歯磨きをするとき、仕上げとしてフロスを使われている方は多いでしょう。フロスを使うことにより、歯と歯のすき間の歯ブラシが届かない場所も汚れを落とせます。
ワイヤー矯正中は装置を常に装着しているため、歯磨きがしづらく、むし歯や歯周病のリスクが高くなるでしょう。そのため、フロスの使用が推奨されています。
この記事ではワイヤー矯正中にフロスをしたほうが良い理由や使い方・メリットなどを紹介します。ぜひ参考にしてください。
ワイヤー矯正中にフロスは使っていいの?
ワイヤー矯正中にフロスは使って良いのでしょうか。
ワイヤー矯正はワイヤーとブラケットと呼ばれる器具を使った歯列矯正です。歯にブラケットを装着し、ワイヤーを通します。
ワイヤーを使って歯に適切な力を加え、徐々に歯を移動させ歯並びを改善させます。適応範囲が広いため、さまざまな症例に対応可能です。
しかし、装置が目立つ・歯磨きがしにくい・食事がしにくいなどのデメリットがあります。費用は70万円(税込)ほどが相場です。
デメリットにも挙げられているように、ワイヤー矯正中は歯磨きがしづらいため、綺麗に磨くのは難しいでしょう。そのため、フロスを使うのがおすすめです。
フロスは糸状になっており、歯ブラシが届きにくい歯と歯のすき間を掃除するために使われています。
ワイヤー矯正中には、装置の間に食べ物が挟まることもあります。そのままにしておくとむし歯や歯周病の原因となるため、綺麗に取り除かなくてはいけません。
フロスの使用により、歯ブラシでは届かない箇所の汚れを取り除くことができます。
ワイヤー矯正中にフロスを使用するべき理由
ワイヤー矯正中にフロスを使用すべき理由は主に以下の3つです。
- 矯正中はワイヤー装着で歯磨きが難しいため
- 治療で歯垢が通常より溜まりやすくなるため
- むし歯・歯周病のリスクが高いため
先述したように、矯正中はワイヤー装着が邪魔となり歯磨きがしづらくなります。それだけではなく矯正装置に食べ物が挟まりやすいため、歯垢が通常よりも溜まりやすい状態です。
歯垢をそのままにしておくと、むし歯・歯周病のリスクが高くなります。下記ではこれらの理由について詳しく解説していきます。
矯正中はワイヤー装着で歯磨きが難しいため
先述したように、矯正中はワイヤー装置がついているため歯磨きが難しいです。ワイヤーやブラケットなど、ワイヤー矯正中は複雑な装置が歯の表面についています。
一度装着すると、これらの装置は取り外しはできません。取り外すためには歯科医師に依頼し、専用の器具を使って外してもらうしかありません。
そのため、歯磨きも装置をつけたまま行います。
とくに、装置の周りは食べ物のカスが溜まりやすく、とくに汚れが付着しやすい場所です。したがって、丁寧な歯磨きが重要になるでしょう。
しかし、装置が邪魔になり上手く歯磨きができないので、いつも以上に注意して歯磨きをしなくてはいけません。
フロスは歯磨きのサポートをしてくれるため、歯ブラシの毛先が届かない場所はフロスを使って汚れを落とすようにすることで、口腔内を清潔に保てます。
治療で歯垢が通常より溜まりやすくなるため
矯正装置があることで、通常よりも歯垢が溜まりやすくなります。食べ物が矯正装置に挟まりやすいためです。
矯正装置に挟まった食べ物を取り除くのはなかなか大変でしょう。しかしそのまま放置してはいけません。
食べ物のカスが細菌の増殖を促すため、酸が生産されると歯のエナメル質を溶かしてしまいます。
そのためフロスを使い、装置に挟まった食べ物のカスをしっかりと落としましょう。
むし歯・歯周病のリスクが高いため
ワイヤー矯正中は、むし歯・歯周病のリスクが高いため、フロスを使ってケアをしっかりと行いましょう。
