歯並びを治すために矯正をしてみたいけれど、自分の歯並びにどの矯正方法が合うかわからないという方が多いのではないでしょうか。
また、いくつか種類のある矯正方法の中でマウスピース矯正に興味があるけれど、どのような治療をするのかよくわからないという方もいるでしょう。
そこで、この記事では歯並びの治療にはマウスピース矯正がおすすめの理由を解説していきます。マウスピース矯正のメリット・デメリット・注意点も詳しく紹介します。
マウスピース矯正を知ることで、最初の一歩を踏み出せるでしょう。
歯並びの矯正はマウスピースがおすすめ
従来の歯の矯正方法は、歯の表側もしくは裏側にブラケットという矯正器具をはめて、ワイヤーを通すブラケット矯正が一般的でした。ワイヤー矯正とも呼ばれています。
ワイヤーに沿って歯を動かしていくので歯並びがよくなるのですが、ワイヤーや金具部分が大変目立ちます。また痛みが続く場合もあるので、矯正を悩む方も多いです。
しかし、そこで登場したのがマウスピース矯正
です。
プラスチックのマウスピースを装着できるので、ブラケット矯正に比べて気軽に始められます。
特に矯正器具の見た目を気にされている方や、痛みに耐えられるか不安な方にマウスピース矯正はおすすめです。
マウスピース矯正のメリット
上述でマウスピースがおすすめの方を紹介しましたが、ここからはマウスピース矯正のメリットを解説します。
メリットを知ることでマウスピース矯正にさらに興味が湧いてくるでしょう。
メリットは以下の4点があげられます。
- 楽器演奏やスポーツを制限なくできる
- 目立ちにくい
- 食事中は取り外せる
- 金属アレルギーでも治療できる
それぞれどのような理由がメリットなのか確認し、マウスピース矯正の参考にしてください。
楽器演奏やスポーツを制限なくできる
楽器演奏の際は、慣れるまでに時間がかかる可能性もありますが、マウスピースを装着しているからといって演奏ができないことはありません。
スポーツをされている方も矯正治療に制限を受ける
ことなく、プレーをしていただいて問題ないです。
ただしラグビーなどの激しくぶつかるスポーツにおいては、衝撃から歯を守るためや、歯を噛み合わせることで普段以上の筋力を発揮するためにマウスピースを使用します。
矯正用のマウスピースでは破損する可能性が高いので、激しくぶつかるスポーツの場合はスポーツ用のマウスピースを作るといいでしょう。
目立ちにくい
矯正と聞くとワイヤーを使ったブラケット矯正をイメージする方が多いのではないでしょうか。
歯の表面にワイヤーを通すため、会話をする時などどうしても目立ってしまいます。
しかし、透明なマウスピースを使うマウスピース矯正であれば、目立つことなく日常生活を送れます。
プラスチックで薄く作られているので透明度もあり、近くで見ても装着しているかわからないくらいです。
ブラケット矯正の場合は周りの目が気になり、自信を無くしてしまい相手の目を見られない方も多くいらっしゃいます。
そのような方でもマウスピース矯正にすれば自信を持って、相手の目を見ながら話せるようになるでしょう。
食事中は取り外せる
ブラケット矯正とは異なりマウスピース矯正は、食事中は簡単にマウスピースを取り外せます。食事中に矯正器具をつけたままだと食後のケアが大変でしょう。
ブラケット矯正の場合は自分で外すことはできないので、歯ブラシや歯間ブラシで汚れを隅々まで落とすケアが毎日必要です。
しかし、マウスピース矯正であれば自分のタイミングで取り外せるので、食事もストレスを感じません。
マウスピースのケアも歯磨きの際に外して、一緒に洗浄できるので苦になることはないでしょう。取り外しと同様に装着も簡単にできるのもポイントです。
金属アレルギーでも治療できる
金属アレルギーの症状を起こす原因は主にニッケル・コバルト・クロム・銀・銅などが代表的です。
ワイヤーを使って歯を動かすブラケット矯正では、ニッケル・コバルト・クロムが使われていることが多いです。
歯科矯正では安全なものを使用していますが、金属アレルギーが絶対に出ない訳ではありません。
しかし、マウスピース矯正の場合は、薄いプラスチックのマウスピースを歯にはめて使うので金属アレルギーの方でも安心して治療できます。
金属アレルギーの不安がある方は、必ず治療の前に医師に相談しましょう。
マウスピース矯正のデメリット
上述ではマウスピースのメリットについて詳しく解説してきましたが、ここからはデメリットを紹介します。
事前にデメリットを知っておくことで、医師に相談する際に治療の流れがイメージしやすくなるでしょう。
