起こす歯並びであり、歯列不正の一種であることを強調しておきます。そのため、歯列矯正により犬歯を正常な位置へと移動させる処置が必要となるケースが少なくありません。

◎上顎犬歯の特徴

上顎犬歯はほかの歯よりも根が長く、顎の構造にも深く関与しています。そのため、正しい位置に犬歯が生えていないと、歯列全体に影響を与え、噛み合わせが不均衡になることがあります。また、犬歯は食べ物を切り裂く役割を持つため、正しい位置からずれていると咀嚼機能にも影響が出てしまいます。

八重歯になる原因

◎主な原因はスペース不足

八重歯になる主な原因は、顎の大きさと歯の大きさの不均衡です。顎が小さいと、歯がすべて正しい位置に並ぶスペースが足りなくなり、犬歯が正しい位置から外れて生えてしまうことがあるのです。

また、乳歯の早期喪失や遅い脱落も犬歯が生える位置に影響を与えることがあります。顎の大きさが正常で十分なスペースが存在していたとしても、乳歯から永久歯への生え変わりの時期に乱れが生じると、犬歯が適切な位置に生えることができないのです。

◎その他の原因

遺伝的要因も犬歯の生え方に影響がでます。家族に八重歯の方がいる場合、上顎骨が小さかったり、犬歯が通常よりも大きいなどの遺伝的な特徴を引き継いでいるかもしれません。

子どもの生活習慣にも影響があるとされています。指しゃぶりや舌の位置が不適切だったりすると、顎の発育に影響して八重歯が誘発されることがあります。

八重歯を放置するリスク

八重歯を放置すると、さまざまなリスクが生じます。まず、噛み合わせが悪くなり、ほかの歯に過剰な負担がかかります。八重歯は、ほかの歯と重なって生えているため歯磨きがしにくく、むし歯や歯周病のリスクが高まります。

見た目の問題から自信を持てなくなり、笑顔に対して消極的になることもあるでしょう。八重歯によって唇が閉じにくくなり、口呼吸になる方も少なくありません。

◎全身への影響

八重歯では食べ物を効率的に咀嚼できなくなり、消化不良や胃腸の負担が増えることもあります。噛み合わせが悪いと顎関節にも負荷がかかり、顎関節症のリスクが高まります。顎関節症は、顎の痛みや開口障害、頭痛などさまざまな症状を引き起こすため、放置することは健康全体に悪い影響があります。

原因がよくわからない肩こりや腰痛なども、歯列不正や顎関節症が関係していることも珍しくありません。気になる方は歯科医師に相談するとよいでしょう。

◎八重歯のメリット

医学的な観点から見ると、八重歯にメリットはありません。八重歯は叢生(そうせい)という歯列不正の一種であり治療を必要する状態です。審美面においてもネガティブなポイントとしてとらえる傾向にあります。

歯列矯正で八重歯を抜歯して後悔する主な理由

歯列矯正で八重歯を抜歯して後悔する主な理由 歯列矯正で八重歯そのものを抜歯するケースはそれ程ありません。上顎の犬歯は重要な役割を担っている歯なので、スペースが不足しているからといって安易に抜くことはできないからです。

一般的には、審美性や機能性に大きな影響を与えない第一小臼歯を抜歯することが少なくありません。もし八重歯の抜歯をする場合は、次のような理由で後悔するかもしれないことを知っておきましょう。

顔立ちが変わってしまう

八重歯の抜歯により、顔立ちが変わることがあります。それは外側に出ていた八重歯がなくることで、頬がこけたり口元が平坦になったりすることがあるからです。このような変化により、見た目に対する後悔を感じる方も少なくありません。

◎八重歯の抜歯で顔立ちが変わる理由

八重歯の抜歯で顔立ちが変わることがあるのは、抜歯後に周囲の歯が移動することで、口元の形が変わり、立体感が失われることがあるからです。このため、見た目の変化が気になる方にとっては、慎重に検討すべき治療法といえます。ただし、こうした変化は八重歯だけが原因ではなく、さまざまな要因が複合的に組み合わさった結果であるため、実際にどのような症状が現れるかはケースバイケースとしか言いようがありません。

歯列矯正で八重歯を抜歯しない方がいいケース

歯列矯正で八重歯を抜歯しない方がいいケース 次に挙げるようなケースでは、八重歯の歯列矯正で抜歯をしない方がいいといえます。

ほかの歯を抜歯することでスペースを確保できる

八重歯を抜歯せずに、ほかの歯を抜歯することでスペースを確保できる場合もあります。例えば、小臼歯を抜歯することで、犬歯が正しい位置に移動できるスペースを作ることも可能です。この方法だと八重歯を残しつつも全体の歯並びを整えることができます。

小臼歯は審美面および機能面において、犬歯よりは重要な役割は担っていないため、抜歯をすることで後悔するリスクは低いです。

歯の研磨をすることでスペースを確保できる

歯の研磨を行うことで、八重歯を抜かずに歯列矯正が可能なケースもあります。歯の表面をわずかに削ることでスペースを確保し、犬歯を正しい位置に移動させる方法です。この方法は、抜歯に伴うリスクを避けたい方にとって、有効な選択肢となります。

