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開咬は自分で治すことができる?原因や自分で治すことへのリスクなどと一緒に解説

開咬は自分で治すことができる?原因や自分で治すことへのリスクなどと一緒に解説

悪い歯並びというと、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)などが有名ですが、開咬(かいこう)という症状に悩まされている人も少なくはありません。おそらく、自分の歯並びが開咬であることを普段の生活で自覚する人は少ないことでしょう。

そもそも開咬という名前自体、あまり耳にすることがないからです。ただ、開咬という診断名を知らなくても、その症状で苦労している人はたくさんいらっしゃいます。ここではそんな開咬の症状や原因、自分で治そうとすることのリスクなどを詳しく解説します。

開咬とは何か?自分で治す前に知っておくべきこと

開咬とは何か?自分で治す前に知っておくべきこと 開咬の症状に悩まされていて、自分で治そうとしている人は、まず次のことを知っておいてください。開咬という歯並びの基本事項を知ることで、治療法への理解も深まります。

開咬について

開咬とは、噛んだ時に開いた部分がある噛み合わせを指します。最も一般的な開咬は、奥歯で噛んだ時に上下の前歯部間で隙間が生じているケースです。これを厳密には「前歯部開咬」といいます。前歯では噛めても、奥歯に隙間が生じるケースを「臼歯部開咬」といいます。これらはオープンバイトとも呼ばれることある噛み合わせで、さまざまなデメリットやリスクを伴うことから、基本的に治療が必要となります。

開咬の原因

開咬になる原因としては、主に以下の4つが挙げられます。

原因1:指しゃぶり
開咬の原因として第一に挙げられるのは、指しゃぶりです。試しに指しゃぶりをしてみるとわかりますが、前歯の部分に隙間ができるような力がかかります。それが習慣化することによって、前歯では噛めない開咬の状態が作られるのです。指しゃぶり自体は、乳幼児期に見られる一般的な習慣ではあるのですが、それが4歳や5歳まで継続することで歯並びに大きな悪影響をもたらすようになります。

原因2:舌を前に突き出す癖
舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)という舌を前方に突き出す癖は、開咬を引き起こすことがあります。舌が歯を圧迫する力というのは、皆さんが考えている以上に強いものなのです。矯正歯科でも開咬が見られる患者さんでは、まず舌突出癖を疑います。

原因3:遺伝による骨格的な異常
開咬は、骨格の形態異常や上下の顎のアンバランスよって引き起こされる場合もあります。家族内で同様の症状が見られるケースは、遺伝による影響が強いと考えられます。

原因4:顎関節症
歯並びや骨格に異常がなく、指しゃぶりや舌突出癖などの悪習慣も見られない場合は、顎関節症が開咬の原因になっているかもしれません。顎関節症が進行すると、関節頭(かんせつとう)という部分の吸収が起こり、前歯部が開く形で下顎骨が回転します。

開咬の一般的な問題点

開咬になっていると、次に挙げるような次に挙げるような問題点が生じます。

問題点1:前歯で食べ物が噛めない
前歯部開咬では、 ひと目見てわかる通り、前歯で食べ物を噛むことができません。出っ歯や受け口であれば、前歯で食べ物を“噛みにくい”という症状にとどまりますが、開咬の場合は“噛めない”のです。この違いは口腔や全身の健康において、とても大きなものといえます。それは問題点2以降で詳しく説明します。

問題点2:奥歯と顎関節に大きな負担がかかる
前歯で食べ物を噛むことができないと、奥歯だけでそしゃくしなければならなくなります。その結果、奥歯の摩耗や破折のリスクが高まるだけでなく、歯の寿命も短くなってしまうことでしょう。さらには、そしゃくの支点となる顎関節にまで過剰は負担がかかることで、顎関節症の発症リスクが高まります。

問題点3:胃腸に大きな負担がかかる
食べ物を奥歯だけで噛むと、そしゃくが不十分な状態で飲み込むことになります。そのしわ寄せは胃腸といった消化器官へと及ぶことでしょう。消化不良は栄養の吸収を妨げると同時に、全身の健康にまで悪影響を及ぼしかねません。

問題点4:発音がしにくい
開咬には、発音障害を伴うことが多いです。とくに「サ行」「タ行」「ラ行」が発音しにくくなります。これは前歯部の隙間から空気が漏れることに起因しています。

問題点5:口呼吸になる
開咬で口が閉じにくくなると、呼吸も自ずと口で行うようになります。口呼吸は、口腔内の乾燥を促し、細菌の活動を活発化させます。その結果として、むし歯や歯周病、風邪などの感染症にかかりやすくなるのです。

