マウスピース矯正

マウスピース型矯正のインビザラインとは?ほかのマウスピース型矯正との違いも解説

マウスピース型矯正のインビザラインとは?ほかのマウスピース型矯正との違いも解説

近年、マウスピース型矯正のインビザラインが注目されています。 歯列矯正時に、審美性も大切にしたいと考えている方は多いのではないでしょうか?
本記事では、マウスピース型矯正のインビザラインについて、以下の点を中心にご紹介します。

  • インビザラインとほかのマウスピース型矯正の違いとは
  • インビザライン矯正の対象となる方とは
  • インビザラインを成功させるためには

マウスピース型矯正のインビザラインについて理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

マウスピース型矯正「インビザライン」とは

マウスピース型矯正「インビザライン」とは

インビザラインとは、透明なマウスピース型矯正装置を用いた矯正治療の一種です。
従来の金属ブラケットやワイヤーを使わず、透明で目立ちにくい素材を使用して歯並びを整えるため、審美的な面で優れているとされています。
インビザラインは個々の患者さんの歯型に合わせて作成されるため、装着感が良く、口腔内の違和感も少ないとされています。

インビザライン矯正で歯が動く仕組み

インビザライン矯正で歯が動く仕組み

インビザラインで歯が動く仕組みは、透明なマウスピース(アライナー)を段階的に交換していくことで達成されます。

この治療法は、患者さんの歯の状態を3Dスキャンし、そのデータをもとに治療計画を立てることから始まります。
コンピューターを使用して作成された3Dシミュレーションに基づき、歯が徐々に移動する過程が設計され、その設計に沿って複数のアライナーが製作されます。

各アライナーは、少しずつ異なる形状をしており、歯を所定の位置に動かす力を加えるように設計されています。 患者さんは通常、1~2週間ごとに次のアライナーに交換し、歯を段階的に動かしていきます。
このように、アライナーを連続的に交換することで、計画された最終位置に向かって歯が徐々に移動します。

歯が移動する際には、アライナーが歯に圧力を加えることで、歯槽骨(歯を支える骨)が再構成されます。
このプロセスにより、歯が新しい位置に動くのです。 治療の進行に伴い、歯槽骨は再生され、歯がしっかりと固定されます。

インビザラインの特長

インビザラインの特長

インビザラインの特長には、どのようなものがあるのでしょうか?

お口のトラブルを軽減

インビザラインは、従来の金属製の矯正装置と比べて、お口のトラブルを軽減する多くの特長を持ってるとされています。

まず、インビザラインは透明なアライナーを使用するため、金属ブラケットやワイヤーがないため口内の不快感や痛みが少なく、口腔内の炎症や潰瘍のリスクが軽減されやすいです。
インビザラインのアライナーは滑らかなプラスチックでできており、矯正装置を装着している期間の口内炎や口腔内の傷の発生率低下や快適性が向上するとされています。

また、取り外しが可能なため、食事や歯磨きの際に取り外すことができ、口腔内の清潔を保ちやすくなります。これにより、食べ物が装置に引っかかることなく、むし歯や歯周病のリスクを低減するとされています。

3Dによるシミュレーション

インビザラインの特長の一つとして、前述した3Dシミュレーション技術の活用があります。この技術により、治療開始前に患者さん一人ひとりの歯の動きを詳細にシミュレートします。

まず、患者さんの歯列をスキャンし、デジタルデータをもとに3Dモデルを作成します。
このモデルを使用して、治療の各ステップで歯がどのように動くかを視覚的に確認できるため、患者さんは治療の全体像を把握しやすくなり、治療過程への理解がしやすくなります。

3Dシミュレーション技術のもう一つの利点は、治療計画の精度向上です。 従来の矯正治療では、医師の経験と直感に頼る部分が多くありましたが、インビザラインではデジタルデータに基づいて治療計画が立てられます。

このため、歯の動きがより正確に予測でき、計画どおりに治療が進む可能性が高まります。
さらに、シミュレーション結果をもとにカスタムメイドのアライナーが作成されるため、各患者さんに合ったフィット感と効率的な歯の移動実現が期待できます。

また、3Dシミュレーションにより治療期間の予測も行えます。患者さんは、治療開始前にどの程度の期間で矯正が完了するのかを把握できます。
さらに、治療中も定期的に3Dシミュレーションを行うことで、計画どおりに治療が進んでいるかを確認できます。

日常生活への支障が少ない

インビザラインは、日常生活への支障が少ないことが大きな特長です。
透明なアライナーを使用するため、装着していることに気づかれにくいといわれており、従来の矯正治療中の見た目の悩みを軽減し、日常生活におけるストレス減少が期待できます。

さらに、インビザラインは取り外しが可能なため、食事の際にアライナーを外すことで、矯正装置に食べ物が挟まることなく、普段どおり好きなものを食べられます。 硬いものや粘着性のある食べ物も問題なく楽しむことができるため、食事の際のストレス軽減につながります。
また、口腔ケアの際にもアイライナーを取り外せるため、歯磨きやデンタルフロスも行いやすいため、口腔衛生を維持しやすくなります。

インビザラインのもう一つの利点は、装着中の不快感に考慮されていることです。アライナーは滑らかなプラスチックでできており、口腔内の快適さを保ちやすいです。
従来の金属製のブラケットやワイヤーが口内に当たることで生じる痛みや口内炎のリスクが少ないとされています。

インビザライン矯正と従来のマウスピース型矯正との違い

インビザライン矯正と従来のマウスピース型矯正との違い

では、インビザラインと従来のマウスピース型矯正にはどのような違いがあるのでしょうか?