◎軽度の八重歯の症例に有効

歯の研磨は軽度の歯列不正に有効です。歯のエナメル質を削ることで歯列矯正に必要なスペースを作り、ほかの歯に影響を与えずに歯列矯正を進めることができます。

犬歯以外の歯が原因で八重歯になっている

犬歯以外の歯が原因で八重歯になっている場合は、犬歯ではなくそれ以外の歯を抜いた歯列矯正が推奨されます。根本的な原因がほかの歯にある場合は犬歯を抜く必要はありません。

すでに顎関節症を患っている

顎関節症を患っている方の場合、八重歯の抜歯は慎重に判断する必要があります。抜歯により噛み合わせが変わることで、顎関節への負担が増し症状が悪化するリスクがあるからです。顎関節症の症状がある場合は、抜歯する歯も含めて慎重に検討する必要があります。

歯列矯正で八重歯を抜歯した方がいいケース

歯列矯正で八重歯を抜歯した方がいいケース 八重歯の歯列矯正では、上顎犬歯そのものを抜いた方がよいこともあります。以下の3つのケースでは、上顎犬歯の抜歯が検討されます。

八重歯の抜歯で全体の歯並びが改善する

八重歯を抜歯することで、全体の歯並びが改善するケースがあります。特に、歯のスペースがとても狭くなっている場合、八重歯の抜歯が効果的な治療法となるかもしれません。抜歯によってほかの歯が正しい位置に移動できるようになり、噛み合わせの改善や見た目の向上が期待できます。その結果、咀嚼能力が向上するだけでなく、歯磨きがしやすくなり、むし歯や歯周病のリスクを減らすことが期待できます。

ほかの歯と重なりむし歯や歯周病のリスクが高い

八重歯とほかの歯との大きく重なっている場合は、歯磨きがしにくいため、むし歯や歯周病のリスクが高まります。プラークが溜まることで、むし歯の進行が早まることでしょう。また、口内細菌の活動が活発化すると、歯周ポケットが深くなり、歯周病が重症化しやすくなることにも注意が必要です。

このような場合、八重歯の抜歯により歯列がきれいに整い、歯と歯の間に適切なスペースができて歯磨きがしやすくなります。

八重歯の矯正で後悔しないためのポイント

八重歯の矯正で後悔しないためのポイント

抜歯の必要性を知り歯科医師に相談する

八重歯の歯列矯正において、抜歯が必要かどうかは患者さんによって異なります。矯正治療の経験が豊富な歯科医師に相談し、口腔内の状況を詳しく説明してもらいましょう。抜歯の必要性を理解することで、不安を減らし納得のいく治療を受けることができます。

精密検査を受けた後は、レントゲン画像やデジタルシミュレーションを用いて、どのように歯が動くかを説明してもらうのもおすすめです。抜歯が本当に必要なのか、ほかに選択肢がないのかを詳しく理解できます。また、治療後の見た目や機能についても事前に確認することで後悔を防ぐことができます。

歯科医師の治療経験を確認する

八重歯の歯列矯正は技術と経験が求められる治療です。歯科医師の治療経験を確認して、信頼できる医師に依頼することが後悔を避けるポイントとなります。

犬歯の抜歯を伴う歯列矯正は高い知識と技術を要します。治療経験が豊富な歯科医師は、顔立ちや噛み合わせに配慮をした治療計画も提案してくれることでしょう。実際に治療を受けた患者さんの症例写真を確認することで、その歯科医師の技術力を知るのにも役立ちます。

治療内容に納得するまで確認する

八重歯の矯正治療の内容について、疑問があれば納得するまで確認することが大切です。治療の流れやリスクについて十分に理解し、納得してから治療を進めましょう。治療に関する不安や心配事についても、遠慮せずに歯科医師に相談することが重要です。

治療計画の説明を受ける際には、治療期間、使用する矯正装置の種類、抜歯の有無、治療後のメンテナンスについても詳しく確認しましょう。納得のいく説明が得られない場合は、治療を急がずに再度相談するか、ほかの歯科医師の意見を聞くことも考慮しましょう。

セカンドオピニオンを受ける

八重歯の抜歯について迷った場合は、セカンドオピニオンを受けることもひとつの有効な手段です。ほかの歯科医師の意見を聞くことで、異なる視点からのアドバイスを得られ、自分にとってよりよい選択肢を見つけやすくなります。セカンドオピニオンを通じて、抜歯の必要性や治療の方針について再確認することで、後悔するのを防ぐことができます。

また、セカンドオピニオンを受けると、自分の八重歯の症状や治療に対する理解が深まり、不安を軽減することにもつながります。また、別の歯科医師からの異なる治療法の提案を受けることで、より自分に合った治療法を選びやすくなることでしょう。そのため信頼できる歯科医師を見つけるためにも、複数の歯科医師の意見を聞くことは重要です。

まとめ

八重歯の抜歯は慎重な判断が求められる治療です。顔立ちへの影響や噛み合わせの問題など、後悔する可能性もありますが、適切な判断をすることで後悔を防ぐことができます。歯科医師との十分な相談やセカンドオピニオンの活用を通じて、自分にとってよりよい治療法を選択しましょう。皆さんの笑顔が輝くための一助となれば幸いです。

抜歯を決断する際には、顔立ちの変化や顎関節への影響、むし歯や歯周病のリスクなど、あらゆる側面を考慮することが大切です。また、信頼できる歯科医師とのコミュニケーションを通じて、納得のいく治療を進めることが、後悔をしないための方法です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
木下 裕貴医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

木下 裕貴医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

北海道大学歯学部卒業 / 医療法人社団天祐会 副理事長 / 専門はマウスピース矯正、小児矯正

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