ワイヤー矯正中は歯ブラシが矯正装置に当たるため、毛先が歯に届きにくくなります。そのため、普段よりも歯の表面の歯垢が取りにくい状態になるでしょう。
歯垢が残ったままだと、細菌繫殖の原因となります。さらに、細菌の酸によってむし歯になりやすくなるでしょう。
同じように、歯の汚れが残ることで歯周病になるリスクも高まります。歯周病は歯茎が炎症を起こす疾患で、重症化すると歯を失う原因になる怖い病気です。
したがって、むし歯・歯周病のリスクを抑えるためには丁寧な歯のケアが大切です。歯ブラシの後はフロスを使い、磨き残しがないように注意しましょう。
ワイヤー矯正中にフロスを使用するメリット
ワイヤー矯正中にフロスを使用するメリットにはどんなものがあるのでしょうか。メリットとして次の4つが考えられます。
- 歯間の汚れが取れて衛生的
- 口腔環境を良好に保てる
- むし歯などのトラブルを防げる
- 口臭予防ができる
フロスを使用することで歯間の汚れが取り除かれ、口腔内の環境を衛生的に保つことができます。
口腔環境が良好だとむし歯や歯周病などのリスクが減り、口臭予防にもなるでしょう。これらのメリットについて詳しく解説します。
歯間の汚れが取れて衛生的
フロスを使うことにより、歯間の汚れを取ることができ衛生的になります。
歯ブラシだけでは歯の汚れをすべて取ることはできません。歯と歯のすき間は歯ブラシが届きにくく、磨き残しが出てしまいます。
落としきれない歯と歯のすき間の歯垢は、フロスを使ってきれいに落とすことができます。フロスは細い糸状になっているため、歯と歯のすき間にもスッと入ってくれるでしょう。
フロスを使用することで歯の表面だけではなく、歯と歯のすき間も徹底的に掃除できるため、口腔内を衛生的に保てるようになるでしょう。
口腔環境を良好に保てる
歯ブラシの他にフロスを使用することで、口腔内の細菌を減らして口腔環境を良くする効果があります。口腔内の環境は、全身の健康状態と関係があるといわれています。
とくに注意したいことが歯周病です。さまざまな全身疾患と関わりがあるとされ、糖尿病と歯周病は双方向的な関係性にあるといわれています。
そのため、口腔環境を良好に保つことで、口腔内のトラブルだけではなく全身のトラブルも防げるでしょう。
むし歯などのトラブルを防げる
ワイヤー矯正中にフロスを使ってケアをすることで、むし歯や歯周病などのトラブルを防ぐことができます。
ワイヤー矯正はある程度時間がかかり、治療が完了するまで装置を外すことができません。矯正装置の周辺は歯垢が残りやすいため、むし歯になりやすくなります。
そのため、矯正治療前よりも念入りに歯を磨きましょう。ワイヤー矯正中にむし歯になると、矯正装置を外してむし歯治療を行う必要があります。
歯列矯正は完了するまでに時間がかかるため、むし歯治療で矯正治療を中断すると、さらに治療期間が伸びるでしょう。
また、むし歯治療が終わらない限り、矯正治療をスタートさせることはできません。むし歯の症状が酷い場合はむし歯治療に時間がかかることも考えられます。
むし歯や歯周病にかかってしまうと歯列矯正がなかなか終わらないことになるため、フロスを使って口腔内を清潔に保つことが重要になるでしょう
口臭予防ができる
フロスを使うことにより、口臭予防ができます。
繰り返しにはなりますが、ワイヤー矯正中は歯を磨きにくく、汚れが残りやすい状態です。そのため、丁寧な口腔ケアが欠かせません。
また磨き残しが多いと口腔内の細菌が繁殖しやすくなり、口臭の原因になります。口臭は日常生活に不快感をもたらすため、できるだけ避けるべきでしょう。
このように歯に汚れを残さないことが口臭の予防に繋がります。
ワイヤー矯正中のフロスの使い方は?
