みなさんは自分の歯並びの悪さの程度について考えたことはありますか？歯並びの悪さは軽度な状態と診断されることもあれば、重度と評価されることもあり、評価基準の具体的な違いを知っておくと歯列矯正の際に役立つかもしれません。 この記事では、歯並びの悪さに関する軽度と重度の基準の違い、さらには歯並びの悪さに応じた治療法に関して、初心者にもわかりやすく解説します。
歯並びのトラブルについて
- 歯並びが悪い状態にはどのような種類がありますか？
- 歯並びが悪い状態の種類は、以下のような症状が挙げられます。
- 上顎前突：出っ歯
- 下顎前突：受け口またはしゃくれ
- 上下顎前突：口ゴボ
- 叢生（そうせい）および乱杭歯（らんぐいば）：ガチャ歯
- 開咬：オープンバイト
- 空隙歯列：すきっ歯
- 過蓋咬合（かがいこうごう）：ディープバイト
- 交叉咬合（こうさこうごう）：クロスバイト
これらの状態をまとめて不正咬合と呼びます。上記のいずれか、または複数に該当する場合は、歯並びが悪い状態と考えてよいでしょう。 なお、ご自分がどの状態に該当するかを、自己判断することは好ましくありません。正確に把握するためにも、歯科医師に診断してもらうようにしてください。
- 歯並びが悪いとどのような問題がありますか？
- 歯並びが悪いと以下のような問題が生じる可能性があります。
- むし歯や歯周病になりやすい
- 口臭が発生しやすくなる
- 滑舌が悪くなる
- 姿勢が悪くなる
- 内臓に負担がかかりやすい
- 脳が活性化されにくい
- 見た目のコンプレックスになりやすい
歯並びが悪いと、むし歯や歯周病をはじめとする口腔内の問題が起こりやすくなります。また、頭痛や肩こり、さらには顎関節症などを発症する懸念もあるため、内臓も含めた全身への悪影響が考えられます。 さらに、歯並びが悪いことで、笑顔に自信を持てなくなったり、人前に出ることが嫌になったりするという、精神面での影響が生じるかもしれません。つまり、歯並びが悪いことは、心身の両面に悪影響を及ぼす可能性があるわけです。
- 自分の歯並びをチェックする方法を教えてください
- 自分の歯並びをチェックする方法として、正面チェック、Eラインチェック、そして開口チェックを試すとよいかもしれません。 正面チェックは、鏡の前に立ち、奥歯を噛み合わせてイーと発音し、前歯の中心線と顔の中心が合っているか、さらには下の歯が半分程度見えるかを確認します。 Eラインチェックは、人差し指を鼻先と顎先に当てた際に、唇が人差し指に当たらない、あるいは僅かに触れる程度かを確認します。 そして、開口チェック では、大きくお口を開けて上下左右の歯が自然なアーチ状になっているかを確認しましょう。正面チェックでは、左右のズレと噛み合わせの状態を、Eラインチェックでは出っ歯や受け口の有無、そして開口チェックでは歯の向きや角度をチェックできます。
- 歯並びを整えるとどのようなメリットがありますか？
- 歯並びを整えると、見た目の印象がよくなる、口腔内環境が改善される、そして前向きな気持ちになれるなどのメリットがあります。 歯並びが整うと、笑顔や横顔が美しくなり、清潔感や洗練された印象を与えやすくなるといわれています。 また、歯がきれいに並ぶことで歯磨きをしやすくなるため、むし歯や歯周病、さらには歯の寿命を伸ばす効果も期待できるでしょう。 そして、コンプレックスから解放されることや、笑顔に自信が持てるようになり、前向きな気持ちになるメリットもあります。歯並びが整うことは、身体的な健康だけでなく、精神的な健康にもよい影響を与えると覚えておきましょう。
軽度の歯並びの悪さについて
- 軽度の歯並びの悪さとはどのような状態ですか？
- 軽度の歯並びの悪さは、日常的にはほとんど影響がない程度の状態と解釈すればよいでしょう。具体的には、前歯が1〜2ミリほど、通常よりも前方向に出ている、歯間に僅かな隙間がある、そして奥歯の噛み合わせが僅かにズレている状態です。 軽度に歯並びが悪い状態とは、悪い部分が見た目でそこまで目立つような状態ではなく、さらに機能的な支障がない状態といえます。本人や歯科従事者以外は気にしない程度の状態であれば、軽度と考えてよいでしょう。
