口元は第一印象を決める重要なパーツです。それゆえに、自分の歯並びに悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
近年、矯正治療の技術の進歩により、いくつかの治療法を選べるようになりました。また、目立ちにくさに特化した歯列矯正の方法も開発され、歯列矯正がより身近になっています。
また、歯並びの悪さは生活習慣も影響しているため、治療だけでなく日常生活を見直してみることも大切です。
今回は、歯並びを良くする方法をご紹介しますので、是非参考にしてください。
理想的な歯並びとは?
理想的な歯並びとは、どの様な歯並びのことなのでしょうか。理想の歯並びとは見た目の美しさである審美性と、噛み合わせの機能性の両方が優れている歯並びのことです。
以下の様な条件が揃っている状態です。
歯の中心と顔の中心が合っている
大きさ・形が左右対称
上の歯の方が下の歯よりも2~3mm出ている
歯が重なっていない
噛み合わせが正しい
歯のバランスの良さに加えて、正しい噛み合わせによる機能性も大切です。上記に加えて、歯の隙間がない・口元のEラインも奇麗な歯並びを引き立てます。
Eラインとは、横顔美人の基準の一つで、鼻と顎の先端を線で結んだラインよりも、唇が内側に収まっていることが整った口元とされています。
歯並び良くする方法
続いて、生活習慣や呼吸法などの歯並びを良くする方法をご紹介します。
生活習慣を変える
生活習慣を変えることでも、歯並びの悪化を防ぐ効果が期待できます。頬杖やうつぶせで寝ていることが多い場合は、歯や顎に負担がかかるので止めましょう。
頬杖やうつぶせで寝ると、歯や顎に数キロという力が加わるため歯並びに影響がでます。また、無意識にしてしまう歯ぎしり・爪を噛む・舌癖は歯をすり減らす原因です。
歯は動く性質があるため、日常的に長時間に渡って力が加わると歯並びが悪くなります。この様な生活習慣の改善をすることで、歯へ力が加わることを防ぐことが大切です。
口呼吸を止める
口呼吸は、口周りの筋肉の力のバランスが崩れて歯並びを悪くする原因になるため止めましょう。舌は上顎方向へ押し上げる様についており、この正しい位置に舌がついていることが歯並びには大切です。
舌は前歯に向かって前へ押す力が働いています。また、頬からは舌側へ押す力があり、この2つの力が拮抗して口の中のバランスが保たれており、その中心に歯列があるので奇麗な歯並びが保たれているのです。
口呼吸をすると舌の位置が正しい位置から離れてしまうので、舌は下がって頬からの力が強くなります。
その結果、口の中の力のバランスが崩れて、出っ歯や開咬(かいこう)などを引き起こしてしまいます。
歯列矯正をする
前項では、生活習慣や呼吸法の改善について、歯並びの悪化を防ぐことができる方法としてご紹介しました。
一方で、歯列矯正は歯に長時間の間力を加えて動かすことで、正しい噛み合わせの歯並びにするという治療方法です。
歯列矯正では上下で正しい位置というバランスとともに、正しい噛み合わせを最終目標として治療計画を進めて行きます。
歯は力を加え続けることで動きますが、1ヵ月で0.5~1mmしか動かないため、長い治療期間が必要です。治療の難易度や個人差にもよりますが、通常成人の場合は1年半~2年半ほどかかります。
歯並び良くする歯列矯正の種類
矯正の歴史をたどると、古代ローマ時代まで遡り、この頃には既に金属で歯を矯正していたことが確認されています。
近年では、従来の金属の矯正装置から更に進化して、目立ちにくさに特化した矯正装置も開発されています。
その一例として、マウスピース矯正は1997年にアメリカで開発された新しい矯正治療で、日本では2006年から治療が始まりました。
透明なマウスピースは、人前にでても目立ちにくいため、見た目が気になる方でも取り組みやすい治療法です。
この様に、大人から子供まで様々な選択肢が広がる矯正治療について、歯列矯正の種類ごとにご紹介をします。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、ブラケットと呼ばれる矯正装置を歯に取り付け、そこへワイヤーを通し、長時間の間適切な力を加えることで歯を動かしたい方向へ動かす方法です。ワイヤー矯正は2種類あります。
全体矯正
部分矯正
全体矯正は奥歯まで含めた全体の歯列を整えることができ、部分矯正は歯の一部分のみの限定的な治療方法です。また、ワイヤー矯正の治療法として次の3つが挙げられます。
表側矯正
裏側矯正
ハーフリンガル矯正
表側矯正は装置を歯の表面に装着するもので、ほぼ全ての症状に対して治療が可能な治療方法です。1903年に矯正治療方法が誕生した時から現在に至るまで、最もポピュラーで主流の方法となっています。
裏側矯正は、1960年代に日本で考案された治療法で、歯の裏側に装置を取り付けるため、装置が目立ちにくいことが特徴です。
ワイヤーで口の中を傷つけることはありませんが、難易度が高く治療も高額になります。ハーフリンガル矯正は、上の歯に裏側矯正・下の歯に表側矯正をする方法です。