適応できる症例

インビザラインとほかのマウスピース型矯正装置の大きな違いの一つは、適応できる症例の範囲です。

インビザラインは、主に歯列矯正が必要な複雑な症例にも対応できる優れた矯正方法として知られています。 これは、インビザラインが高度な3Dデジタル技術を用いて、個々の患者さんの歯並びに合った治療プランを作成するためです。
この技術により、歯の微細な動きも精密にコントロールできるため、重度の歯列不正や複雑な噛み合わせの問題への対応も期待できます。

一方、インビザライン以外のマウスピース型矯正装置は、軽度な歯列不正に適しているとされています。
これらの装置はインビザラインほどの精密さはなく、複雑な症例には対応できないこともあります。
例えば、重度のクロスバイトやディープバイト、歯の大きな移動を必要とする場合には、マウスピース型矯正装置では効果的な治療が難しいことがあります。

矯正の精度

インビザラインとその他のマウスピース型矯正装置の違いの一つは、歯列矯正の精度です。

インビザラインは、全世界の臨床データをもとに高度なデジタル技術を用いて個々の治療計画を作成します。
この精密な治療設計により、歯の動きを正確にコントロールできるため、結果として高い矯正精度の実現が期待できます。

一方、従来のマウスピース型矯正装置は、技工士の手作業によるため、精度にばらつきが生じやすく、安定した治療結果をえるのが難しい場合があります。

歯型を取る回数

インビザラインとほかのマウスピース型矯正装置の大きな違いの一つは、歯型取りの回数です。

インビザラインでは、治療開始時に一度だけ歯型を取ります。 このデジタルデータをもとにすべてのマウスピースを製作するため、通院回数が少なく、患者さんの負担が軽減されやすいです。

一方、従来のマウスピース型矯正では、治療の各段階で歯型を取る必要があり、頻繁な通院が求められます。 この違いは治療の利便性と効率性に大きく影響します。

通院頻度と治療回数

インビザラインと従来のマウスピース型矯正の主な違いの一つに、通院回数も挙げられます。
インビザラインは、最初に一度のみ詳細な歯型を取ることで、その後の通院回数を大幅に減らすことが期待できます。 通常、インビザラインの通院は2〜3ヵ月に1回で十分とされています。

これに対し、従来のマウスピース型矯正は、治療の進行に合わせて定期的に歯型を取り直す必要があり、1ヵ月に1回程度の通院が多いとされています。

治療費用

インビザラインとほかのマウスピース型矯正の治療費用には、以下の点で違いがあります。

  • インビザライン:70万円から100万円前
  • その他のマウスピース型矯正:10万円から30万円前後

インビザラインの費用が高くなる傾向にあるのは、3Dデジタルスキャンと個別にカスタマイズされたマウスピースを使用し、より精密な治療を提供しているためです。また、インビザラインでは初期の診断やマウスピース製作、調整費用が含まれ、総額が上昇する要因となります。
一方で、従来のマウスピース型矯正も、歯並びの重症度によって費用が変動したり、装置の調整や定期的な歯型取りによって追加費用が発生したりするケースもあります。

費用面に関しても歯科医師と相談のうえ、個々のニーズに合わせて選択できます。

インビザライン矯正がおすすめな方

インビザライン矯正がおすすめな方

以下の方は、インビザライン矯正をおすすめします。

目立たない装置で矯正したい方

インビザライン矯正は、目立ちにくい透明のマウスピースを使用するため、目立たずに歯列矯正したい方におすすめです。

繰り返しになりますが、インビザラインによる歯列矯正の治療法は、金属製のブラケットを使わずに、取り外し可能なマウスピースを装着することで徐々に歯を移動させ、理想の歯並びを目指します。

そのため、社会人や学生で、人前での会話が多い方、または見た目を気にされる方が選択されるケースも少なくないようです。 治療中もマウスピースを装着している違和感が少なく、日常生活において大きな制約を感じないように考慮されています。

金属アレルギーの方

ワイヤー矯正では金属製のワイヤーを使用していますが、インビザライン矯正は金属を含まない透明のマウスピースを使用しています。そのため、金属アレルギーを持つ方やアレルギーが心配な方にとって適した選択肢となります。

