ワイヤー矯正

指しゃぶりで歯並びが悪くなる?子どもの指しゃぶりと歯並びの関係やその対策を解説!

指しゃぶりで歯並びが悪くなる?子どもの指しゃぶりと歯並びの関係やその対策を解説!

お子さんが指しゃぶりをしていると、不安に思うお父さんお母さんも少なくないのではないでしょうか。いつまで様子を見て大丈夫なのか、すぐにやめさせるべきなのかは悩みどころです。またお子さんの歯が生えかけてくると、将来歯並びが悪くなるのではないかと心配になる方も多いと思います。対処の仕方を間違えると、かえって癖がエスカレートする場合もあるので要注意です。そこで指しゃぶりの歯並びへの影響や対策、小児歯科での歯並び治療について紹介します。

指しゃぶりと歯並びの関係

指しゃぶりと歯並びの関係

指しゃぶりをすると歯並びは悪くなりますか?
一般的に歯並びは生れつきのものと思われがちですが、実際には小さい頃の指しゃぶりが原因になることがあります。
指しゃぶりとは主に親指を口でチューチュー吸うような仕草のことを言い、まだ小さい赤ちゃんに多く見られます。 この指を吸う仕草は口の中で意外と大きな圧力がかかります。 そのためこの状態を長く続けていると、まだ形が整っていない歯並びにも影響を与えてしまいます。
具体的にはかみ合わせが悪くなり、いわゆる出っ歯(上顎前突)のような状態になったり、前歯がかみ合わなくなる開咬と呼ばれる状態になることもあります。
他にも全体の歯並びがガタガタになる叢生や、奥歯がズレてしまう片側性交叉咬合になることもあるようです。
指しゃぶりをする原因は何ですか?
この指しゃぶりが長く続く理由としては、安心感を得るためと言われています。
主な原因として、まず子供が眠気を感じたときが挙げられます。
安らぎを求めるためにお母さんのおっぱいを飲んでいる状態に近い形を取り、親指を吸う仕草をするのです。
また寂しさを感じたときも、不安をかき消すために指をしゃぶって落ち着こうとします。
どちらも安らぎを求める子供の仕草であり、無意識に行っているもので決して悪いことではありません。
実際に指しゃぶりは生まれる前、お母さんの胎内にいるときから行っていることが分かっています。

指しゃぶりが歯並びに影響する年齢

指しゃぶりが歯並びに影響する年齢

赤ちゃんの指しゃぶりは歯並びに影響を与えますか?
赤ちゃんが指しゃぶりをするのは自然なことですが、ある程度大きくなってからも続けていると歯並びに悪影響を及ぼしてしまいます。
親指を強く吸う動作は、歯のかみ合わせをズラすことに繋がり、見た目的にも良くない状態になります。 見た目が悪くなるだけでなく、むし歯や歯周病になるリスクを高める要因にもなり得るのです。
また開咬(かいこう)という上下の前歯に隙間ができることもあり、その場合は言葉を発する際にうまく発音できなくなることも考えられます。
指しゃぶりだけでなく、おしゃぶりによっても同様のことが起こる可能性があり、問題はその仕草ではなく年齢が大きく関係してきます。
指しゃぶりは何歳までにやめさせるべきですか?
基本的に1~2歳半までの指しゃぶりはごく自然な仕草であり問題ありません。
ただ3歳以上になると成長と共に歯並びの形成に影響を与えるようになるため、これ以降はできるだけやめさせるように努めた方がいいでしょう。

指しゃぶりをやめられるようにする方法

指しゃぶりをやめられるようにする方法

家庭でできる指しゃぶり対策はありますか?
具体的な方法の一つは、お子さんと十分なスキンシップを取るように心がけることです。
指しゃぶりそれだけを悪いことと注意してやめさせるのは、必ずしも有効ではありません。また指しゃぶりが心配だからといって、あまりに早くからやめさせようとするのはおすすめしません。
1~2歳半頃までの指しゃぶりは子供の発達に必要なこととされているためです。 指に吸いダコができるほど吸っていたり、あまりに長時間しゃぶっていたりするのでない限り心配はいりません。
無理にやめさせようとするとストレスを与えてしまい、かえって癖がひどくなることも考えられるため、まずはお子さんが安心できるようにしていくことが大切です。
親子で手を使った遊びを楽しんだり、昼間のうちに思う存分体を動かしたりするのも良いでしょう。
寝付く際にお子さんの手を握ってあげることや、好きなキャラクターの手袋をはめるのも有効です。さらに最近では、指しゃぶり対策の絵本や苦い味のする無害なマニキュアも販売されており、こうしたグッズを活用する方もいます。 このように家庭でできる指しゃぶり対策だけでも様々な方法がありますが、なるべくお子さんが安心できる環境を作ってあげることが一番です。
3歳を超えてもお子さんの指しゃぶりが続いている場合は、その原因を知ってなるべく早めに対策したいところです。 小さな子供が指しゃぶりをする状況としては、主に眠くなったときや手持ち無沙汰になったときが考えられます。
赤ちゃんが眠くなったときは、本能的にお母さんのおっぱいを吸うことで落ち着こうとするものです。 授乳時以外や離乳後になると、おっぱいの代替物として自分の指を吸うようになります。 また小さな子供が退屈していたり一人で寂しかったりするとき、ストレスを感じているときにも指しゃぶりをします。
そのため、指しゃぶりの癖をやめさせるには家庭でのアプローチが欠かせません。
小児歯科の指しゃぶり対策はどんなものですか?
小児歯科でもお子さんの指しゃぶり対策を行っています。 手に装着するタイプの指しゃぶり防止装置やお子さんの口の状態に合った器具を用いることで、指しゃぶりによる影響をなくしていきます。
長期間の対策が必要な際には口や顎の成長に合わせて器具を変えながら行いますが、基本的には短期間で指しゃぶりをなくせる対策を小児歯科では行っています。

