ワイヤー矯正

歯列矯正治療中は食事制限がある?控えた方がよい食べ物や注意点

歯列矯正治療中は食事制限がある?控えた方がよい食べ物や注意点

「歯並びをよくして、きれいになりたい……」「噛み合わせが悪くて食べにくい……」などの理由から歯列矯正治療を始める方は少なくないでしょう。

矯正歯科の目的は、歯並びと噛み合わせの改善です。いつまでも健康で豊かな生活を送るためには健康が欠かせません。

健康と歯並びは強く関係していることがわかっています。例えば、80歳で20本以上の歯が残っている方を調べたところ、前歯や奥歯がしっかりと噛み合って安定していたという調査結果があります。

では、歯列矯正治療を行ううえで、どのようなことに気をつけて生活すればよいのでしょうか。

本記事では、歯列矯正治療中に食事制限があるかどうかや、控えた方がよい食べ物やおすすめの食べ物を紹介します。さらに、正しい歯磨きの仕方をお伝えします。

歯列矯正治療中は食事制限がある?

矯正器具を付けた女性の口元

ワイヤー矯正治療中は食事制限がありますか?
ワイヤー矯正治療中は注意が必要な食べ物があります。控えた方がよい食べ物の特徴は次のとおりです。
  • 硬いもの
  • 粘着性のもの
  • 繊維質が豊富な食べ物
  • 詰まりやすい食べ物

硬いものを食べると、装置の破損や変形が起こる可能性があります。ブラケットやワイヤーが破損する恐れがあるので控えた方がよいでしょう。また、粘着性の食べ物は装置に付着する恐れがあるため注意が必要です。
歯列矯正装置が破損すると、再作製や修理の必要性が出てくるため、治療期間が長引き費用もかかる可能性があります。また、食べ物が歯列矯正装置に挟まり磨き残しが増えるとむし歯や歯周病のリスクが高まります。

マウスピース型矯正治療中は食事制限がありますか?
マウスピース型矯正は取り外しができるため、特に食事制限はありません。マウスピース型矯正装置は、厚さ0.5mm程度の透明なマウスピースを1日約20時間以上口腔内に装着し、歯の移動に伴い数種類のマウスピースを順次使用して歯並びを整える治療法です。マウスピースをはめたまま食事をすると破損してしまう可能性があるため、食事の際は外すようにしましょう。
マウスピース型矯正は、歯に弱い力がかかっています。歯と骨の間には歯根膜という組織があり、歯列矯正治療中は敏感になっています。食事制限はないものの、硬い食べ物や粘着性の食べ物で歯根膜に強い刺激が加わると痛みが出ることがあるでしょう。痛みが出るような場合はやわらかい食べ物に変え、粘着性のある食べ物は避けるようにしましょう。

歯列矯正治療中におすすめ・控えた方がよい食べ物や飲み物

ケーキをほおばる男の子

歯列矯正治療中におすすめの食べ物を教えてください。
特にワイヤー矯正治療中は、歯列矯正開始直後やワイヤーの交換・調整後に、歯の移動による痛みや違和感を伴いやすい傾向があります。子どもでは2〜3日、成人では1週間程度痛みが続き、硬い食べ物を食べられないこともありますが徐々に元の食生活に戻ることが可能です。具体的なおすすめの食べ物は、歯の負担が少なくやわらかくて挟まりにくいものです。
  • 豆腐
  • やわらかめの煮物
  • おかゆ・うどん・スープ
  • バナナなどのやわらかい果物
  • ヨーグルト・ゼリー・プリン・スムージー・アイスなど

歯列矯正装置にだんだん慣れて行くのと同時に、食べられるものも少しずつ増やしていくとよいでしょう。

歯列矯正治療中に控えた方がよい食べ物を教えてください。
歯列矯正治療中は、なるべく歯に負担をかけない食べ物を選ぶことが重要です。以下は控えた方がよい食べ物の例です。
  • 硬い食べ物:お煎餅・ナッツ・硬いお肉
  • 粘着性がある食べ物:飴・ガム・キャラメル・フランスパンの皮・お餅
  • 装置に詰まる・挟まる食べ物:とうもろこし・ポップコーン
  • 繊維質が豊富な食べ物:ごぼう・アスパラ・セロリ
  • 長い食べ物:ラーメン・えのき
  • 着色しやすい食べ物:カレー・ケチャップ(トマトソース系)・ソース

硬い食べ物は痛みが出やすいことと、場合によっては歯列矯正装置が外れることがあるため控えた方がよいでしょう。ワイヤー矯正はブラケットという小さな装置を歯に接着し、そこにワイヤーを通して弾性を利用して歯並びを整えて行く歯科治療です。小さく精密に作られているため、破損しない食べ物を選ぶ必要があります。

歯列矯正治療中に控えた方がよい飲み物はありますか?
着色しやすい飲み物は控えた方がよいでしょう。ブラケットとワイヤーを止めるエラスティックリガチャーや、歯を移動させるためのエラスティックモジュールという歯科資材は透明なため、着色してしまいます。着色しやすい飲み物には次のようなものがあります。
  • コーヒー
  • 赤ワイン
  • 色の濃いジュース

