ワイヤー矯正

歯科矯正治療での痛みのピークはいつ?ピークを過ぎても痛みは感じるの?

歯列矯正 ガミースマイル

歯科矯正の痛みはいつまで続くのか、ピークはいつなのか、不安な方も多いのではないでしょうか。本記事では、歯科矯正の痛みのピークについて、以下の点を中心にご紹介します。

  • 歯科矯正治療による痛みのピーク時期
  • 歯科矯正治療の痛みの原因
  • 歯科矯正治療による痛みの対処法

歯科矯正治療の痛みのピークについて理解するためにも、ご参考いただけると幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

歯科矯正治療の痛みのピーク時期

歯科矯正治療の痛みのピーク時期

歯科矯正治療における痛みのピークは、装置を装着してから約1~2日後に訪れます。
この痛みは、歯を動かすために使用される矯正器具が歯に負荷をかけ、炎症反応が起こることで生じます。
具体的には、歯が骨に押し付けられると、歯の周囲にある歯根膜が正常な状態に戻ろうとし、その過程で骨が溶ける際に痛みを感じさせる物質(起炎物質)が分泌されます。 この痛みは、装置を装着してから3〜6時間ほどで始まり、およそ24時間後がピークとなります。 その後、痛みは徐々に減少し、約1週間もすればほぼ治まるとされています。
また、装置を初めて装着した際には、器具が口内や舌に接触し、口内炎を引き起こすことがありますが、これも時間とともに慣れてくるため、痛みは減少していきます。
痛みの感じ方はそれぞれですが、痛みが強い場合は痛み止めを使用しましょう。

歯科矯正治療の痛みの種類

歯科矯正治療の痛みの種類

歯が動く痛み

歯科矯正治療中に感じる痛みとして、歯が動くときの痛みが挙げられます。矯正器具によって歯を動かす際に生じる痛みです。痛みの感じ方には個人差があり、「歯が浮いたような痛み」や「うずくような痛み」と表現されることがあります。
特に、ワイヤー矯正でワイヤーを調整した後の数日間は、起炎物質が放出されるため、痛みを感じやすくなるといわれています。この痛みは、歯が骨の中を移動することにより生じるもので、骨が吸収と再生を繰り返す過程で痛みを引き起こします。
痛みが我慢できないほど強い場合は、歯科医師に相談するか、患部を冷やすなどの対策をとることが推奨されます。また、初めてワイヤーを装着してから1~2日間は、鎮痛剤の服用も検討しましょう。
痛みの感じ方は個人差があるため、一概に全ての方が同じ程度の痛みを感じるわけではありません。

装置が当たる痛み

歯科矯正治療中に感じるもう1つの痛みは、矯正装置が口内に当たる痛みです。
歯科矯正治療中は、装置が長時間口の中にあるため、頬の粘膜や歯茎に当たり痛みを感じることがあります。特にワイヤー矯正では、奥歯のワイヤー処理が甘いと違和感や痛みを覚えやすくなります。
この痛みを軽減するためには、調整後に舌や頬を動かしてワイヤーが当たっていないか確認することが重要です。また、少しでも違和感がある場合は、歯科医師に相談し、適切な処理を受けることが推奨されます。
さらに、ワイヤーやブラケットが頬や舌に当たって痛い場合、矯正用ワックスを使用することで口内を保護できます。 ワイヤーが刺さっているなどの痛みはそのままでは軽減しないことが多く、当たり続けていると口内炎になったり痛みが増したりする可能性があります。

咀嚼の痛み

歯科矯正治療中に感じる痛みの1つに、咀嚼時の痛みがあります。
歯科矯正中は、歯が骨の中で安定している期間が短いため、硬いものを食べると痛みを感じることがあります。特に、調整後の数日間は痛みを感じやすく、食事中に歯が触れるだけで痛むこともあります。
この痛みを軽減するためには、痛みが出ている期間はよく噛む必要がある食べ物を避け、麺類や豆腐などの柔らかいものを中心に摂取することが推奨されます。
しかし、食事のバランスも重要で、偏った食事をしていると栄養バランスが崩れ、歯が効率よく動かなくなる可能性があります。

歯科矯正治療の痛みの原因

歯科矯正治療の痛みの原因

歯が動いている

歯科矯正治療中の痛みの1つは、歯が動いていることによるものです。矯正装置が歯に緩やかな力を加えると、歯の根の部分に炎症反応が起き、根の先端では血行障害が生じます。これが痛みの原因となりますが、この反応こそが歯を動かすメカニズムでもあります。
歯を動かすためには、骨を作る細胞と骨を溶かす細胞が働き、新たな歯の位置に歯ぐきが合わせる形で安定します。このプロセスは、身体に元来備わっている性質を利用して、有機的に歯並びを整えていくものです。年齢が若いほど、歯の周りの骨も柔らかく、歯が動きやすいので、痛みが少ないと言われています。
しかし、痛みは歯が動いている証しでもあり、矯正治療の一部と捉えることが重要です。