マウスピース矯正のデメリットは以下の3点です。
- 決められた装着時間を守る必要がある
- 治療が上手くいかないケースがある
- 症例によっては治療できない
- アタッチメントを付ける必要がある
それぞれどのような理由があってデメリットとなるのか詳しく解説します。
決められた装着時間を守る必要がある
マウスピース矯正の1日の装着時間は20〜22時間ほどが必要です。
マウスピースを装着して圧を加えることにより、少しずつ歯を動かしていくため、決められた装着時間は必ず守るようにしましょう。
マウスピース矯正の場合、診察をして患者さんの歯型のデータをとり、理想の歯並びになるように機械でシミュレーションを行います。
そのデータを元に必要なマウスピースを何枚か作り、矯正の進行状況を確認した上で、マウスピースを装着していきます。
歯磨き後のつけ忘れや寝る前のつけ忘れが長く続いてしまうと、決められた時間圧を加えられないので、スケジュール通りに歯が動かない原因となってしまうでしょう。
装着を忘れやすい方は、保管場所を見やすい場所に変えてみる・寝る前にリマインダーをかけるなどの対策をとっておくと装着忘れ防止になります。
治療が上手くいかないケースがある
治療が進んでいくにつれ、矯正治療が上手くいかないケースがいくつかあります。
上手くいかないケースは以下の通りです。
- 抜歯矯正が必要なケース:顎や歯の大きさによっては抜歯矯正が必要になる場合があります。
抜歯後に歯の移動距離が多くなると上手くいかないケースが多いです。その場合は、ブラケット矯正と併用すると治療を続けられるでしょう。 - 歯の癖があるケース:歯を食いしばる癖や睡眠中に歯ぎしりの癖がある場合、負荷がかかってしまうのでマウスピースが割れやすくなります。無意識に行っているので治すのが難しいですが、続いてしまうと治療が上手くいかず矯正期間が長くなってしまうでしょう。
- マウスピースの使用方法を守れないケース:1日の装着時間が決まっていますが、守っていないと本来の効果が現れません。また、新しいマウスピースと交換するために定期健診に通院していただく必要もありますが、通院を守れない方がいらっしゃいます。
治療期間も長くなり治療が上手くいかなくなる原因になるでしょう。
症例によっては治療できない
マウスピース矯正の場合、部分矯正と全体矯正という大きく分けて2種類の矯正方法があります。
歯の一部分が気になる場合は部分矯正が適しているでしょう。
全体矯正に比べ期間が短いのが特徴です。歯並び全体が悪い場合は全体矯正で時間をかけて矯正していきます。
検診の際に単体の症状や、一部だけの治療であればマウスピースを使った部分矯正が可能です。
しかし、その他の症状が併発している場合や症状が重度の場合、部分矯正ができない場合があります。
また、そもそもマウスピース矯正が適していないので、ブラケット矯正のみしか適応ができない可能性もあるでしょう。
アタッチメントを付ける必要がある
アタッチメントとは、歯の表面にプラスチックの突起を必要に応じて付け、歯に力をかけにくいマウスピースの補助をします。
食事の時など、マウスピースを外したときに目立ちます。また、アタッチメントを付けるとマウスピースを着脱するたびにかなりの力がかかるため、歯にダメージが加わります。歯周病の方などには、非常に危険です。
マウスピース矯正の注意点
どの矯正方法においても注意点やリスクはつきものです。
矯正治療を始める前に判明する注意点や、治療を進めていく中で稀に起こるリスクなどもあります。
反対に、普段の生活の中で注意点を意識して過ごすだけで、リスクを減らす場合もあります。
主な注意点は下記の4点です。
- 矯正の前に他の治療が必要な場合がある
- 奥歯が噛み合わなくなってしまうケースもある
- 食事の際には取り外す
- 毎食ごとに歯磨きが必要
それぞれのリスクを知ることで、不安に思っている部分を診察の際に、医師に相談しやすくなるでしょう。
また、それぞれの注意点を事前に把握することで、スムーズに治療に取り組めます。
矯正の前に他の治療が必要な場合がある
矯正前の歯の状態によっては、先に問題のある箇所を治療してからでないと、矯正治療を進められない場合があるでしょう。
下記にいくつか例をあげます。
- 虫歯がある:虫歯がある場合は根本的に治療が完了するまでは矯正を始められません。矯正を始めてしまうとマウスピースを一日中装着するので、虫歯を治療しないと菌が繁殖し、別の歯も虫歯になってしまう可能性があるからです。虫歯になりやすい方は虫歯の治療後に、歯磨きの仕方をレクチャーしてもらうといいでしょう。