これらの飲み物は装置や歯の表面に色がつきやすいため注意が必要です。

マウスピースを装着したまま飲み物を飲んでも大丈夫ですか?
マウスピースを装着したまま飲んでもよい飲み物はお水です。お水以外の飲み物を飲むときはマウスピースを外してからにしましょう。コーヒーや紅茶などはマウスピースに着色する場合があります。気になる場合は装置を外してから飲むか、ストローを使用するのがおすすめです。
また、マウスピースの交換が数日以内なら装着したまま飲んでもよいでしょう。砂糖入りの飲み物や熱い飲み物はむし歯の発生やマウスピースの変形を引き起こす可能性があるので控えた方が無難です。

歯列矯正治療中の食事の注意点や正しい歯磨き方法

歯ブラシを持つ歯科医師

歯列矯正治療中の食事の注意点を教えてください。
歯列矯正治療を始めたばかりだと、何を食べたらよいのかわからずに悩む方も少なくないでしょう。歯列矯正治療初期や調整直後は歯や歯茎に痛みが出やすい時期です。そのため、できるだけやわらかくて食べやすい食事を心がけるとよいでしょう。
栄養バランスに気をつけて、温野菜などでビタミンやミネラルを摂取するのもおすすめです。痛むときは無理をせず食べやすいやわらかいものをゆっくり噛むと消化を助けるので胃腸の負担が軽減できます。もしも、口内炎ができてしまった場合は刺激の少ない食べ物を選びましょう。例えば、熱くないやわらかいもので香辛料や酸味の強くないものがおすすめです。
歯列矯正中に快適に食事をするポイントを教えてください。
歯列矯正中は、食べることを我慢せずにおいしく食べられるように工夫すると、食事を楽しめるようになります。歯列矯正治療中はお口のなかが乾燥しやすくなるため、水分補給を心がけましょう。快適な食事をするためのポイントは次のとおりです。
  • 魚:煮魚や蒸し魚にすると消化吸収もよく栄養も豊富でおすすめ
  • 鶏肉:やわらかく調理する・低脂肪で高たんぱく質
  • ハンバーグ:やわらかくて野菜も細かくして混ぜることで栄養価を高められる
  • 豆腐:さまざまなレシピでアレンジできるので飽きにくい・高たんぱく質
  • スープ:いろいろな具材を入れて栄養が取れる・身体を温められる
  • デザート類:プリン・ゼリー・ヨーグルト・アイスクリームは冷たくて歯列矯正治療中の痛みを和らげる
  • スムージー:果物や野菜を混ぜれば栄養豊富で朝食や間食にもおすすめ

硬い食べ物も小さく切って少量ずつ食べることができます。りんごもすりおろすことで食べやすくできます。歯列矯正治療の痛みは徐々に軽減して行くため、よほど硬いものでなければ通常の食事ができるようになるでしょう。

歯列矯正治療中の正しい歯磨き方法を教えてください。
特にワイヤー矯正治療中の歯磨きの注意点についてご紹介します。基本的に優しく毛先をしっかり歯や歯茎の間に当てるように磨きましょう。歯磨きのポイントは次のとおりです。
  • 持ち方:鉛筆を持つように握る
  • 過度に力を入れすぎないように小刻みに動かす
  • ワイヤーの上部と下部:歯ブラシを斜め45度に傾けて毛先が細部に届くように
  • ブラケット周り:歯ブラシを斜め45度に傾けて念入りに磨く
  • ワイヤー下:毛先をワイヤー下に少し通して磨く
  • 歯と歯茎の境目:歯と歯茎の間に溜まった歯垢が縁下歯石となって歯と歯茎を蝕む
  • 前歯の裏:歯ブラシを縦にしてかかとを使って磨く
  • 奥歯:歯列矯正中でなくとも磨きにくい部分

特に、歯列矯正装置が邪魔になって磨きにくいところは、歯ブラシの角度を変えて丁寧に磨くようにしましょう。マウスピース型矯正の場合は、好きなタイミングで歯列矯正装置を外して歯磨きができるため、歯列矯正前と同様に磨くことができます。マウスピース自体の洗浄もこまめにしておきましょう。

歯列矯正治療中の歯磨きが不十分だとどのようなリスクがありますか?
歯列矯正治療中の歯磨きは、3度の食後に忘れずに行うようにしましょう。歯磨きが不十分だと食べかすや歯垢が溜まりやすくなり、むし歯や歯周病が発生するリスクがあります。
歯列矯正治療中に歯周病になると、歯並びが崩れてしまうことがあります。歯列矯正中にむし歯が発生すると、治療をいったん中止する可能性があり、予定していた計画に狂いが生じかねません。装置を再製作したり、修理したりする時間と費用もかかります。予定どおりに歯列矯正治療が終えられるように、歯のメンテナンスを怠りなく行いましょう。

編集部まとめ

笑顔の女性

歯列矯正中は、気をつけなければならない食べ物もありますが、工夫次第でおいしく食べることができます

無理な食事制限なくやわらかいものを選んだり、硬いものでも小さくしたりすることで楽しむことが可能です。

歯と歯茎の健康のためにも、こまめで丁寧な歯磨きは欠かせません。歯磨きが不十分だとむし歯や歯周病のリスクがあり、治療計画にも狂いが生じてしまいます。

ワイヤー矯正もマウスピース型矯正も、美しい歯並びと健康な歯を手に入れるための大切なプロセスです。

栄養バランスに気をつけつつ、歯に負担のかかりにくい食べ物を選び、ストレスを軽減しながら歯列矯正治療を終えて理想の歯並びを手に入れましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

北海道大学歯学部卒業 / 医療法人社団天祐会 副理事長 / 専門はマウスピース矯正、小児矯正

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