ワイヤー矯正

部分矯正が失敗する原因とは?部分矯正の失敗例や失敗する原因、対策方法をまとめました

部分矯正が失敗する原因とは?部分矯正の失敗例や失敗する原因、対策方法をまとめました

歯並びの気になる部分だけを治せるのが部分矯正です。全体矯正よりも費用が安く、治療期間も短いことから、手軽に受けられる矯正治療として注目を集めています。同時に、SNSなどでは部分矯正で失敗したという投稿を目にすることも多くなっているため、不安に感じている人もいるのではないでしょうか。本記事ではそんな部分矯正の失敗例や失敗する原因、失敗しないための対策方法などを詳しく解説します。

部分矯正とは

部分矯正とは

部分矯正とはどのような矯正方法ですか?
部分矯正は、歯列全体ではなく、特定の部位の歯並びを整える矯正方法です。一般的に前歯や奥歯など、特定の歯の位置や形を改善するために行われます。通常、部分矯正は治療期間が短く、費用も全体矯正よりも抑えられることが多いです。

部分矯正には、ブラケットやワイヤーを使った従来の方法だけでなく、透明なマウスピースを用いた方法もあります。透明マウスピースは、装着しても目立ちにくく、取り外しが可能なため、食事や歯磨きの際に便利です。

ただし、部分矯正が適用できるのは、軽度から中等度の歯並びの乱れに限られます。重度の不正咬合や顎の位置に問題がある場合は、全体矯正が必要となることがあります。

部分矯正のメリットとデメリットを教えてください。
部分矯正は特定の歯のみを対象とするため、全体矯正と比較して治療期間が短く、数ヶ月から1年程度で効果を実感できるのが大きなメリットです。また、治療範囲が狭いことから、費用も抑えられるため、経済的な負担を軽減できる点は見逃せません。

ほかにも、部分矯正の大きなメリットの一つとして審美性の向上が挙げられます。前歯など目立つ部分の歯並びを短期間で整えることで、自信を持って笑顔を見せられるようになります。加えて、特定の部位のみを矯正するため、歯全体や顎への負担が少なく、歯の健康を保ちながら治療を進められるのも魅力的です。

しかし、部分矯正にはデメリットもあります。適応範囲が軽度から中等度の歯並びの乱れに限定されるため、重度の不正咬合や顎の位置に問題がある場合には、全体矯正が必要となります。また、部分矯正後も歯の位置を維持するためにリテーナー(保定装置)の使用が欠かせません。これを怠ると、せっかくの治療効果が損なわれ、歯が元の位置に戻ってしまう可能性があります。

さらに、部分矯正は主に見た目の改善を目的としているため、噛み合わせの問題を根本的に解決することは難しいでしょう。噛み合わせの改善を重視する場合には、全体矯正の方が適しています。

以上のように、部分矯正にはさまざまなメリットとデメリットがあります。短期間で効率よく特定の歯並びを改善したい方にとって、部分矯正は有効な治療法と言えるでしょう。しかし、適用範囲や治療後のケアについては十分に理解し、注意を払う必要があります。

部分矯正の失敗例

部分矯正の失敗例

部分矯正にはどのような失敗例がありますか?
部分矯正における代表的な失敗例は次の通りです。

・歯根の露出
部分矯正が適切に行われないと、歯根が過度に露出することがあります。これは歯の移動が急激に行われた場合に発生しやすく、歯根が露出すると歯の安定性が低下し、歯周病のリスクが高まります。この問題を避けるためには、歯科医師の慎重な計画と管理が必要です。

・噛み合わせの悪化
部分矯正は特定の歯を対象にしているため、全体の噛み合わせに影響を与えることがあります。特定の歯だけが動くことで、上下の歯の噛み合わせがずれ、顎関節に負担がかかることがあります。これを防ぐためには、部分矯正の計画時に噛み合わせ全体のバランスを考慮することが重要です。

・エナメル質を削りすぎてしまう
矯正中に歯の位置を調整するためにエナメル質を削ることがありますが、過度に削りすぎると歯の健康を損なう恐れがあります。エナメル質が薄くなると、むし歯や歯の感度が増すリスクがあります。歯科医師は慎重にエナメル質を削る量を管理し、必要最小限に留めることが求められます。