開咬の自己診断方法と自分で治す時のリスク

開咬の自己診断方法と自分で治す時のリスク ここまでは開咬の特徴や原因、放置することの問題点などを解説してきました。次に気になるのが自分の開咬の状態です。開咬は、大まかにセルフチェックすることができます。

簡単な診断チェックリスト

次に挙げる症状に当てはまる場合は、開咬が疑われます。自分自身の症状に当てはめてチェックしてみてください。

  • 上下の前歯の間に不自然なすき間ができている
  • いつも口が開いていて口呼吸になっている
  • 食べ物を前歯で噛むことができない

開咬の程度を把握する

開咬を治したいと考えている人は、まず自分の症状の程度を把握することが大切です。上段で紹介した方法はあくまでセルフチェック法なので、開咬の程度を正確に知ることはできません。ですから、開咬を適切な方法で治すためにも、まずは歯科医院を受診して、歯科医師による検査および診断を受けることをおすすめします。

◎開咬は自分で治せる?

結論からいうと、開咬を自分で治すことは難しいです。開咬の背景には、骨格や歯並び、噛み合わせに異常が認められるからです。そうした異常を自分で治そうとすると、かえって症状が悪くなる場合もあります。例えば歯並びを自力で治そうとした場合は、歯が欠ける、歯が折れる、歯並びが悪くなる、といったリスクを伴います。ですから、開咬は自力で治すのではなく、専門家の治療によって改善するのが望ましいといえます。

自分でできる開咬の予防法

自分でできる開咬の予防法 開咬の予防であれば自分でできることがあります。

日常生活でできる開咬の予防法

開咬は、日々の習慣が原因になることもある噛み合わせの異常です。つまり、そうした習慣を取り除くことで、開咬の予防はしやすくなるのです。具体的には、指しゃぶり・舌突出癖・口呼吸をやめることから始めてください。こうした悪習癖を改善するだけでも、開咬になるリスクを大幅に減らせます。骨格や歯並び、噛み合わせの異常は、自力で治すことができないため、専門家の力が必要となります。

開咬が自分で治せない時の治療のタイミング

開咬が自分で治せない時の治療のタイミング 開咬は、診断や治療を受けるタイミングが極めて重要な歯並び・噛み合わせの異常です。治療を受けるタイミングが遅くなると、骨格の発育や発音機能などに深刻な悪影響を及ぼしかねないからです。

専門家のアドバイスを求めるタイミング

乳歯列期および混合歯列期には、すきっ歯や出っ歯、乱ぐい歯などがよく見られますが、一時的な症状であることも少なくありません。そのため小児矯正は5〜6歳くらいから始めるのが一般的です。

今回のテーマである開咬は、正常な発育では見られない症状なので、上下の前歯部間に不自然な隙間が認められたり、前歯でまったく噛めない症状が現れたりしたら、すぐに専門家のアドバイスを求めてください。

それが3~4歳であっても矯正歯科を受診するタイミングとして決して早すぎるわけではありません。ちなみに、専門家のアドバイスを求めたからといって、すぐに治療を受けなければならないというわけでもありませんので、その点はご安心ください。

開咬の治療方法について

開咬の治療方法について 開咬は予防できても、自力で治すことはできないという点は理解できたかと思います。そこで必要となるのが専門家による治療です。開咬の症状は、次に挙げるような方法で改善することができます。治療にかかる費用とメリット・デメリット、開咬治療後のケアについても解説します。

マルチブラケット装置での治療

歯の表面に四角いブラケットと金属製のワイヤーを固定する方法で、一般的にはワイヤー矯正と呼ばれています。装置は目立ちやすいのですが、歯を三次元的に動かすのが得意な装置であることから、開咬も治せる場合が多いです。抜歯をして歯を動かすケースにも問題なく適応できます。開咬は、歯を下げたり、奥歯とのバランスをとったりするなど、複雑な処置が必要となるため、マルチブラケット装置を用いたワイヤー矯正は、適切な治療法として第一に挙げられます。

マウスピース型矯正装置での治療

マウスピース型矯正装置は、文字通りマウスピースの形をした装置を使って歯並びを改善するものです。有名なものにインビザラインというシステムがありますが、その他にもいろいろな種類のマウスピース型矯正装置が流通しています。

透明なマウスピースを使うことから、矯正中であることを周囲に気付かれにくいというメリットがあります。また、食事と歯磨きを普段通りに行えたり、歯の移動に伴う痛みや装置による刺激が少なかったりするなどの点もマルチブラケット装置にはないメリットといえます。