ワイヤー矯正中のフロスはどのようにして使うのでしょうか。いつもと同じ使い方では装置が邪魔になり、歯と歯のすき間にフロスが届きません。
ワイヤー矯正中にフロスを使用する際、フロスの種類にも注意が必要です。フロスには、
ロールタイプとホルダータイプがあります。
ロールタイプはフロスが巻いてあり、必要な分だけ切って使います。ホルダータイプは、ホルダーに糸が貼ってあるタイプです。
ホルダータイプは簡単に使用できるため、フロスを使用することが初めての方におすすめです。しかし、ワイヤー矯正中はロールタイプのフロスのほうが使いやすいためおすすめです。
ワイヤー矯正中にフロス使用時には、以下の手順を守りましょう。
- 歯の間にフロスを通す
- 汚れをこするように取る
- 1日1回は使用する
歯の間にフロスを通して、汚れをこすり落とす方法を使用します。ワイヤー矯正中のフロスの使い方について詳しくみていきましょう。
歯の間にフロスを通す
まずは、歯の間にフロスを通しましょう。ワイヤーの下にフロスを通すことがポイントです。
フロスを使いやすい長さに切って、先端をワイヤーと歯の間に通します。反対側を内側に引いて歯と歯のすき間に通してください。
矯正中はフロスが使いにくいため、矯正中でも使いやすい「矯正用フロス」もあります。どのフロスを選べば良いか迷う際は、矯正用フロスがおすすめです。
汚れをこするように取る
フロスを通したらフロスを歯に沿わせて、汚れをこすり取るように上下に動かします。歯茎の中にも優しくフロスを入れて、こするように動かしてください。
無理な力でフロスを歯茎に押しつけないように気をつけましょう。歯茎を傷つける原因となります。
1日1回は使用する
フロスを1日1回は使用するようにしましょう。
落としきれない歯垢は、時間がたつと石灰化して歯石になります。石灰化する前に歯間の歯垢を落とすために、フロスの使用は1日1回がおすすめです。
フロスを使う時の注意点は?
ワイヤー矯正中にフロスを使う時の注意点はなんでしょうか。フロスを使うときに注意したいのは次の4つです。
- 1回ごとに取り換えをすること
- 毎食後にフロスは行なわなくても良い
- 歯茎は傷つけないこと
- 矯正時には矯正用フロスの使用をする
使用したフロスは使いまわさず、1回ごとに取り換えてください。
また、歯と歯のすき間に食べかすが挟まっているのではと気になるかもしれませんが、毎食後にフロスを使う必要はありません。
初めてフロスを使用する方は矯正用フロスがあるので、矯正時は矯正用フロスを使うと良いでしょう。以上の点について詳しく解説します。
1回ごとに取り換えをすること
フロスは1回ごとに取り換えましょう。とくに使い捨てタイプのフロスは、毎回新しいものを使用してください。
1度使ったものは歯垢が絡みついているので、必ず1回ごとに取り替えましょう。
使用済みのフロスは、水で洗ったとしても衛生的によくありません。口腔内の衛生環境にも影響を与えますので、再利用はしないようにしましょう。
毎食後にフロスは行なわなくても良い
毎食後の歯磨きとあわせてフロスを行う方もいますが、フロスは毎食後行う必要はありません。
フロスを使いすぎると、歯や歯茎が傷ついてしまうことがあります。フロスは1日1回、できれば寝る前の使用が良いでしょう。
睡眠中は唾液の分泌が少なく、細菌が増えやすい環境です。寝る前は丁寧に歯を磨き、歯垢を残さないように注意する必要があります。
歯茎は傷つけないこと
フロスを使うときは歯茎を傷つけないようにしましょう。
歯茎はとても傷つきやすいので、フロスは優しくゆっくりと動かしてください。
フロスを歯に無理な力をかけて通すと、反動で歯茎に刺さることがあります。傷や出血の原因となるため「ゆっくり優しく」を心掛けましょう。
矯正時には矯正用フロスの使用をする
矯正中は矯正用フロスを使用することも良いでしょう。
矯正用のフロスは普通のフロスより太くスポンジ状になっていて、歯間の汚れを絡めて取りやすいです。
また先端が固くてワイヤーに通しやすく、矯正時にはおすすめの商品です。
フロスをした箇所で糸が切れたり抜けなかったら危険?
フロスを使う際にいつも同じ箇所で切れてしまったり抜けなくなったりする場合は、むし歯や詰め物の不具合が考えられます。
むし歯の表面はエナメル質が溶けて、ざらざらしているのでフロスが通りにくい状態です。
また、詰め物や被せ物が合っていないと、歯と歯のすき間に段差ができて引っ掛かりやすくなります。治療が必要になる可能性があるため、歯科医師に相談してください。
まとめ
ワイヤー矯正中にフロスを使う理由・使い方・メリットについて解説しました。
矯正中は歯磨きが難しくて、汚れがたまってしまいがちです。しかし、そのままにしておくとむし歯や歯周病になり矯正を中断する可能性があります。
矯正用フロスを使用して、口腔内を清潔に保つことが重要です。
ワイヤー矯正中は今までより丁寧に口腔内のケアを行い、気になることがあれば歯科医師にご相談ください。
参考文献