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歯の矯正で顔つきは変わる?どんな変化が起こり、どんな人が変化を感じやすいのかを解説!

歯の矯正で顔つきは変わる?どんな変化が起こり、どんな人が変化を感じやすいのかを解説!

歯列矯正は、歯並びを改善する治療であり、いわゆる美容整形とは異なります。そのため顔をきれいにすることを第一の目的とするのは適切ではありません。あくまで口元の審美性やそしゃく機能を向上させることが歯列矯正の主な目的であり、期待できる効果でもあるからです。ただ、歯の矯正の副次的な効果で、顔つきが変わる場合もあります。今回はそんな歯列矯正によって顔つきにどのような変化が起こるのか、また、どんな人が変化を感じやすいのかを詳しく解説します。

歯の矯正で顔つきは変わるのか?

歯の矯正で顔つきは変わるのか? 結論からいうと、歯の矯正で顔つきが変わることはあります。おそらく、皆さんの身の回りでも歯列矯正をした方はそうした顔つきの変化も経験されていることでしょう。具体的には、次に挙げるような変化が見られることがあります。

Eラインがきれいに見える

Eラインとは、エステティックラインの略称で、横顔の美しさの指標となる線です。まずはご自身の横顔を鏡で確認してみてください。 鼻先と顎の先を人差し指で結んだ線がEラインとなります。単に指をあてるだけなので、誰でも簡単に確認することができます。歯の矯正治療では、このEラインがきれいに見えるようになることがあるのです。

・日本人の理想的なEライン
理想的なEラインというのは、骨格や顔立ちなどによって変わってきます。それは理想的なEラインが人種によって変わると言っても間違いではないでしょう。そんな中でも私たち日本人は、口唇がEラインの少しだけ内側に位置している状態が理想的と言われています。皆さんが美しいと感じる女優さん、タレントさんの横顔をネット上の画像で確認してみてください。きっと理想的なEラインが確認できることかと思います。

・矯正でEラインがきれいになる理由
歯列矯正でEラインがきれいになるのは、歯が後方へと移動するからです。つまり、上顎前突(じょうがくぜんとつ)である出っ歯のケースでは、Eラインの改善がよく見られるのです。もちろん、歯が後ろに下がり過ぎていることで口唇の位置も後方にある場合は、歯を前方に移動することでEラインの改善が見込めます。ただ、現実的には上顎前突によってEラインが悪くなっていることが多いため、歯を後方に下げることがその症状の改善へとつながります。

顔が小さく見えることがある

歯並びや噛み合わせの状態によっては、歯の矯正で小顔効果が期待できる場合もあります。例えば、上下の歯を合計で4本抜いて、親知らずもすべて抜歯した上で歯並びを整えると、少なからず顔の輪郭が変化します。それが多くのケースでは小顔効果として現れるのです。ただし、美容外科のような骨を削って顔を小さくする治療ほどの効果は見込めません。あくまで、顔が小さく見える程度の効果であるとお考えください。

しゃくれが改善される

下の前歯もしくは顎が前方に突出している歯並び・噛み合わせを下顎前突(かがくぜんとつ)といいます。一般的には「顎がしゃくれている」と表現される歯並びですね。顎がしゃくれていると、特徴的な顔貌を呈することから、口元のコンプレックスになっている方もたくさんいらっしゃいます。歯列矯正で下の前歯を後方に移動すれば、全体の噛み合わせも変化して、しゃくれが改善される場合もあります。

エラ張りが取れることがある

耳の付け根あたりから顎にかけてのラインが横に広がっている症状を「エラ張り」と表現することがあります。これもまた特徴的な顔貌となるため、長年のコンプレックスとなっている方が多いことでしょう。おそらく、エラが張っていることでメリットを感じたことはないかと思います。そうしたエラ張りの原因が噛み合わせの悪さに由来している場合は、歯の矯正で改善できることがあります。

悪い噛み合わせでは、上下の歯が正しい位置で噛み合うことがないため、そしゃく筋を必要以上に使わなければなりません。歯の矯正によって噛み合わせが正常化されれば、効率よく噛めるようになり、そしゃく筋の過剰な運動も解消されます。とくに咬筋(こうきん)というエラが張る原因となる筋肉が正常な状態に戻ることで、顔の輪郭も改善されていくことでしょう。骨格的な問題でエラ張りの症状が見られる場合は、歯の矯正で改善するのは難しいです。そうしたケースでは、美容外科手術が第一選択となります。