装置を気にせず食事を楽しみたい方

インビザライン矯正は、食事の際に取り外せるマウスピースを使用しています。 これにより、食べ物が装置に引っかかる心配がなく、これまでどおりに食事を楽しめます。

インビザラインは装置による違和感に考慮され、日常生活を快適に過ごせるため、見た目を気にされる方や、食事の楽しみを大切にしたい方に推奨される治療法のひとつです。

スムーズに歯磨きしたい方

インビザライン矯正は、日常の歯磨きのストレスにも考慮されています。
従来の金属製矯正装置と異なり、デコボコがなく、装置を外して歯磨きができるため、口腔内を清潔に保ちやすく、歯磨きの際の違和感や不快感にも配慮されています。この特性は、日々のオーラルケアを重視する方におすすめです。

インビザライン矯正の注意点

インビザライン矯正の注意点

インビザライン矯正には、以下のような注意点があります。

装着時間を守る必要がある

インビザラインの矯正治療において、推奨されるマウスピースの装着時間は1日22時間とされています。
この時間を守ることは、歯列矯正の効果をより発揮し、計画どおりに歯を動かし、治療期間を予定どおりに保つために重要なポイントです。

装着時間が短いと、歯が想定どおりに動かず、治療期間が延びる可能性があります。 また、マウスピースが合わなくなることもあり、追加で調整が必要になる場合があるため、装着時間を厳守することは重要なポイントです。

口腔内を清潔に保つ

インビザラインを使用する際には、口腔内を清潔に保つことが重要とされています。
インビザラインは、食事後にすぐに装置を再装着する前に、歯を磨く必要があります。 歯を磨かずに装置を装着すると、食べかすが装置と歯の間に挟まれ、むし歯や歯周病の原因となる細菌が繁殖しやすくなります 。

さらに、インビザラインを使用する間は、マウスピースを清潔に保つためにも定期的な洗浄が必要です。
マウスピースを清潔に保つことで、口腔内の細菌の蓄積を防ぎ、むし歯や歯周病のリスクをできるだけ抑えることが期待できます。
また、マウスピースを装着している間、唾液の流れが減少することもあるため、積極的に水分を摂取し、口の乾燥を防ぐことも大切です。

ワイヤー矯正よりも適応できる症例が少ない

インビザラインは、ワイヤー矯正に比べて対応できる症例の範囲が狭いという注意点があります。
なかでも、重度の歯周病、大きく歯を動かす必要がある重度の歯並びの乱れ、顎の骨格が原因の不正咬合、多数の抜歯が必要な症例、複数本のインプラントがある場合、埋伏歯があるケースなどはインビザラインでの治療が困難とされています。

これらの症例では、ワイヤー矯正やほかの方法を検討する必要があります。

インビザライン矯正を失敗させないために

インビザライン矯正を失敗させないために

インビザライン治療を成功させるためには、以下の点に注意が必要です。
まず、マウスピースの装着時間を1日20〜22時間守り、定期的に交換することが重要です。治療中に違和感があればすぐに歯科医師に相談することも重要なポイントとなります。

また、マウスピースのお手入れと口腔ケアを徹底することも大切です。 これにより、むし歯や歯周病のリスクを低減し、計画どおりに治療を進めることが期待できます。
さらに、経験豊富な歯科医師による適切な治療計画のもとで治療を受けることが、成功への鍵となります。

まとめ

まとめ

ここまで、マウスピース型矯正のインビザラインについてご紹介しました。 マウスピース型矯正のインビザラインについてまとめると、以下のとおりです。

  • インビザラインとほかのマウスピース型矯正の違いには、適応症例の範囲や装置脱着などが挙げられる
  • インビザライン矯正の対象となる方とは、目立ちにくい矯正を希望する方や、金属アレルギーの方、ワイヤー矯正の痛みを避けたい方などが挙げられる
  • インビザラインを成功させるためには、着用時間を守り、マウスピースのお手入れや口腔ケアなどが挙げられる

マウスピース型矯正のインビザラインで歯列矯正を受けたい方は、まずはご自分の歯のタイプがインビザラインで歯列矯正可能かどうかを、歯科医院で検査をすることから始められてはいかがでしょうか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
宮島 悠旗医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

宮島 悠旗医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

愛知学院大学歯学部卒業 / 東京歯科大学千葉病院にて臨床研修医終了 / 東北大学大学院歯学研究科口腔発育学口座顎口腔矯正学分野 助教 / 宮島悠旗ブライトオーソドンティクス起業 / 著書「国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”-世界で活躍する人の『デンタルケア』-」(幻冬舎)出版 / 合同会社T&Y Connection設立 / ASIA GOLDEN STARAWARD(企業家賞)受賞 / 著書「歯並び美人で充実人生-幸せを呼ぶゴールデンスマイル-」(合同フォレスト)出版 / 株式会社オーティカインターナショナル認定講師 / 現在は宮島悠旗ブライトオーソドンティクス代表としてフリーランス矯正歯科医を行っている / 専門は矯正歯科(Invisalign®︎、小児矯正、Myobrace®︎、マルチブラケット、アンカースクリュー、PBMオルソ(光加速矯正装置))

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