ただし、マウスピース型矯正装置は、マルチブラケット装置ほど適応範囲が広くはありません。そのため重症度の高い開咬は、マウスピース型矯正装置で治せないことが多いです。その他、マウスピース型矯正装置には、上下の噛み合わせを細かく調整するのが難しい、装置を毎日着脱しなければならない、といったデメリットを伴います。もちろん、マウスピース型矯正装置で治せる開咬もあることから、まずはカウンセリングおよび精密検査を受けてみることが大切です。

外科矯正(手術)での治療

重症度の高い開咬は、マルチブラケット装置もしくはマウスピース型矯正装置単独での治療が難しくなります。とりわけ骨格的な異常に由来する開咬は、外科矯正が必要となりやすいです。開咬の根本的な原因になっている骨格を切除するなどして改善し、上下の歯が正常に噛むように調整します。開咬で外科矯正が適応される場合も基本的には、マルチブラケット装置やマウスピース型矯正装置での歯列矯正が必要となります。また、外科矯正は、一般の歯科医院で実施することが難しく、ほとんどのケースでは大きな病院の口腔外科で行うことになります。

治療費用

開咬にかかる費用は、歯並び・噛み合わせの状態や選択した治療方法によって大きく異なります。一般的な全体矯正で開咬を治療する場合は、マルチブラケット装置で800000〜1000000円程度、マウスピース型矯正装置で800000〜900000円程度の費用がかかります。

開咬を部分矯正で治す場合は、300000〜600000円程度の費用がかかることでしょう。外科矯正で開咬を治療する場合は、手術費用として1000000円前後の費用がかかるものと思われます。外科矯正の費用に関しては、ケースバイケースと言わざるを得ないため、1000000円前後という金額はあくまで目安程度に考えてください。

治療のメリットとデメリット

矯正治療によって開咬の症状を改善すると、次に挙げるようなメリットとデメリットを伴います。

【メリット】
・前歯で食べ物を噛めるようにある
歯が担っている最も重要な機能は「そしゃく」です。矯正治療で開咬の症状を改善できれば、前歯のそしゃく機能を回復できます。

・奥歯や顎関節、胃腸への負担を減らせる
前歯でしっかり噛めるようになると、奥歯や顎関節へ大きな負担をかけずにそしゃくできるようになります。食べ物を十分にそしゃくできれば、胃腸への負担も減らせることでしょう。

・口呼吸が改善されて感染症のリスクが下がる
矯正治療で前歯部の隙間がなくなれば、口呼吸も自然と鼻呼吸に移行していきます。その結果、口内乾燥の症状が改善し、唾液による自浄作用、殺菌作用、抗菌作用、歯の再石灰化作用などが正常に機能するようになり、むし歯や歯周病、風邪などの感染症リスクも下がります。

・口元に自信が持てるようになる
上下の前歯部に不自然な隙間があると違和感が生じます。それが気になって人前では笑えなくなってしまったという人もいます。矯正治療で開咬の症状が改善されれば、口元のコンプレックスも解消されて、笑顔に自信が持てるようになるでしょう。

【デメリット】

・費用がかかる
開咬は、基本的に矯正治療でなければ治せません。矯正治療には少なくとも数十万円の費用がかかるため、それを大きなデメリットと感じる人も多いです。

・治療期間が長い
外科矯正は、1回の手術で大きな結果が得られますが、結局は歯列矯正も併用することになります。歯列矯正には数年に及ぶ治療期間が必要です。

開咬治療後のケアについて

開咬の治療が終わった後も適切なケアとメンテナンスを継続しなければなりません。例えば、リテーナーを使った保定処置を怠るとせっかく治した歯並びが元に戻っていってしまいます。指しゃぶりや舌突出癖、口呼吸が残っていても、同様の症状に悩まされることでしょう。その点も踏まえた上で、開咬の治療後のケアは徹底していくことが大切です。

まとめ

まとめ 今回は、開咬の原因や症状、自分で治すことのリスクなどを解説しました。上下の前歯部の間に不要な隙間が存在している開咬は、自分で治すことが難しいです。その症状を改善するのであれば、マルチブラケット装置やマウスピース型矯正装置を使った歯列矯正を行わなければなりません。

重症度の高い開咬では外科矯正が必要となる場合もあるでしょう。いずれにしても開咬の症状に悩んでいる人は、自分だけで解決しようとはせず、まずは専門家である歯科医師に相談することをおすすめします。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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