「歯列矯正を考えているけど、犬歯が動かないって本当なの?」や「犬歯が目立つから歯列矯正を考えているけど……」と、不安を抱いている方もいるのではないでしょうか。
犬歯が目立つことを悩んで歯列矯正をする方は少なくありません。時間とお金をかけても、悩みが解決できるか不透明となれば、なかなか治療に踏み出すことは難しいでしょう。
そのようなお悩みを解決するべく、本記事では歯列矯正で犬歯が動かないことがあるのかや動かない場合の原因や対処法などを詳しく解説します。
自身の犬歯にお悩みがある方は、ぜひご一読いただけますと幸いです。
歯列矯正で犬歯が動かない場合の原因
- 犬歯が動かない場合に考えられる原因を教えてください
- そもそもの前提として犬歯は動きにくい歯だといわれています。なぜなら、犬歯はほかの歯と比べて根が長く、歯根の周囲に強固な骨が存在するためです。
そのため犬歯を移動させるためにはより大きな力が必要となります。ですが、犬歯が動かない状態になっている可能性も否定できません。
犬歯が動かない場合に考えられる原因には、歯と歯槽骨が癒着している状態になっている(骨性癒着:アンキローシス)があります。人それぞれ身体の作りに個人差があるように、犬歯が動かない原因も多種多様です。歯並びもまったく同じ人はいないとされています。そのため、一般的には歯列矯正を行う前段階で、歯列矯正によってどのように歯列が整っていくかのシミュレーションを行います。
あくまでもシミュレーションは予測の範囲です。予測しえない問題が出る可能性は否定できません。犬歯が動かない理由には未知数のものもあると留意しましょう。
- 歯列矯正のスペースがない状態とはどのような状態ですか?
- 歯列矯正のスペースがない状態とは、歯がギチギチに詰まっている状態を指します。歯列矯正のスペースがなくなる状態として考えられる原因は、以下のとおりです。
- 顎が小さいため歯が生える歯列のスペースが狭い
- 永久歯の芽の位置が外傷によって移動してしまった
- 永久歯の芽の位置が生まれながらにずれている
- 埋伏歯(親知らず)が生えたことでスペースがなくなる
上記以外にも、歯の先端と芽の部分が斜めになっていることで、歯列のスペースをなくしている場合もあります。自身で見ただけではわからないことがほとんどなので、歯科医院を受診して検査することをおすすめします。
- 犬歯が動きにくいことで起こるトラブルはありますか?
- 犬歯が動きにくいことで歯列矯正の進行が遅れるトラブルが発生しやすくなります。犬歯はほかの歯と比べると位置的にも移動に時間が必要となる傾向にあります。ただでさえ動きにくい犬歯がそのままの位置にあると、歯列矯正の進行が遅れること以外にも以下のトラブルが起こりやすいです。
- 歯列のバランスが崩れる
- 咬合不全になりやすい
- 歯がすり減りやすい
- 噛み合わせ不調を引き起こす
犬歯が動きにくい場合には上記のようなトラブルだけでなく、歯列矯正治療の効果も不十分となります。歯列矯正で犬歯が動きにくい場合には、早急に原因を特定して適切な治療方法に切り替えることが重要です。
- 歯列矯正に咬合力の強さは関係ありますか?
- 咬合力の強さは歯列矯正に大きな影響をもたらす要素です。咬合力が強いと、歯列矯正をしている歯に過度な負担がかかります。その結果、以下のような問題を引き起こす可能性が高まります。
- 歯の移動が阻害される
- 歯の根が圧迫される
- 歯周組織にダメージを与える
咬合力は強すぎたり弱すぎたりすると、歯列矯正に影響してしまうため注意が必要です。咬合力が弱いと歯の移動が十分に行われないため、長期的な治療が必要となります。そのため、歯列矯正を行う場合には咬合力の調整を行い、適切な力で歯を移動させる治療計画を立てることが重要です。
- アンキローシスとはどのようなものですか?
