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歯科矯正治療ができない場合はある?歯科矯正治療ができないケースや理由など徹底解説!

歯科矯正治療ができない場合はある?

歯科矯正治療を始めようと思っても、できなかったらどうしようと不安になる方もいらっしゃると思います。 本記事では歯科矯正治療ができない場合について以下の点を中心にご紹介します。

  • 歯科矯正治療ができない場合について
  • 歯科矯正治療ができなくなる理由
  • 歯槽骨が薄い場合の歯科矯正治療

歯科矯正治療ができない場合について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

歯科矯正治療ができない場合とは

歯科矯正治療ができない場合とは

虫歯の治療中は歯科矯正治療はできませんか?
通常、虫歯の治療中に歯科矯正治療を行えません。矯正歯科治療を開始する際に、虫歯やその治療中の箇所がある方は、その問題が改善されるまで矯正治療を受けられないからです。 矯正歯科治療中に大きな虫歯を治療する必要がある場合、矯正器具を一旦外して治療をする必要があります。そのため、虫歯治療が完全に終了するまで矯正治療は一旦停止することになります。矯正歯科治療を途中で止めることはリスクが伴います。 矯正治療を希望する方は、虫歯の治療が完了していることが重要で、虫歯の治療が完了していない場合は、その治療が終了するまで矯正治療を待たなければいけません。
歯周病だと歯科矯正治療はできませんか?
歯周病は日本の成人の約3分の2が罹患していると言われる一般的な病気で、歯茎に炎症が起きやすく、虫歯にもなりやすい状態を引き起こします。 このため、歯周病の進行度や症状の度合いによっては、歯科矯正治療ができないことがあります。 しかし、歯周病があっても必ずしも矯正治療が受けられないわけではありません。軽度の歯周病であれば治療が可能で、進行している場合でも、先に歯周病の治療を行うことで矯正治療が受けられるようになる場合があります。歯周病は静かなる病気ともいわれ、自覚症状がなく進行することがあるため、検査と適切なケアが重要です。 歯周病の有無によって治療の可否が異なるため、毎日のケアと定期的な健診が大切とされています。
歯茎が下がった状態や歯肉が薄い状態だと歯科矯正治療はできませんか?
歯茎が下がっている状態や歯肉が薄い状態でも、矯正治療が不可能というわけではありません。しかし、これらの状態は歯茎がさらに下がる(歯肉退縮)リスクを増加させ、知覚過敏が激しくなる可能性や、歯が不安定になる可能性があるため、注意が必要です。 症状の度合いによっては、矯正治療が行えない場合もあります。そのため、矯正治療を開始する前には、歯科医師による詳細な検査と評価が必要です。これにより、患者の口腔内の状態に合った治療計画を立てられます。
顎の骨が足りないと歯科矯正治療はできませんか?
特に高齢者に見られることが多いですが、顎の骨の量や密度が不足している場合、歯科矯正治療を受けることが難しい場合があります。これは、矯正治療では歯を動かす力が必要であり、その力を支えるためには十分な骨量と骨の密度が必要となるからです。 しかし、一概に全ての人に当てはまるわけではなく、事前に精密な検査を行うことで、個々の状況に応じた適切な治療方針を立てることが可能です。したがって、顎の骨が足りないと感じている方でも、まずは歯科医師に相談することをおすすめします。

歯科矯正治療ができなくなる理由

歯科矯正治療ができなくなる理由

歯槽骨はなぜ減少してしまうのですか?
歯槽骨の減少は様々な要因により引き起こされます。 1つの原因は歯周病で、歯周病は歯の骨を溶かす病気として知られています。歯周病が進行すると、歯周組織が感染し、その感染が歯槽骨にまで及びます。結果、骨が消失し始めます。この過程は体の防御反応の一部で、感染した骨は元に戻らず、体は骨を不要なものとして認識します。これにより、骨が徐々に失われ、歯が適切に機能しなくなっていきます。 また、虫歯などの理由で歯を抜くと、その後の歯槽骨も失われることがあります。さらに、老化により歯槽骨が減少する場合もあります。これらの要因が組み合わさると、歯槽骨の減少が進行し、結果として歯科矯正治療が困難になる可能性があります。
骨性癒着はなぜ起こるのですか?
骨性癒着は、歯の根と歯槽骨が直接結合してしまう現象で、骨性癒着が起こると歯の移動が困難になり、結果的に矯正治療が難しくなります。 骨性癒着が起こる原因は主に2つあります。1つ目は、歯に強い衝撃を受けた場合です。例えば、スポーツ中にボールが直撃した場合や、転倒した際に歯にダメージを受けると、歯根膜という組織が傷つき、その部分が治癒する過程で歯根膜が失われ、歯と歯槽骨が直接結合してしまう場合があります。 2つ目の原因は、歯の移植です。移植した歯も、同様の理由で将来的に骨性癒着が起きる可能性があります。これらの理由から、矯正治療をする前には必ずレントゲンを撮影し、骨性癒着の有無を確認することが重要です。

歯槽骨が薄い場合の歯科矯正治療

歯槽骨が薄い場合の歯科矯正治療

歯槽骨が薄い場合でも可能な歯科矯正治療はありますか?
歯槽骨が薄い場合でも、PAOO法という手法を用いることで歯科矯正治療が可能です。 PAOO法は、骨移植材を用いて歯槽骨を増大または再生しながら矯正治療をする方法です。これにより、歯が動いても歯肉退縮や歯根露出を防げます。したがって、歯周病で矯正治療ができないと言われた方や、歯を支える骨が少なくて矯正治療ができないと言われた方でも、PAOO法を用いれば矯正治療が可能となります。 ただし、この手法を適用するかどうかは、患者さんの歯槽骨の状態や歯肉の厚さなど、個々の状況によります。
PAOO法の費用はどのくらいですか?
PAOO法は一般的な矯正治療の費用に加えて、追加の費用が発生します。具体的な費用は治療内容によりますが、例えばコルチコトミー(歯槽骨に溝を入れる手術)の費用は、約20万円から30万円とされています。 ただし、治療期間や費用は治療方法により大きく異なるため、具体的な治療計画に基づいて見積もりしてもらうことをおすすめします。
どの歯科医院でもPAOO法の治療はできますか?
PAOO法は、骨移植材を用いて歯槽骨を増大または再生しながら矯正治療をする方法です。この治療法は、歯周病患者や歯槽骨がなくなってしまった方の矯正治療にも有用で、治療期間の大幅な短縮や痛みの軽減などのメリットがあります。 しかし、PAOO法を受けるには特定の条件が必要で、すべての歯科医院でこの治療ができるわけではありません。 PAOO法は外科処置が必要なため、通常矯正専門クリニックでは行われません。PAOO法を受けるためには、外科医(歯科医)と矯正医が連携しているクリニック、または矯正ができる外科医(歯科医)がいるクリニックを探す必要があります。このため、PAOO法を受けられる医療機関は限られており、適切なクリニックの選定が重要となります。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで歯科矯正治療ができない場合についてお伝えしてきました。歯科矯正治療ができない場合についての要点をまとめると以下の通りです。

  • 歯科矯正治療ができない場合とは、虫歯の治療中や、歯周病の治療中、歯茎がさがった状態や歯肉が薄い状態、顎の骨が足りないことなどがある
  • 歯科矯正治療は、歯槽骨が減少したり、骨性癒着になったりするとできなくなる
  • 歯槽骨が薄い場合の歯科矯正は、PAOO法という骨移植材を用いて歯槽骨を増大または再生しながら矯正治療をする方法がある

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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