- 重度の歯周病にかかっている:重度の歯周病の場合も虫歯のケースと同様に、先に治療が必要です。軽度の場合でも一般的には、先に治療をするでしょう。重度の場合は歯が抜けるリスクもあるので、歯周病の治療だけでもかなりの期間が必要になる可能性があります。
- インプラントが入っている:インプラントが入っている場合、歯の根本まで人工物で固定されているので、基本的にはマウスピース矯正を受けられないケースが多いです。インプラントの位置や本数によっては矯正治療ができるケースもありますが、断られる可能性が高いと思っておきましょう。どうしても受けたいという方は医師に相談しましょう。
奥歯が噛み合わなくなってしまうケースもある
頻繁に起こるケースではありませんが、見た目は綺麗な歯並びに治療できたにもかかわらず、奥歯の噛み合わせが合わなくなるケースもあります。
この場合、治療計画の見通しが甘さや、無理があったことが考えられます。
また、調整したマウスピースに問題がありトラブルを引き起こすケースもあるでしょう。
さらに、医師の実績が伴っていない可能性もあります。
医師を選ぶ際は歯科医院のHPをチェックし、インビザラインの症例数や実績のある医師に与えられるインビザドクターという認定医であるかを確認しましょう。
また歯科医院を選ぶ際は実績の記載や、症例の写真などが添付されているか確認するといいでしょう。
HPが見やすく更新されている歯科医院は信頼性が高い傾向にあります。
食事の際には取り外す
マウスピースをつけたまま食事をすることは可能ですが、基本的には取り外して食事をしましょう。
食事中に取り外す理由は下記の通りです。
- マウスピースが変形する:マウスピースはプラスチックでできているので柔らかいです。衝撃を与え続けると割れて破損する可能性もあります。マウスピースを装着したまま固い食べ物を食べるのは危険ですので必ず外しましょう。
- マウスピースに色がつく:コーヒー・お茶・ワインなどは特に色がつきやすいです。その他の着色料が入った食べ物や飲み物も、同様に色がついてしまいます。透明のマウスピースのメリットがなくなってしまうので、注意しましょう。
- 汚れが溜まりやすい:マウスピースを装着したまま食事をすると歯の隙間にゴミが入り込み、マウスピースも汚れが溜まってしまいます。
虫歯のリスクが高まるため食事の前に必ず取り外しましょう。
毎食ごとに歯磨きが必要
マウスピース矯正は一日中装着し続けているので、知らないうちに歯に虫歯の原因となる、プラークが溜まりやすい状態になっています。
マウスピース自体も汚れが溜まりやすいので毎日の歯磨きやマウスピースのケアが非常に重要です。
面倒くさがって夕食後に1回だけ歯磨きをしている方は、いますぐ習慣を見直しましょう。
朝・昼・晩と食事をとる場合は必ず毎食ごと歯磨きをするように心がけましょう。
朝は忙しく、朝食は普段からとれていない方も多いかと思いますが、食事をしなくても虫歯の菌は、口の中で繁殖してしまいます。
また、寝ている間もマウスピースは基本的にはつけたままなので、同様に菌が繁殖しやすい状態です。
しっかりと習慣化していき、常に清潔な口腔内の状態を保つようにしましょう。
歯並びで悩んでいる方は早めの対応を
歯並びで悩んでいる方は一人で悩まず、まずは歯科医院を受診しましょう。
悩んだまま悪い歯並びを放置してしまうと、症状は悪化してしまい矯正期間に時間がかかってしまう可能性があります。
また、最初は一つの症状だったのに、長く放置することにより他の歯にまで影響を与えてしまうこともあるでしょう。
その結果、他の症状を併発してしまいマウスピース矯正では歯並びを治せないという場合もあります。
マウスピース矯正が適用できないと基本的にはブラケット矯正で治療をすることになるでしょう。
まとめ
マウスピース矯正のメリットやおすすめの理由を解説してきましたが、やはり一番の人気の理由は、目立たないという特徴が強いです。
ブラケット矯正にも歯の裏側に矯正装置をつける裏側ブラケット矯正がありますが、手間もかかり技術も必要なので、病院や医師を探すのに時間がかかってしまいます。
マウスピース矯正は昔に比べ技術も進歩しており、治療できるケースも少しずつ増えてきています。
この記事を通して少しでもマウスピース矯正を試してみたいと思ったら、まずは医師に相談しましょう。
あなたの悩みを丁寧にヒアリングしてくれて、最適な矯正方法を提案してくれます。素敵な歯並びを目指して前向きに矯正を検討していきましょう。