- 軽度の歯並びの悪さは自分で治せますか？
- 軽度の歯並びの悪さであっても、自分では治すことはできません。インターネットやSNSなどでは、指で歯を押し続けていたら歯並びがよくなったなどの噂が散見されますが、軽度な状態であっても、歯並びを自分で治すことは極めて困難です。 大人と比較して歯が動きやすいお子さんでも、自分で治すことは控えてください。自分で歯並びを治そうとしても、適切な力を継続的に加えることは難しく、歯が破損するリスクもあります。軽度、重度に関係なく、歯並びは自分では治せません。歯並びを治したい場合は、必ず歯科医師の診療を受けてください。
- 軽度の歯並びの悪さの治療法を教えてください
- 軽度の歯並びの悪さは、マウスピース型矯正による治療法が第一選択になるといえるでしょう。軽度な歯並びの悪さは、1〜2ミリのズレであることから、マウスピース型矯正でも十分に対処可能です。 また、一部分だけの歯並びが悪い場合は、マウスピースを使った部分矯正で治せるかもしれません。 しかし、軽度な状態であったとしても、歯科医師がワイヤー矯正が適していると判断した場合や、コスト、治療期間などの条件によっては、マウスピース型矯正よりもワイヤー矯正が適している可能性もあることを認識しておいてください。歯並びの悪さが軽度であっても、治療法の選択に関しては、歯科医師の指示に従うようにしましょう。
重度の歯並びの悪さについて
- 重度の歯並びの悪さとはどのような状態ですか？基準はありますか？
- 重度の歯並びの悪さは、出っ歯、受け口、口ゴボ、そしてガチャ歯などに該当する状態と考えてよいでしょう。 具体的には、上顎の前歯が下顎の前歯よりも4ミリ以上前方向に突き出ていると、出っ歯に該当すると判断できます。 また、下顎が前方向に突出していることや、顎に歪みがある、さらには正常な発音が難しい場合は、受け口と判断できるでしょう。 歯並びが重度に悪い状態を示す明確な基準はないものの、本人だけでなく、周囲の誰が見ても歯並びが正常な状態とはいえない場合は、重度と判断できます。 歯科医院で、上顎前突、下顎前突、または上下顎前突などと診断されたら、重度の歯並びの悪さと考えてよいでしょう。
- 重度の歯並びの悪さは必ず治すべきですか？
- 重度の歯並びの悪さは、できるのであれば治すべきといえます。 理由は、治療しないでいると、むし歯や歯周病リスクが高まるほか、歯の摩耗や破折、歯牙脱臼などを招く恐れがあるためです。 このほかにも、頭痛や肩こり、顎関節症、さらには胃腸障害につながる可能性も否定できません。重度の歯並びの悪さは、噛み合わせなどの歯の機能が不完全になり、身体への悪影響が広がります。 また、見た目の悪さによって、対人コミュニケーションに支障をきたし、精神的な損害も考えられます。重度に該当するかどうかを問わず、歯並びが悪いと感じる場合は、歯列矯正を検討してみるとよいでしょう。
- 重度の歯並びの悪さの治療法を教えてください
- 重度の歯並びの悪さは、ワイヤー矯正による治療が中心になるといえます。 また、歯並びを整えるためのスペースを確保するために抜歯が必要になるかもしれません。重度の場合、軽度の状態よりも歯を動かす量が大きくなるほか、力を加える方向などの細かな調整も求められます。このような治療に適しているのは、マウスピース型矯正よりもワイヤー矯正であるため、重度の歯並びの悪さはワイヤー矯正による治療が第一選択になりやすいといえるでしょう。
編集部まとめ
歯並びの悪さの軽度と重度の基準は、日常生活への影響や機能的な支障の有無で判断できますが、歯科医師に診断してもらうことが不可欠です。 セルフチェックで問題ないと判断できても、歯科医院でチェックしてもらうと歯並びの悪さを指摘される可能性があるため、歯並びが気になる方は、軽度や重度に関係なく、歯科医師に相談するとよいでしょう。
参考文献
電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。