矯正器具による痛み

歯科矯正治療中の痛みの原因の1つに、矯正器具による痛みがあります。この痛みは主に、ワイヤーとブラケットを使用する矯正治療で起こります。歯の表面に装着した矯正器具の一部が口の内側や舌に接触することで、口内炎が発生し、痛みを感じることがあります。
この痛みは約3~4日がピークとされ、1週間もすれば自然におさまることが多いとされています。しかし、楽器の演奏やスポーツなどで口にダメージを受けると、唇や粘膜が傷つく可能性もあるため、注意が必要です。
また、ワイヤーが緩んで外れたり、装置が外れたりすることもあります。その際には、金具やワイヤーで口を傷つけないようにし、早めに歯科医院で処置を受ける必要があります。

咀嚼による痛み

歯科矯正治療中に感じる痛みの1つに、咀嚼による痛みがあり、特に矯正治療を始めたばかりの頃や、矯正装置を調整した後に顕著にあらわれます。
食事をする際、咀嚼をすることで歯や顎周辺に痛みを感じることがあります。この痛みは、歯が動き始めることによる違和感や痛みが原因で、特に硬い食べ物を噛むときに痛みが増すことがあります。ただ、痛みは一時的なもので、矯正治療が進行するにつれて徐々に軽減するとされています。しかし、痛みが強い場合や食事が困難な場合は、医師から処方される痛み止めを利用することもあります。
また、痛みを和らげるためには、治療初期は柔らかい食事を選ぶ、咀嚼力を必要としない食べ物を摂るなどの工夫が必要であるとされています。

歯科矯正による痛みの対処法

歯科矯正による痛みの対処法

冷やす

歯科矯正治療による痛みの対処法の1つとして、冷やす方法があります。 痛みが強い場合、患部を冷やすことで痛みが和らぎます。
具体的には、保冷剤や氷を薄い布で包み、患部に当てることで痛みを軽減します。特に、身体が温まっているとき、例えばお風呂上がりや寝る前などに痛みが出やすいので、そのようなときに冷やすと良いでしょう。

痛み止めを飲む

歯が動いているときは、歯の周辺の骨が吸収と再生を繰り返し、炎症を起こしている状態であるため、この炎症が痛みを引き起こします。そのため、どうしても耐えられないほどの痛みが続くときは、鎮痛剤を服用することが推奨されます。
初めて矯正装置を装着した場合、装着後約1~2日が痛みのピークとされています。辛い場合は鎮痛剤を服用しましょう。
しかし、矯正治療期間中を通じて我慢できないような痛みが発現することは無いとされています。故に、痛みが引かない場合や痛みに不安を覚える場合は、医師に相談することが重要です。

柔らかいものを食べる

歯科矯正治療中は歯が骨の中で安定している期間が短いため、硬いものを食べると痛みを感じることがあります。特に、調整直後の数日間は痛みを感じやすく、食事中に歯が触れるだけでも痛みを感じることがあります。
痛みが出ている期間は、よく噛む必要がある食べ物を避け、うどんや卵など柔らかいものを中心に摂取することが推奨されます。 ただし、偏った食事を続けると栄養バランスが崩れ、歯の動きが効率よく進まなくなる可能性があるため、食事メニューは工夫して栄養も摂るように心がけることが重要です。
また、前歯に力が入らず噛み切れない場合もあるため、調整後は少ない力で噛める蒸しパンやおかゆなどを選ぶと良いでしょう。

矯正用ワックスを使う

矯正用ワックスは、ワイヤーやブラケットが頬や舌に当たって痛みを感じる場合に使用します。
矯正用ワックスは、軽くまるめて痛みが出ている箇所のワイヤーやブラケットにそっと押しつけるように使用します。これにより、ワイヤーやブラケットが直接口腔内の組織に触れるのを防ぎ、痛みを和らげます。
しかし、食事や歯磨きの際にはワックスが外れてしまうことがあるため、痛みが出ている期間は再度ワックスを使用する必要があります。
また、ワックスを使用することで一時的に痛みを和らげられますが、痛みが続く場合や痛みが強い場合は、歯科医師に相談することが重要です。

まとめ

まとめ

ここまで、歯科矯正治療中の痛みのピークについてお伝えしてきました。 歯科矯正治療中の痛みのピークの要点をまとめると以下の通りです。

  • 歯科矯正治療による痛みのピーク時期は、装置を装着して約1~2日程度である
  • 歯科矯正治療の痛みの原因は、歯が動くこと(炎症反応)、矯正装置が当たること、咀嚼することにある
  • 歯科矯正治療による痛みの対処法は、冷やす、痛み止めを飲む、柔らかいものを食べる、矯正用ワックスを使う、の4つが挙げられる

これらの情報が、少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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