指しゃぶりで歯並びが悪くなってしまったら

指しゃぶりで歯並びが悪くなってしまったら

子どもの歯並びを直すにはどうすればいいですか?
・1期治療(混合歯列期の矯正治療)
1期治療は乳歯が抜けて永久歯に生え変わる5歳頃から11歳頃に行う治療のことを指します。
2期治療が始まる前段階として行う治療となり、具体的には、成長を利用して上下顎の位置関係を整えて健康な歯の土台を作ったり、歯の生えるスペースが足りない場合には、歯列を拡大して歯がきれいに生えるスペースを獲得する治療となります。
早いと3歳頃から始めることもあるそうですが、早いほど効果があるわけではなく、その子の様子に合わせて適切な時期に始めます。
1期治療を行う期間はお子さんの状態や歯科の治療方針などでも変わりますが、2年間ほどと言われています。
1~2ヶ月に1回の頻度で通うことが多く、1期治療を終えた後は、2期治療が始まるまで様子を見るために3ヶ月~半年の観察期間をおくこととなります。・2期治療(永久歯列期の矯正治療)
2期治療は永久歯が生えそろってから行う歯並び治療で、12歳前後から始まることが多いです。
大人の歯科矯正同様に、ワイヤーが付いた「ブラケット」という矯正装置を使います。 このブラケットは自分で外すことができないため、装置の周囲に食べカスが付きやすいのが難点です。
むし歯を防ぐためには適切な歯磨きが必要になりますが、歯科の先生が通院のたびにしっかり見てくれるので安心していいでしょう。
子どもの矯正歯科治療にはどんな方法がありますか?
・床矯正
拡大床は主に1期治療にて使用される器具で、顎のスペースを広げるために用います。 拡大床は取り外し可能で家庭でも管理しやすいですが、装着時間が不十分だと効果が薄れてしまいます。
一方、自分では取り外せないタイプの拡大装置を使うと、常に顎を広げているため効果がより期待できます。・ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は歯の表面にブラケットという器具を取り付け、ブラケットにワイヤーを通すことで歯の位置を矯正していく治療です。 短期間矯正治療を行う場合はワイヤーの締め付けが強くなってしまい痛みを伴うことがありますが、十分な治療期間があれば痛みを感じにくい強さに調節することも可能です。
いずれにしてもワイヤーによって歯の位置を修正していくので違和感を覚えやすい治療となりますが、歯の位置を細かく調整しやすいため、多くの場合こちらの矯正方法が用いられます。歯の位置を大きく変更したり、顎が小さく歯のスペースを十分に確保できない場合には、抜歯や歯の両サイドを削る治療を合わせて行うこともあります。

・マウスピース矯正
マウスピースを使った矯正は装着時間が比較的短く済むので、お子さんの不快な時間を減らすことが可能です。
現在の歯並びから理想の歯並びへ、マウスピース器具を段階的に変えながら矯正を行っていく治療方法になります。
噛み合わせの調整などで使用されることも多く、ご家庭でできる矯正方法として歯科医院でも相談されるケースが増えています。
また、ワイヤー矯正などと並行して行うケースも多く、歯科医院ではワイヤー、ご家庭ではマウスピースといった形で矯正していくことにより、治療期間の短縮を図るケースもあります。

編集部まとめ

編集部まとめ 3歳頃までの指しゃぶりは焦ってやめさせる心配はなく、自然でむしろ成長には必要な行為だと言われています。
お子さんがある程度大きくなっても無理に指しゃぶりをやめさせるのではなく、愛情と根気をもって自分からやめられるようにする、という考え方が大切です。
お子さんの指しゃぶりに対してどう対策すればいいのか分からず、悩みを抱えているお父さんお母さんは小児歯科の先生に相談してみると安心できるのではないでしょうか。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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