- アンキローシスとは骨性癒着のことで、歯と顎の骨が異常に癒着し、歯が動かなくなる状態を指しています。歯は通常であれば、歯槽骨と柔軟な歯根膜によってつながっています。
一方でアンキローシスが発生すると、歯の根と顎の骨が直接結びついてしまい、歯の移動が制限されるため、歯列矯正でも歯の移動が困難となります。アンキローシスが発生している場合には、まず歯の正常な機能や歯列全体の調整を行えるようにするための治療が必要になると留意しましょう。
- アンキローシスの原因は何ですか?
- アンキローシスの主な原因は、外的な衝撃や感染症によるものです。事故や転倒などの外的な衝撃が加わることで、歯根や周囲の組織を損傷することがあります。その結果、歯が顎の骨と癒着することにつながります。
アンキローシスの原因は外的なものだけではありません。むし歯の治療として歯を再植した場合や歯の移植を行った場合にはアンキローシスが発症することもあります。お口の健康を保つことは、アンキローシスを防ぐために大切です。
ほかにも、歯列矯正の治療過程で不適切な力が加わったり、遺伝的にアンキローシスを発症しやすかったりと考えられる原因はさまざまです。
歯列矯正で犬歯が動かないときの対処法
- 犬歯を動かすために補助器具は必要ですか?
- 犬歯が動きにくい場合には、まず動きが制限されている原因を特定します。例えば、歯根の形状や周囲の骨の硬さが犬歯の可動域に影響していると考えられます。ほかの歯が犬歯に影響して歯列矯正の進行を妨げている可能性も否定できません。
これらが犬歯の動きに影響している場合には、犬歯の移動を促進するために必要な力をかける補助器具の使用が提案されることがあります。補助器具には歯科矯正用アンカースクリューが使用されることが一般的です。
補助器具は歯列矯正の進行をスムーズにするために用いられるものですが、使用するかどうかは患者さんの歯並びや歯列矯正の進行状況によって異なります。歯列矯正の状況を確認しながら、歯科医師と相談して適切な方法を選択することが大切です。
- 犬歯を動かすために抜歯は必要ですか?
- 犬歯が動きにくい場合には、抜歯が必要になることもあります。しかし、抜歯が必要かどうかは患者さんの歯並びや歯列矯正の完成目標期間によって異なります。犬歯を動かすために抜歯が必要となるのは、歯列のスペースが不足しているときです。
特に埋伏歯(親知らず)が生えたことでスペースがなくなっている場合には、不要な埋伏歯(親知らず)を抜歯するケースがほとんどです。埋伏歯(親知らず)によるスペース不足でない場合には、犬歯を動かすために小臼歯を抜歯する傾向にあります。
抜歯が必要な際には、歯科医師から説明と相談があります。状況に合わせて、歯列矯正を進めていくことが大切です。
- アンキローシスの場合の対処法を教えてください
- アンキローシスが発生した場合には、歯を動かすことがとても難しくなります。ただし、アンキローシスの治療方法は歯の位置や状況によって異なります。
すでにアンキローシスの治療を受けていても、再度歯列矯正したときに歯が動かない場合には手術が必要になる可能性も否定できません。その都度、歯科医師と相談しながら歯列矯正のスケジュールの確認と調整を行うように留意しましょう。
編集部まとめ
今回は、歯列矯正で犬歯が動かないことがあるのかや動かない場合の原因や対処法などを詳しく解説しました。
もともと犬歯は動きにくい歯になります。そのため、犬歯の歯列矯正には時間がある程度必要になるのだと留意しましょう。
しかし、犬歯が動きにくくなっている原因もいくつか存在します。なかでもよくみられるケースは顎が小さい、または埋伏歯(親知らず)によって歯列のスペースが狭くなっている場合です。
アンキローシスが発生している場合には、歯を動かすことがとても難しくなるため、歯列矯正の治療方法やスケジュールの調整が求められる可能性も十分にあります。
歯列矯正を考えている方は、ぜひ本記事で解説した情報を踏まえて、スケジュールや治療方針を歯科医師と相談してみましょう。
少しでもスムーズな歯列矯正のお役に立てれば幸いです。
参考文献