顔の表情が明るくなる

これは歯の矯正を最後までやり遂げた人だからこそ実感できる顔つきの変化です。矯正中はむしろ歯の移動に伴う痛みや装置による不快症状で、表情が暗くなることも多くなります。そうした辛い時期を乗り越えて矯正が終わると、理想的な歯並び・噛み合わせが手に入り、笑顔にも自信が持てるようになるのです。その結果、顔の表情が明るくなることでしょう。実際に、ネガティブだった性格がポジティブに変化する人も少なくありません。

歯の矯正で顔つきが変わること以外にも変化はあるのか

歯の矯正で顔つきが変わること以外にも変化はあるのか 歯の矯正では、顔つきにさまざまな変化が見られます。それは上段でも述べた通りで、顔つきにかかわる長年のコンプレックスを解消できる変化がほとんどです。実は、歯の矯正には顔つき以外にも変化が見られる点があります。それは以下の3点です。

食事のとり方の改善

歯列矯正は、歯並びの見た目の悪さだけを改善する治療と思われがちです。現実として、矯正歯科を受診するほとんどの人は、歯並びの見た目の悪さを悩みとして、カウンセリングを希望するものです。それ自体は決して悪いことではないのですが、歯が担っているもうひとつの重要な役割も忘れないようにしてください。それは食べ物を噛む「そしゃく機能」です。

・矯正では噛み合わせも治療する
歯の矯正では、基本的に歯並びだけでなく噛み合わせまで治していきます。歯はそもそも食べ物を噛むための器官であり、悪い噛み合わせのままではその機能を十分に発揮できないからです。いくら歯並びをきれいに並べたとしても噛み合わせが悪かったら、比較的早く後戻りが生じます。そのため適切な治療が行える矯正歯科の先生は、噛み合わせも随時、調整しながら歯並びの治療を進めていくものです。

・噛み合わせが良くなることのメリット
歯の矯正によって噛み合わせが良くなると、食事のとり方に変化が見られます。例えば、出っ歯の症状が強い場合は、前歯で食べ物を噛み切ることが難しいため、奥歯で頑張って噛まなければなりません。そんな出っ歯の症状が解消されると、まずは前歯で食べ物を噛み切り、細かい断片となった食品を奥歯で効率よくすりつぶせるようになります。そうすることで食べやすい料理が増えて、食事のとり方にも大きな変化が見られるようになるのです。それは出っ歯だけでなく、受け口や乱ぐい歯なども同様です。食事の時に「クチャクチャ」というそしゃく音が起こりやすかった人は、噛み合わせが良くなることで静かに食べられるようになる場合もあります。

姿勢の改善

歯並び・噛み合わせの状態と姿勢には、間接的ながらも関連があることをご存知でしょうか?出っ歯や受け口といった歯並びの異常を抱えている人は、猫背になる傾向が強く、全身の健康状態にも悪い影響が及びがちです。歯の矯正で歯並び・噛み合わせが正常化されると、猫背まで改善されることも珍しくありません。猫背などの悪い姿勢がどうしてもなおらないという人は、もしかしたらその背景に歯並び・噛み合わせの異常が潜んでいるのかもしれません。そうしたケースでは、悪い姿勢を改善するという意味でも歯列矯正を受ける価値があるといえます。

滑舌の改善

歯並び・噛み合わせは滑舌とも深い関係があります。滑舌とは、言葉を滑らかに話すことで、舌の動きが制限されると悪くなります。昔からなぜか滑舌が悪くて困っているという方は、もしかしたら歯並び・噛み合わせの異常が原因となっているかもしれません。

・滑舌が悪くなりやすい歯並び
歯列の幅が狭くなっている歯列弓の狭窄(きょうさく)は、滑舌が悪くなりやすい歯並びのひとつです。発音の時に舌が歯に当たってしまうことから、滑舌が悪くなります。その他、出っ歯やすきっ歯、受け口などでも滑舌が悪くなる症状はよく見られます。

・矯正で滑舌が改善する理由
歯の矯正では、原則としてきれいな歯列弓を描くような仕上がりを目指していきます。上段でもご紹介した狭すぎる歯列は左右に拡大し、すき間があって広すぎる歯列は適切な幅まで縮めます。その結果、舌の動きが邪魔されなくなり、息漏れによる発音障害も現れにくい歯並びを作り上げることができるのです。