上側の矯正装置が目立ちにくくなり、裏側矯正に比べると費用は抑えることができます。3つの矯正の中では、表側矯正は費用が抑えられて一般的な方法です。
裏側矯正とハーフリンガル矯正は装置が目立ちにくくなりますが、費用が高額になる・適応症例が狭いなどの点には気を付けましょう。
マウスピース矯正
マウスピース矯正とは、透明なマウスピースを歯に装着する方法で、ワイヤー矯正ほど目立たないことが特徴です。取り外しができるため食事中や歯磨きの時にストレスがありません。
およそ2週間程装着して、歯が動いたら新しいマウスピースに交換して更に動かしていきます。
効果を得るためには20時間以上の装着が必要で、食事や歯磨きの時以外は常にマウスピースを外さないことが大切です。
また、ワイヤー矯正に比べて細かい動きができないことや、治療ができない症例もあります。しかし金属アレルギーの方や、ブラケットを付けたくないという方には適した方法です。
セラミック矯正
セラミック矯正は、実際に自分の歯を動かすのではなく、歯を薄く削ってセラミックを被せることで歯並びを整える方法です。
ワイヤー矯正やマウスピース矯正の様に、自分の歯を動かさないため、歯が動く痛みは無く、短期間で終わります。
また、矯正装置は使わないため、治療中の見た目の変化もありません。しかし、自分の歯を削ることや、被せ物と歯の隙間から虫歯になってしまうことがデメリットとしてあげられます。
セラミックの寿命は10~20年といわれていますので、寿命が来たら作り直しをする必要があります。
美しい歯が短期間で手に入れられますが、歯を削る等のデメリットがありますので、ご自身に合うかどうかを歯科医に相談しましょう。
しかし、セラミック矯正は医療倫理的に絶対に行ってはならない治療です。むし歯治療の1つとしてセラミックの補綴治療をする際に、ある程度歯列を整えることはできます。
歯並びの悪さを放置するリスク
歯並びや噛み合わせが悪いことを不正咬合(ふせいこうごう)といいます。不正咬合には以下の様な症状があります。
叢生(そうせい)(ガタガタした状態)
上顎前突(じょうがくぜんとつ)(出っ歯)
反対咬合(こうごう)(受け口)
開咬(かいこう)(前歯が噛み合わない)
不正咬合を放置しておくと虫歯や歯周病になりやすくなるだけでなく、顎の形状にも影響を及ぼします。どの様な症状があるかを見ていきましょう。
虫歯・歯周病になりやすい
歯並びが悪いと虫歯や歯周病になりやすくなります。歯並びが悪く、歯と歯が重なりあうと、隙間やデコボコが多くなるため磨き残しが多くなるためです。
こういった隙間は常にブラシが届きにくくなるので、虫歯ができやすくなります。また、磨き残しは、歯周病の原因にもなります。
食べかすは歯垢となり、粘着質の細菌の塊となって歯につき、そのままブラシが当たらないままの状態が続くと歯肉が炎症を起こしていくのです。
歯垢は取り除かないまま時間が経過すると歯石になり、歯に強固に付着します。歯石は細菌の塊であり、歯周病を進行させる原因となるのです。
噛み合わせが悪くなる
歯並びが悪いと、正しい位置で噛むことができないので、嚙み合わせが悪くなります。
噛み合わせが悪さが原因で起こる症状は、以下の様なことです。
歯が欠ける
顎関節症
消化不良
肩こり
特定の歯だけに力がかかりすぎたり、噛み合わせ合わないために下顎をずらして噛む状態が続くと咀嚼筋や顎の関節にも負担がかかります。
その結果、歯が欠けたり顎関節症を引き起こすことがあります。また、不正咬合のために食べ物が上手く噛み切れず、大きな破片で飲み込むと引き起こすのが消化不良です。
また、咀嚼に関わる肩や首の筋肉の疲労から、肩こりを起こすといった症状も起こります。
コンプレックスになる
口元は、第一印象を決定する重要な部分です。歯並びの悪さを意識して劣等感をおぼえて社交性が失われるなど、心理的にも悪影響を及ぼします。
上顎前突は、歯を見せたくなくて隠してしまったり、口を閉じても唇が常に突き出てしまうので、気になってしまう方も多くいます。
叢生は、歯が前後に重なる様にして生えてしまったり、歯が横を向いてしまったりするため、見た目が気になることもあるでしょう。重なり合った歯の間に食べかすが残ると虫歯のリスクが生じたり、口臭の原因ともなります。
受け口は、舌の歯が上の歯よりも前に出ている状態で、しゃくれと呼ばれる不正咬合です。見た目に悩むことが多く、コンプレックスを感じてストレスを抱えたり、発音や顎にも悪影響があります。
この様に、不正咬合はコンプレックスを抱く原因となり、自分に自信が持てなくなったり、物事に消極的になるなどストレスの原因となります。
歯並びが気になったり心配になった場合は、悩まずに歯科医に早めに相談して対策をするようにしましょう。
まとめ
今回は、歯並びを良くする方法や歯並びの悪さを放置することのリスクについてご紹介しました。
歯列矯正は、いくつかの種類がありますので自分に合った治療法を見つけましょう。
また歯並びが悪くても、歯科矯正をするまでではないと思う方は多くいらっしゃるかもしれません。
しかし、良い歯並びになれば、心が明るくなり行動力も上がります。
ずっと悩み続けているのであれば、解決策を見つけるために早めに歯科医に相談してみましょう。