部分矯正で見た目が悪くなることはありますか?
部分矯正では、施術部位以外の歯並びが悪くなったり、上下の歯列の正中線がずれたりすることで、審美性が低下するリスクがあります。これは、一部の歯しか動かすことができない部分矯正の限界によるものです。ただし、正しい診断を下し、適切な処置を施すことができる熟練した歯科医師であれば、そうしたリスクを最小限に抑えることは可能です。
矯正効果が薄かったり後戻りが起きたりする事例について教えてください。
部分矯正は、軽度から中等度の歯並びの乱れに対して有効な治療法ですが、重度の不正咬合や複雑な問題に対しては、効果が限定的な場合があります。適切な診断が行われずに部分矯正が適用された場合、期待した効果が得られないことがあり、その結果、再度矯正治療が必要になることもあります。これを避けるためには、治療前に正確な診断を受け、自分の歯の状態に適した矯正方法を選ぶことが重要です。

後戻りが起きやすいのは、以下のような症例です。

  • 本来は抜歯が必要であるにも関わらず、非抜歯で治療を行った場合
  • 治療後の保定処置(リテーナーの装着など)を怠った場合
  • 歯並びを悪くする習癖(舌突出癖、指しゃぶりなど)がある場合

これらの場合、せっかく矯正した歯が元の位置に戻ってしまう可能性が高くなります。後戻りを防ぐためには、適切な診断に基づいた治療計画の立案と、治療後の定期的なメンテナンスが不可欠です。

部分矯正が原因でむし歯や歯周病が悪化することはありますか?
矯正中の口腔ケアが不十分だと、むし歯や歯周病が悪化する可能性があります。部分矯正の装置というのは、全体矯正よりも設置する範囲が狭く、装着期間も短いため、口腔疾患のリスクも低くなるのですが、清掃性が悪くなることに変わりはありません。その点も理解した上で、部分矯正を選択することが大切です。

部分矯正が失敗する原因と対策

部分矯正が失敗する原因はなんですか?
部分矯正が失敗する原因としては、以下の6つが挙げられます。

・歯並びが複雑
複雑な歯並びは、歯列全体を動かす全体矯正でなければきれいに治せないことが多いです。

・抜歯の判断の誤り
矯正治療において抜歯が必要となることがありますが、その判断が誤ると治療が失敗するリスクが高まります。不要な抜歯は歯のバランスを崩し、逆に抜歯が必要な場合に行わないと歯の移動が制限されることがあります。正確な診断と適切な治療計画が重要です。

・歯や顎のサイズのアンバランス
歯や顎のサイズがアンバランスな場合、部分矯正ではうまく矯正できないことがあります。例えば、顎が小さく歯が大きい場合、歯を移動させるスペースが不足し、適切な矯正が困難です。

・後戻りに対する処置が不十分
矯正治療後に歯が元の位置に戻ってしまう「後戻り」を防ぐためには、リテーナー(保定装置)の使用が重要です。しかし、この後戻りに対する処置が不十分だと、せっかくの矯正治療が無駄になってしまうことがあります。

・口腔ケアがうまくできない
矯正治療中は、ブラケットやワイヤーが口腔内にあるため、口腔ケアが難しくなります。適切な口腔ケアが行われないと、むし歯や歯周病のリスクが高まり、矯正治療の成功を妨げることがあります。

・歯科医師の技術・説明不足
歯科医師の技術や説明が不足している場合、部分矯正の成功率が低下することがあります。経験不足や技術の未熟さが原因で、適切な治療計画が立てられなかったり、患者に対する十分な説明が行われなかったりすると、治療がうまく進まないことがあります。

部分矯正を失敗しないためにどのような対策ができるか教えてください。
部分矯正で治せる歯並びかどうかを正確に見極めることが何より重要です。そのためには、矯正治療の経験豊富な歯科医師を探す必要があります。そのほか、矯正中の口腔ケアを徹底する、保定処置を最後までやり遂げる、部分矯正によって得られる効果を歯科医師と事前に共有しておくことが治療の失敗を回避する上で重要となります。

編集部まとめ

本記事では、部分矯正の失敗例や失敗する原因、対策方法などを解説しました。歯列の一部分だけを改善できる部分矯正は、全体矯正よりも費用が安い、治療期間が短いなど、たくさんのメリットが得られますが、失敗するリスクを伴う点にも注意しなければなりません。部分矯正は、制約が大きい治療法だけに、ある意味で全体矯正よりも難易度が高くなっているため、歯科医師選びも慎重に行う必要があります。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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