歯の矯正で顔が変わる、変わったと感じやすい人とは

歯の矯正で顔が変わる、変わったと感じやすい人とは さて、ここからは歯の矯正で顔が変わりやすい、あるいは変わったと感じやすい人の特徴についての説明です。もしもご自身の歯並びと合致するものがあれば、歯の矯正によって顔つきが変わるかもしれません。気になる方はセルフチェックをしてみてください。

出っ歯(上顎前突)

出っ歯は、歯の矯正で顔の変化がもっとも現れやすい歯並びといえます。専門的には上顎前突と呼ばれるもので、最近では口ゴボと称されることも多くなってきました。口元がゴボッと膨らんでいるため、特徴的な顔貌となります。

・出っ歯はEラインに大きな影響を及ぼす
上でも少しふれたように、出っ歯は横顔の美しさの指標となるEラインに大きな影響を及ぼしやすい歯並びです。Eラインは鼻先と顎の先を結んだ線で、口唇がそのラインのどこに位置しているかによって見え方が変わるため、口ゴボほど影響の大きい症状はないといえます。また、口ゴボは日本人に多く見られる症状であり、歯の矯正で改善したいと希望される方もたくさんいらっしゃいます。

・出っ歯・口ゴボは矯正で治せる?
出っ歯や口ゴボの症状は、歯の矯正で改善することが可能です。前方に出ている前歯を後ろに下げることで、口元の突出感も自ずと改善されます。ですから出っ歯は、歯の矯正で顔つきが変わったと感じやすい歯並びの代表といえるのです。皆さんの身の回りや好きなタレント、芸能人の中でも出っ歯・口ゴボの症状を歯の矯正で大きく改善した方はいらっしゃるかと思います。その人の治療前後のビフォーアフターを確認できれば、矯正の効果をより実感しやすくなることでしょう。

反対咬合・下顎前突

いわゆる受け口には、反対咬合(はんたいこうごう)や下顎前突(かがくぜんとつ)という難しい診断名がつけられています。本来は上の前歯が前方に出ているはずなのに、下の前歯の方が突出していることから、反対の咬合(=噛み合わせ)という名前がつけられています。そんな受け口も歯の矯正によって改善することが可能です。

受け口の場合は出っ歯とは逆で、下の前歯を後方へと下げます。そうすることで上下の前歯の位置関係が正常化されて、しゃくれた症状も気にならなくなることでしょう。ただし、骨格的な異常を伴う受け口は、歯並びを細かく整える歯列矯正での改善が難しいです。顎の骨自体が前方に突出していることから、外科的な治療を併用しなければ、顔つきの変化も期待できません。

八重歯・ガタガタ(叢生)

ガタガタの歯並びを叢生(そうせい)といいます。これも出っ歯と同じく、日本人に比較的多い歯並び・噛み合わせの異常です。上の犬歯が外側に飛び出している歯並びを叢生の中でもとくに「八重歯(やえば)」と表現することがあります。八重歯はひと昔前までチャームポイントのひとつとして考えられていましたが、昨今は矯正で治したいと希望する人が増えています。実際、八重歯も叢生という診断名がつく異常な歯並びであり、医学的には治療を必要とするため、そうした世間の考え方の変化は決して間違いではないのです。

ガタガタの歯並びである叢生や八重歯は、顔つきに大きな影響を与えるような歯並びではありませんが、歯の矯正で歯列がきれいになることで見た目の印象は大きく変わります。たくさんの歯を抜いて矯正をした場合は、口元がすっきりするような変化が見られる場合もあるでしょう。

過蓋咬合(深い噛み合わせ)

噛み合わせが深い状態を過蓋咬合(かがいこうごう)といいます。上下の歯で自然に噛んだ時に、上の歯列が下の歯列全体を覆ってしまうような歯並び・噛み合わせです。過蓋咬合では、正常な噛み合わせよりも口元の垂直的な距離が短くなることから、シワが寄りやすくなったり、老けた印象を与えたりすることがあります。歯の矯正によって正常な位置まで噛み合わせを高くすると、顔つきも良くなることでしょう。

まとめ

まとめ このように、歯の矯正は歯並びだけでなく、顔つきまで変わることがあります。それはもちろん、悪い変化ではなく良い変化です。とくに出っ歯や受け口、叢生、過蓋咬合の人は、歯の矯正による顔つきの変化を実感しやすくなっているといえます。ですから、口ゴボやしゃくれ、口元のシワなどを根本から改善したいという人は、歯の矯正を検討してみても良いでしょう。歯の矯正で顔つきが変わるかどうかは、精密検査などを受けた時点で大まかにわかります。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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